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もふもふ! 企画編  作者: min
乙女ゲーム「無糖」「増糖」についての裏話(10万PV企画)
2/3

ゲーム内の「惣火ゆま」についての裏話 無糖編

・裏話的なお話。読まなくても本編を楽しむうえで差しさわりはない、…はず。

・レナ登場後の閲覧推奨

※「無糖」「増糖」は悪ふざけとノリで生み出された産物でした

「貴方には私だけ… ~どんな姿でも愛してる~」。後に通称無糖と呼ばれるこのゲームは、「プラトニックな純愛系乙女ゲーム作りたい」という一部の時代錯誤な欲求を持ったイラストレーターやシナリオライターたちの願いを形にして生まれたものである。

 彼らは今頃流行りのとにかく濡れ場満載のエロ系乙女ゲームや甘いセリフ垂れ流しの媚び媚びシナリオには飽いていた。

 彼らは、遥か昔の正統派少女マンガのように手に触れることさえ躊躇うような、見つめ合うことさえ憚るような、それでいて深く愛しあい、どこか物悲しくなるような、そんな、もどかしさから苦しくなるような、そんな美しいストーリーを乙女ゲームで描きたいと考えたのだ。幸い彼らはそれなりに売れっ子だったので、一つくらい採算を考えずに作っても大して苦にはならなかった。


 舞台は異世界。攻略対象者たちは獣人という種族。そして、何故か彼らは言われのない差別を受け、人間たちから見下されていた。

 どうにもならない理由で理不尽な差別を受けながらも、罪のない他者を巻き込まないためにそれぞれのやり方で遠ざける攻略者たち。


 惣火郡は人当たりよく振舞いながらも決して誰かに内側に踏み入らせることはせず。

 高坂晴也は近づく者皆を威嚇し、そもそも触れさせもせず。

 御上土颯来はその気高さを保ちながらも自らが所詮は学園と言う箱庭から出られぬ王であると自覚し、それでも絶対の王として君臨し、他者を寄せ付けず。

 春日井謙斗は寄せられる想いを片端から断絶する。

 中でも東雷剛は教師であるが故に誰よりも己が獣人であることについて思い悩んでいて、その優しさ故に深部まで生徒に関わってやれないことを悔いながらも、後にその生徒に降りかかる災いを考えてしまえば容易に近づくことも出来ず、年々塞ぎこむようになっていた。


 そんな中、転校生としてやってきた少女がヒロインである。


 しかし、一少女に彼らの問題は大きすぎた。

関わりあうことへの恐怖を乗り越え折角想いが通じ合っても、「他者からの差別」という解決できない大きな障害が立ち塞がり、彼らはハッピーエンドを迎えてなお、「カケオチ」という形でしか想いを成就させることができなかった。

 そして、少女に対する疑問も、それぞれ個別のエンドでは解決されなかった。

 個別ルートではあくまでも少女が(・・・)攻略対象者の心を開いていくのであり、少女自身は自身についての情報や悩みと言ったことを一切口にしていないのだ。そこで書かれたシナリオが「トゥルーエンド」。


 「トゥルー」と書いて「謎解き」と読めとは一体誰が言った言葉だっただろうか。


 実際、このトゥルーエンドは他の乙女ゲームで挙げられているエンドとは違い「選ぶべき最善のルート」ではなく、「秘されたヒロインの謎を解き明かす」ためだけのルートだったのだ。


 登場人物がハッピーな最後を迎えた、と言い切れないもやもやとしたハッピーエンドに焦れていたプレイヤーは幸せな最後を夢見てトゥルーエンドの攻略に取り掛かった。


 結果は、救いのない残酷なモノであった。


 別名トラウマエンドとも呼ばれたこのエンドの存在によって、プレイヤーの声は一気に大きくなった。

 別に、製作者たちは「こんなの乙女ゲームじゃない」「甘い展開のない乙女ゲームなんてクソゲー」などといった批判なら気にはしなかった。そもそも自己満で作ったゲームだ。他者からの評価なんてどうでもいい。

 が、全国の乙女たちの多くはこう言って泣きついてきたのだ。


「登場人物たちが可哀相すぎる」

「どうか○○くんを幸せにしてあげてください」

「ヒロインはともかく攻略対象者たちに幸せな未来をあげてください」


 この反応には、製作者たちも多少、考えさせられてしまった。

 一応、駆け落ちエンドはハッピーエンドに属している。完全なハッピーではないが、たぶん当事者的にはそれなりに幸せだろう。だが、確かに言われてみれば我が子同然なキャラクターたちがきっぱりはっきり「幸せ」と呼べる未来を一度たりともつかめてないと言うのは、ちょっと不憫かもしれない。

 と、いうことで妙な方向にテンションが上がってきてしまった製作陣は後に通称増糖と呼ばれる「無糖」のリメイク版「私は貴方に恋してる ~forever love~」をぶち上げてしまったのである。


本話内の「今頃流行りの乙女ゲーム」に対する批判的文章はあくまでも「変人」である彼らが独特の価値観で感じた感情、という体で書いているものです。作者自体が乙女ゲームを批判しているわけではありませんので、その当たりのことはご了承ください。

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