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奪憶異変―――開戦―――幻想郷各地より


幻想郷を巻き込んだ、妖と妖の戦い。人里の人間たちは、この戦いを知ることなく終わるはずだった。しかし、狂った妖の仕業により、幻想郷全土を戦いの地へと変えた―――








午後一時、紅魔館―――








「………美鈴。」


「なんでしょうか、パチュリー様。」


紅い館の門前、私とパチュリー様、そして小悪魔さんが目の前に広がる人の形をしていない妖怪を見据えていた。


「………私たちの最終目的は、この館を守る事。だけど、このままやられるだけじゃ、私たちの面子も保てない。」


「はい。」


「美鈴。命令よ。私と小悪魔で館を守るから、私たちに、いや、幻想郷に喧嘩を売った愚か者たちを殲滅しなさい!」


「………了解しました。」


私は、腰を落とし、息を整える。妖怪たちを見ながら私は心の中で呟いた。


(………ここは一歩たりとも通さない。私は、この館の………最強の門番だ。)


目を見開き、パチュリー様と小悪魔さんの結界術式が私の後ろで発動し、館が結界で包まれた瞬間、私は、地を蹴り飛ばした。


「覇ァッ―――!」








午後十二時三十分、霧の湖―――








「ん?お前ら、ここに何の用だ?」


あたいは、霧の湖を通り過ぎる妖怪たちの目の前に浮かんでそういった。でも、どうやら言葉を話せるくらいの知性も無いみたいだ。うなり声を鳴らしてあたいを威嚇するだけだ。


「まあ、あんたらのことはゆかりに聞いてるから分かってるよ。だからさ………」


あたいはここ一帯の冷気を操り、こいつらにぶつける。こいつらはあたいを敵と完全に認識したみたいだ。でも、それでいい。


「あたいはこの湖の氷精、チルノ!あんたらの足止めをさせてもらうよ!」


氷の刃を羽に付け、あたいの両手につららを作り、あたいは妖怪の群れに突っ込んでいった。


「妖精舐めんなぁぁぁ!!」








午後一時、永遠亭―――








「てゐ、大丈夫?」


「大丈夫ですよ姫様!千年以上生き続けた白兎を嘗めないでください!」


私とてゐは、永遠亭にのこり、記憶を奪われた四人を保護していたが、それを狙ってか、妖怪達が一気に押し寄せてきた。


「くっ………やるしか無いようね。」


私は手に蓬莱の玉の枝を握り、てゐに言い放った。


「………仕方ない、姫様。出来るだけ前には行かないように!」


てゐがそう言うと、私達が陣取っていた永遠亭の玄関の少し手前から、大量の竹槍が飛び出した。


「さあさあ、こんなこともあろうかと仕込んで置いた大仕掛け!抜けられるものなら抜けてみな!」


そう言うてゐの顔は、いつになく真剣だった。








午後一時、人里周辺―――








「っしょぉっ!」


私は飛び掛かってくる妖怪の横っ腹を蹴り飛ばし、そのまま回転させた勢いでその後ろにいた妖怪も後ろ回し蹴りを叩き込む。その瞬間、私が無防備になり、そこをついて妖怪が襲い掛かるが―――


「あら、私のリグルに何をしようとしてるのかしら?」


無情なる傘がその妖怪を切り裂く。無論、幽香さんだ。


「幽香さん!」


「ここまで幻想郷のルールを無視させる(やから)が出て来るとはね………久々に暴れられる口実を作ってくれたことには感謝するわ。」


「ふふっ、流石は幽香さんです。」


そう言って、人里の門の前にそびえる様に立ち、私は幽香さんに聞いた。


「幽香さん、準備は?」


「完了よ。」


私はファイティングポーズを構え直し、幽香さんはお気に入りの傘の先を目の前にいる妖怪達の群れに向けた。


「あなた達は後悔しなきゃならない。幻想郷に喧嘩を売ったことを!」

「むしろ、後悔させる暇を与えないわ!」


次の瞬間、幽香さんの傘から、極太のレーザーが放たれた。








午後十二時、守矢神社―――








「へぇ、こいつらは神である私らにも喧嘩を売るのかい?」


「神奈子、こいつらはそこまでの知能がないみたいだよ?」


私は、楽しそうに笑いながら言った神奈子に言いつつ、私も笑いながら鉄の輪を構えた。


「まさか外でやったゲームと同じことをするとはねぇ………」


「それは私も同感だ。さ、始めるぞ。」


目の前に広がる妖怪の海。それらは既に、私達に蹂躙される運命が確定された。


「最後まで足掻いてくれよ、そして楽しませろ!」

「神様を嘗めてると、本気で死ぬよ?」


神奈子は巨大なオンバシラを、私は鉄の輪を両手に持ち、妖怪の海へと飛び込んだ。








午後二時、無縁塚への道―――








「………始まったわね。」


霊夢の言葉に、軽く頷いた私は、乗っている箒に力を込め、さらに速度を上げて、木に挟まれた道を進んだ。


「魔理沙!気をつけなさいよ!」


「分かってる!」


私だって、異変解決のスペシャリストの一人だぜ?隠れてる奴くらい分かるさ。


「そこにいる偽物みたいにな!」


私はそう言うと、一本の木へと小さな魔砲を放った。すると、その木から金属で出来たような人形のようなものが飛び出した。


「なんだ?」


「イミテーション………ッ!」


いつの間にか追い付いていた紫幻が苦虫を噛んだような顔でそう呟いた。


「知ってるのか?」

「俺達の世界にあった、空想の物語のモノだ………あれは、ある発生源を叩くしか増殖を止めることが出来ない………!」


そう紫幻が言った瞬間、光が集まり、そこから同じような人形が現れた。それも、あちこちで発生している。


「霧雨、こいつらを最低限叩いて、一番奥まで突っ込むぞ!」


「了解だぜ!」


他の奴らも、未奈斗や涼、碧菜と早苗の指示を受けて、極力戦闘をせずに前へ進んでいる。


「まあ、私はこれ一撃で道が空くがな!」


「………その一撃、俺も乗るぞ。」


そう言って、私達は渾身の一撃を前へと放った。


「恋符………『マスタースパーク』ッッッ!」

「極符『コラプスレーザー』!」


二本の極大のレーザーが、一斉に放たれた。








時刻不明、無縁塚―――








「はーじまった、はじまった♪」


手を叩きながら、少女は笑った。そして、自ら作り出した四体の偽物をゆっくりと撫でた。


「悲鳴、慟哭、絶望………全部が私の糧となる。さぁて、最初にそれをくれるのは誰かな?」


そう言った少女の前に、数え切れないほどの数の妖怪の軍勢が一瞬にして現れた。少女は、明るい声で、言い放った。


「ヤっちゃえ♪」








こうして、火蓋は盛大に落とされた。

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