ワタヌキのえんでぃんぐ
ワタヌキのえんでぃんぐ→四月一日のエンディング
はい。つまり四月馬鹿でした!はっぴーえいぷりる!!
「…ゆま。愛している。私の妻になってくれ」
おじいちゃんが、唐突に愛の告白をしてきました。
私も、薄々は気付いていたと思います。
実の孫娘にむけるにしては、重たすぎる愛情。
郡にむける嫉妬の眼差し。
「返事は、今じゃなくてもいい―」
―十六に、なってからだ。
そう耳元で囁かれ、私は言われるがままにこくりと頷いてしまいました。
***
あれから月日が流れ、私は高校生になりました。
初等部からの持ちあがりだったので友達作りも困りませんでしたし、郡とは相変わらず仲良しですし、勉強にだってついていけています。
でも。
今日は、私の十六歳の誕生日です。
「ゆま…」
郡が不安そうに私の手を握りしめました。
大丈夫です。分かっています。
私は全部、分かっていますから。
「返事は決まったのかな?ゆま」
「はい。おじいさま」
見惚れるほどに美しい漆黒の瞳。思えば私は、初めて会った時からこの目に囚われていたのかもしれません。
「褒められた選択ではないかもしれません。それでも私は、―おじいさまの、傍にいたい」
「ゆまっ!!」
泣き出しそうな郡の声。
あなたが私を必要としてくれていることは知っていました。
でも。
あなたは私の守るべき存在であって、支え合える人ではないから。
「ゆま」
大人の男性の、低い声。自然と下を向いていた顔をあげれば、そこには、蕩けるような笑み。
「私がずぅっと、守ってあげるからね―…」
おじいちゃんは人の姿のまま私を抱き寄せて、蕩けるような甘い声で囁きました。