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プロトタイプ 1-0 

このお話は、本編第一話chapter0の初期段階だった頃の物です。生きたままの設定が多いので、作品設定の補完にご利用ください。

「さあ行くんだ、ゲソラム! 暴れまわるんだ。人々に恐怖とお前の力を見せつけてやるのよ」

 世界征服を目論む悪の組織アトス。そこの女幹部「冽氷」のシニードリンから命令が下り、怪人――ゲソラムは侵攻を開始した。

 昼間に突如としてオフィス街の平和な時間を奪ったのは、いきなりの襲撃だった。

 ゲソラムの十本の触手――ゲソアームは伸縮自在、三十トンの大岩を楽々と持ち上げ、吸盤に頑丈で鋭利なフックがついており捕りついた獲物決して逃さない。また、口のような部分――漏斗部分からは、溶解性のイカ墨と超高圧の水を吐き出すことができる。 

 さらに、海中には水深2キロメートル、速度をマッハ1.5で泳げる。触手の間に長い皮膜があり、この膜をを利用して滑空することもできる。

「ブっ潰されてえのかー?」

 怪人ゲソラムは、自慢のアームとイカ墨で、整地された道路や噴水オブジェなど街並みを次々と破壊もしくは溶解していく。

「きれいにお掃除! お掃除!」

「ヒャッハァー、撃て撃て撃て撃て撃て撃て撃て!!!!!!!!!!!!」

「コ・ワ・セ、コ・ワ・セ、コ・ワ・セ」

 ゲソラムらの取り巻きである戦闘員達も、先頭で威嚇射撃をして人を強引に除けさせながら、皆が思い思いに破壊活動を続ける。

「走れ! 逃げろ!」「うわああああ!」「浩美っ! どこなのっ?」「お前っどけ!」「痛い痛い」

 逃げる者、探す者、ただ単に叫ぶ者、様々な人の悲鳴が飛び交う。

 きれいに整っていたオフィス街はあっという間に、ガラスは散乱、地面は捲れ返り、中央広場の噴水は斜めに吹き上がり、逃げ惑う人々他人を踏み進み、地獄模様を描いていた。

 人々はいつも自分が働いている場所、見慣れた風景、平和なハズだった時間、それらが一瞬にして壊されたのを目の当たりにし、皆がつらい気持ちを抱え込んだ。

でも彼らの瞳から、希望の二文字は決して失われていなかった。


「そこまでだ! アトスの怪人」


 なぜなら、どんなときにも悪の手から平和を救い出してくるヒーローを知っているから。

 危険な場所に、果敢にも駆け付ける四つの影は、誰もが知るヒーローのもの。赤、黄、黒、緑の戦闘コスチュームを纏ったヒーローらは、勇敢な顔をフルフェイスメットに隠し、怪人と対峙した。

 アーマーズ――それは、 日夜悪事を働く怪人らに対抗する為に、生み出された正義の組織「JUNAS」。その中でも、特に選ばれた精鋭のみが着用を許される特殊装甲「ダイトアーマー」で戦う部隊の通称である。

 各々は装甲の色で割り振ったコードネームで呼ばれ、関係者以外のものに彼らの本名素性は秘匿にしている。

「やはり来たか。アーマーズ。だがな、俺は今ままで貴様らが倒してきた奴らの様にはイカんぞ」

 余裕の態度をとるゲソラムは、四人のヒーローにゲソアームを伸ばす。攻撃に乗じて、戦闘員たちも襲い掛かった。

「来るぞ! “ブラック”頼む」  

「…………了解。『ブラックシザー』リアライズ!!」

 アーマーズのリーダーであるレッドに任されたブラックは、しばし無言で頷いた後に大きく叫ぶと、両手が小さく輝く。やがて輝きの消えた後の両手には、ハサミを二つに分解したような形の真っ黒な双剣が握られていた。

「――――!!」

 ブラックは無言で、襲ってくるゲソアームを手にした双剣で切り刻む。その一閃一閃の走る速度は凄まじく、剣閃が一度に十にも二十にも重なって見える程。

「まずい、ゲソラムさんをサポートしろ! あの黒いのを狙うんだ!」」

 四人へバラバラに向かった戦闘員たちは一斉に、ブラックへと攻撃の進路を集中させる。

「させるか!」

 他の四人のアーマーズも、武器を顕現しており。炎で揺らめく拳、身の丈よりも巨大な木剣、雷が奔る金槌と各々が手にしていた武器で、群がる戦闘員を薙ぎ払っていく。

 その強さたるや、正に一騎当千。一人当たり十人以上の戦闘員の相手に、千切っては投げ拾っては投げの戦いぶり。

 アトスの戦闘員たちは、怪人よりも戦闘能力は落ちるものの、それでも素手で猛獣たちと渡り合えるほどの強さを持っている。その戦闘員らを、十人以上も相手にして戦っている彼らの強さは、推して知るべし。

「馬鹿な、俺は貴様らが前回倒した怪人ウルフスよりも強いんだぞ。それが、それがこうもあっさりとなど認められるものか!」

 ブラックに最後の一本だったアームを切り刻まれ、ゲソラムは激昂した。

 彼は一瞬で二まわりも大きく体を膨らませ、「溜め」を作る。これは彼の大技のための動作だ。

「ゲソラムさんがアレを使うぞ。みんな避難しろ!」「アレが来るのか? 退避―!」

 ゲソラムの行動を読み取った戦闘員の一人が、ゲソラムの行動を察知し仲間に伝える。戦闘員らは蜘蛛の子を散らすように一斉にアーマーズから離れた。

「必殺ッ! コロージョンスプレッドー!!」

 戦闘員らの避難が終わったのを見計らい、ゲソラムの漏斗部分から大量のイカ墨が放出される。

「コロージョン――腐食か! マズイよけろ!」

「ダメだ、避けられない。スミの量が多すぎる」

 アーマーズの眼前は、覆い尽くさんばかりの腐食性を伴ったイカ墨で埋め尽くされ、彼らを瞬く間に飲み込んでいった。

 イカ墨の流れた後には大きな窪地ができ、もくもくと白い煙が上がっている。イカ墨が飲み込んだ全てを溶かしているからだ。

 風が線上に流れ込んできて煙を吹き払っていく。

 煙が晴れた風景には、予想通り溶かされた地面と――予想通りではないアーマーズ四人の無事な姿がそこにあった。

「どうやって、あの技をくらって無事にいられたんだ……。大体、あの技はたとえ防いだとしても、その守りごと溶かし崩してしまうんだぞ」

 絶対の自信を持って放った自身の技が破られたことに驚愕するゲソラム。

「それはこの俺が説明してやるぜ」

 お前の疑問を説明してやるぜ。とグリーン。

「全てはレッドの咄嗟の機転のおかげだ。リーダーの指示で、俺はこの大木剣『ナチュラルプレート』を巨大化させて盾に皆を守ったんだ。スミの腐食力と剣の生命力、勝ったのはどうやら俺たちの方だった様だぜ」

「ばかな、そんなことが……。俺様の技がこうも破られるなんぞ――そんなの許されるかぁぁぁぁぁ!」

 触手を切られ、イカ墨攻撃も攻略され、自身の武器を失ったゲソラムは、自棄になり自滅覚悟の突撃にでる。狙いは、体格が一番細いアーマーズの紅一点イエロー。

「えいやぁー!」

 ――ブンッ。

 迫る怪人の眼前にイエローは持っていた柄の長い細身のハンマー「ライトニングハンマー」を遠心力を利用して勢いよく下ろす。

 ハンマーの先端部が、地面に「ドンッ」と鈍い音を立てる。その刹那に、空気をつんざく大音量の雷鳴と眩い雷光の爆発がハンマーの当たった地面で起こる。

 爆発によって放たれた稲妻と土砂が、怪人の突進を受け止めるどころか軽く吹き飛ばす。

 吹き飛ばされたゲソラムは、十メートル先の壁に激突しめり込む。

「チャンスだ。皆、力を一つに、武器を合体させるぞ」

 怪人の動きが鈍るのを見計らったレッドは、最後のトドメに移る。

「「「ラジャー」」」

 双剣、大木剣、ハンマーは変形を行い、一つの姿へと合体を遂げた。

「チェンジ完了。最終兵器メテオシューター」

 最終兵器の姿、それは巨大な銃だった。

「セットアップ完了。システムオールグリーン」「セーフティー1から5までを解放」「最終セーフティー解除準備OK」

 ブラック、グリーン、イエローは迅速に兵器の起動を行う。

「バーンフィスト装填」

 最後に、レッドの持つフィストガード「バーンフィスト」が、レッドが装着する右腕ごと銃身と一体化し、メテオシューターは完成する。

「カウント3、2、1――発射!」

 撃鉄が落ち、レッドが勢いよく撃ちだされる。ライフリングによって回転を増していく拳はまるでドリルの様だ。

「ブ−ストォー!!!」

 レッドは右腕が伸びきった瞬間、メテオバスターとは別に、バーンフィストあらかじめついている撃鉄を落とす。

「シュート!」

 さらに勢いをつけたバーンフィストは、レッドの右拳から離れて炎に包まれ、まるで隕石のように飛んでいきゲソラムを打ち抜いた。

 ドォーーーン!

 着弾と同時に爆破が起り、余波で砂埃や壊れた建物の小さな破片が舞う。

 粉塵を風が攫った後には、ピクピクと動く黒こげになったゲソラムの姿があった。ほんのりスルメを炙る香ばしい香りが漂う。

「ゲ、ゲソラムさぁーーーーん! 撤退! 撤退ッ!」

 まだ動ける戦闘員がゲソラムと仲間たちを抱えて、携帯しているテレポーターで瞬間移動を開始し、彼らの基地へと帰還していく。

「今日も無事に勝てたな」

「……私たちも戻ろう」

「おとといきやがれ、アトスの野郎」

「シャワー浴びたい」

 思い思いに、戦闘終了の感想をつぶやくアーマーズのメンバー。

 かくしてアーマーズの働きによりアトスの魔手は去り、平和な時間が戻ってきたのだった。

56(イソロク)改め、一二三五六(ヒフミイソロク)となっている頃でしょうか。今作品は改名予定前の12日に投稿しています。はじめましての人は初めまして、本編から来てくれた人はこれからもこれからもよろしくお願いします。まったり更新になりますがよろしくお願いします。

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