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崖の少年

作者: 恒我臥薪

 高校の新学期の帰り道、崖の上の彼を見かけた。


 彼は鉄柵を越えて切り立った崖の先端に立っていた。顔は見えなかった。

 

 その日以来彼のことが気にかかった。


 夏休みに入り、海に人が集まりだした。


 友達と一緒に海に出かけたとき、不意に崖の方を見ると彼がいた。


 友達と別れ崖の上に行くと、以前のように向こう側に立っていた。


 試しに声をかけてみても返事は返ってこなかった。


 紅葉が現れる時期になってもあいつはあそこにいた。


 いつもどおり何もせずただ立っているだけだった。


 だんだんとあいつがなぜあそこにいるのか不思議に思い始めていた。


 あそこからは何が見えるのだろうか、面白いものでもあるのだろうか。


 赤が消え始め土が白くなり始めた。


 まだいた。あいつがいた。


 なんでいるんだ、なんかあるのか、なぜいつもまえをみている。


 どうしてだ。おしえてくれ。


 風が徐々に温まり、別れの時期に入った。


 あそこにはらくえんがある。


 あるんだよ、あるんだよ。


 きいてみようきいてみよう、あいつはしってる、ずっといるんだから。


 彼のそばに来てわれに帰った。


 いつもそこにいたはずのあいつがいない。


 ?????


 携帯を見た。すごいメールの数が残っていた。


 「ねえ大丈夫?顔色悪いよ?」「お前最近元気ないな、どうした?」


 「君あの崖に行ってるんだって?やめたほうがいいよ・・・」


 俄かに後ろから肩を叩かれ後ろを振り向いた。


 いつもいたあいつが笑っていた。


 「だってあそこには・・・」


 逆さになる世界が目の前に広がった。



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