奇跡の出会い。そして必然の別れ
「僕たちは、ここで過ごした日々を決して忘れません。辛かったことも、嬉しかったことも。今となってはそのすべてが宝物です。
新たなる未知の世界で、自分自身と心良き仲間のさらなる飛躍を願い、ここでこの場を降りさせていただきます」
卒業式は厳粛な空気の中で淡々と進んでいく。
実感を得られない、時間。
もしかしたら、この時が過ぎ去って行くのを自覚したくないのかもしれない。
だけどこの意味はとっても大きくて、重い。
僕たちの「これまで」と「これから」を
明確に、はっきりと分けてしまう。
今までにやり残したこと。言い残したこと。
数えてみればキリがないほどたくさんある。
だけど、
それでも、
僕たちは前に進まなくちゃいけない。
ここでできた?
いや違う
「ここでしかできなかった」たくさんの出会い。
楽しさを、悲しさを、共に分かちあった友との最高の思い出。
これからもお世話になる「友達」
ここで分かれ、別々の道を歩いていく「友達」
みんながみんな
自分の夢へ一歩を踏み出して行く
喜ばしき、一歩
だから......寂しくても。
悲しみの涙なんかいらない
もう二度と、訪れないであろう体育館。
目元を光らせる者。
最後まで厳格な表情を崩さなかった者。
それぞれがそれぞれの面持ちで式場を発つ。
みんなと過ごす最後のひと時
今までのこと、これからのことを語り合う
そして......
ついに訪れた、別れのとき
今までにない、最高の笑顔を。
たとえその頬に雫が落ちても。
これ以上にないくらい手を振り、叫ぶ
忘れない。ぜったいに忘れない!
いいことも、悪いことだって。
今までにここで得た、全部のことを!