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奪憶異変―――事のハジマリ


「未奈斗ー、今大丈夫ー?」


「うん、今行くよー。」


僕はちょっとストップしかかっていた魔法薬開発を一旦打ち切り、アリスの元へ向かった。


「どうしたの?」


「あのね、実は暖を取るための薬草が切れちゃってて………このままじゃ、冬を越せないから、採ってきて欲しいんだけど………」


「ん、わかった。じゃあ早速行ってくるよ。」


「ありがとう。じゃあ、帰って来たらお昼にしましょう。」


「うん、じゃ、行ってきます。」


僕はいつもの黒コートを着て、薬草が手に入る場所まで飛んだ。


「うー、もう寒くなってきたなぁ………早く帰ろう。」








薬草の手に入る場所まで着き、薬草を採取し始めた。


「お、こんな所に僕が欲しかった薬草も………」


私的な理由も有りながら、薬草を採取し終わった、次の瞬間だった。


「………あぁぁぁぁぁっ!!!」


「!?………アリスの声っ!?」


僕は薬草を投げ出し、全速力でアリスの家まで戻ろうとすると、進行方向に、有り得ないものを見た。


「あれは………僕?」


僕は僕と同じ姿をした人を見た。だけど、その顔はなんだか歪んでいた。


「〜〜〜♪」


「………ちょっと待ってくれないかな?」


僕が呼び止めると、僕と同じ姿をした人は、こちらを見て、笑いはじめた。


「あはははっ♪本物の登場だね、日向未奈斗♪」


「………何で僕の名前を知ってるのかな?」


「それは言えないよぉ〜?ま、早く帰った方がいいんじゃない?」


そう言って、僕の姿をした人は、消えるようにいなくなった。


「ッ!待て!くそっ………速く戻らないと………!」


戻った時には、争った形跡が無い部屋の真ん中に、アリスが静かに倒れていた。








涼side―――








「フラン様ー?どこにいらっしゃるんですかー?」


俺は今日、一回も姿を見ていないフラン様を探していた。フラン様の事だ、ちょっと驚かしてやろうとでも思っているのかも知れない。


「あら、涼。どうしたの?」


俺が歩き回っていると、今の仕事を終えたであろう美鈴と出会った。


「あぁ、美鈴。フラン様を知らないか?今日は一度も見かけて居ないからな………」


「そうなんですか?おかしいですね………妹様はもう起きていらっしゃるはずですよ。妹様の部屋には行ってみましたか?」


「ああ。それでも、誰も居なかったよ。」


「うーん………後は………」


美鈴と俺が首を傾げていると、小悪魔が慌てて飛んできた。


「た、大変です、涼さん、美鈴さん!」


「どうしたの?そんなに慌てて。」


「元、妹様の部屋に行く道が何かによって封鎖されて居るんです!パチュリー様が魔法を撃っても跳ね返ってくるだけで………!」


「美鈴!行くぞ!」


「ええ、急ぎましょう!」


俺と美鈴、そして小悪魔は急いでパチュリーのいる大図書館の奥地へと向かった。








少年少女移動中………








「はぁ………はぁ………っ!」


「パチュリー様ぁっ!」


俺達が大図書館に着いた時には、辺りの本棚は燃え尽きていたり、凍りついていたりと、酷い状態になっていた。


「美鈴はパチュリー様の応急処置を!俺が破ってみる!」


「わかりました!」


美鈴が小悪魔が安全な所に移動させたパチュリー様の所に行くと、俺は倒れている本棚を踏み台にして、空中で剣に気と魔力を貯めた。


「気雨『フォーススコール』!」


気と魔力が込められた雨状の弾幕が封鎖された扉に降り注ぐが、扉の前に現れた半球体の壁が弾幕を全て正確に俺に跳ね返した。


「ちぃっ!どこのリフレクだよ!」


帰ってきた弾幕を剣で切り裂き、地面に降り立った瞬間、扉に向かって走り出した。


「こうなりゃ物理だ!」


扉にたどり着くと、扉に何か紋様が刻まれていたのが見えたので、その紋様に向かって切り付けると、物理対策が無かったのか、扉が綺麗に切れてしまった。


「………まあいいか。美鈴!先に行ってるぞ!」


俺が扉を抜けると、俺と同じ姿をした奴がそこにはいた。


「む、また本物かぁ………やり口が甘いのかなぁ………」


「誰だ、お前。」

「教える訳無いじゃん?彩華涼君♪じゃあねー。」


「帰すと思ってんのか?」


「帰して貰うんじゃなくて、帰るの。私の能力でね。」


「させるか!」


俺が時を遅らせ、剣を奴に振り切った時には、奴はすでに消えていた。


「くそっ………フラン様はっ!?」


俺は、弾かれた様に走り出した。








碧菜side―――








「碧菜、少しは休んだら………?」


「嫌よ、永琳。私は何としてもこの『電を司る程度の能力』を使いこなしたいのよ。」


私は、ここ数日間、私の能力である『電を司る程度の能力』について検証を重ねていた。

例えば、前もやった事があるが、自分の足と地面の間に強力な電磁力を発生させ、高速で移動する技。あれはどこまで加速するか。

他にも、相手の体内に電気を流し込むにはどうすればよいか、電波を使ったトラップ等、いろいろ試していると、いつの間にか一週間経っていたらしい。


「………でも、永琳の言う通りかもね。少し休もうかしら。」


「とりあえず、疲れを取る薬なら作っておいたから………まあ、少しゆっくりしなさいな。」


私は庭から永琳がいる廊下まで歩き、廊下に腰を下ろした。


「にしても、貴女、物凄い集中力ね。」


「好きな事にだけ、よ。まあ………好きじゃ無かったらこんな事しないわよ。」


「そうね。」


軽く微笑み合い、私は口を開いた。


「あ、そうだ。新しく探知技を考えたのだけど………やってみても?」


「ええ。」


永琳からの許可をもらい、私は体から電気の糸を張り巡らせるようにイメージ、その電気の糸がキャッチする信号を私が変換する。


「………永琳がそこにいて、てゐは竹林で罠作ってる。輝夜は………自室でパソコンを弄ってる、で鈴仙は………あれ、永琳。鈴仙は人里に行ってる?」


「いや、今日は部屋で勉強するって言ってたけど………」


もう一度、今回は鈴仙の部屋の回りから発生させる。すると、鈴仙の他に、知らない奴の反応があった。


「ッ!永琳、侵入者!」


「わかったわ。うどんげの部屋ね。」


永琳は走って部屋に向かい、私もその後を探知をしたまま追った。








少女移動中………








「碧菜、鈴仙と侵入者は動いてる?」


「動いてない。………行くわよ。」


鈴仙の部屋の扉前に到着した私達は、扉を思い切り開き、中にいる侵入者を睨みつけた。でも、私達は目を見開いて驚いた。そこには………


「私………?」


私の姿をした奴が光り輝く球体を持って歪んだ笑みを浮かべていた。


「あはははっ、時間切れ♪も〜う、ちょっと早かったらねぇ♪」


「あんた、誰よ。いや、誰でもいいわ。あんたは侵入者。それだけで十分よね?」


「話が分かるね、刻麗碧菜。だから、侵入者の私は今すぐ逃げさせてもらうよ。」


「私の事を忘れて無いかしら?」


永琳が、弓を構えて、逃げる姿勢をとった奴に向けていた。


「忘れてないよ、ただ………何時でも逃げれるからね♪」


次の瞬間、奴は姿を一瞬にして眩ませた。奴がいた所には、電気が放たれており、私の電磁力の移動と同じ技だったことが分かる。


「チッ………逃げられたわね。」


「仕方ないわね………鈴仙は?」


「ここよ。気絶しているわ。」


永琳が鈴仙をいつの間にかこちらに運んできていた。私は息をつくと、その時、鈴仙が目を開いた。


「鈴仙、大丈夫?」


私がそう聞くと、鈴仙は目を泳がせながら、衝撃の一言を言い放った。








紫幻side―――








「小野塚、寝るな。雷裁『インディグネイト・ジャッジメント』」


「きゃああー!?」


俺は日課になりつつある、居眠りしている小野塚を荒行で起こし、その横に腰を下ろす。


「あ〜………紫幻かい。あんたも真面目だねぇ………」


「お前みたいにバレやすくサボってはいないからだ。俺だってサボりたくなるときはある。」


「ふ〜ん、そうか………」


「お前も、四季に構って欲しいからそうやってるんじゃないのか?」


俺がサラッと言い放つと、小野塚は豪快に笑った。


「アッハハハハ!そりゃあ七十年位前はそうだったさ!でも今は、四季様とは信頼関係しか無いし、それ以上踏み込む気も無いよ。」


「そうか、ならば尚更質が悪い。」


「きゃんっ。」


俺は頭に拳骨を落としておいた。


「………何だかこの頃、四季が俺に昔彼女はいたのかとか何か欲しいものがあるかとか聞いてくるんだが………」


「朴念仁、初な四季様の気持ちくらいわかってやりな。」


今度は小野塚に拳骨を落とされた。


「何故俺が拳骨を受けなければならない。」


「あんたは少し女の気持ちを分かれ。四季様が不憫で仕方ないよ………」


「ああ………やってみるか。」


「そうさね。………久し振りに、やるかい?」


そう言って、小野塚はこちらを振り向きながら鎌をゆっくり構える。


「………いいだろう、お手柔らかにな。」


俺も小野塚のものより一回り大きい鎌を構えた。


「さぁ………行くよっ!」

「ああ、こちらも行くぞっ!」


俺と小野塚の鎌が激突した。もの凄い衝撃波が彼岸全体に響き渡る。


「やるね、紫幻………!」


「小野塚こそ………っ!」


そう言って、一度小野塚を弾き飛ばし、もう一度接近しようとした時だった。


「た、大変です、小町さん、紫幻さん!」


俺達を止めたのは、彼岸にいる警護の死神のひとりだった。


「どうしたんだい、無花果(いちじく)?そんなに慌てて。」


「し、四季様が………四季様が………っ!」


「ッ!行くよ、紫幻!」


「分かった………!」


俺達は小野塚の能力で、直ぐさま四季のいる場所へと移動した。


「四季様っ!」

「四季!」


俺達が慌てて中に入ると、四季は普通に立っていた。


「何だ………心配かけないでくださいよ………」


「本当だ………」


だが、次の瞬間、俺達は言葉を失った。


「すいません………あなたたちは、誰ですか?」










「どういう理由で、彼女達の記憶を奪ったのかは知らないわ。けれど、これは重大な異変。………協「何を言ってるの?」………どういうこと?」


薬師の言葉を遮って、楽園の巫女さんは他の三人と目配せをし、口を開いた。


「言われなくても、もう既に準備は完了よ?」


そこには、陰陽玉とお祓い棒を構えた楽園の巫女さん、小さな八卦炉を取り出し、手入れをしている魔法使い、ナイフを手に何本も握っているメイド長、現人神の力をかもしだしている山の巫女さんが居ました。


「………!ありがとう………」


「礼を言ってる暇があったら、さっさと行動だぜ!」


「私も、行ってくるわ。」


「さあ………行きますよっ!」


「永琳、貴女はここよ。怪我人がでるかもしれないからね。」


「………分かったわ!」


そうして、五人は行動に入って行きました。

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