永夜異変―――動き出す五色の紡ぎ糸
短いですが、物語が進みます。
未奈斗side―――
「………目を開ければ、知らない天井だった。」
うん、言ってみたかっただけ。でも、本当に知らない天井だ。そう心で思いながら、僕は体を起こし、辺りを見た。
「和風………じゃあ、ここは永遠亭かな?」
「その通りよ。」
僕の後ろから声がし、振り向くと永琳が笑顔で入って来ていた。
「あ、永琳さん。」
「永琳でいいわよ。さて、体の方は大丈夫かしら?」
「あ、はい。何とか。」
「そう。あの後、アリスちゃんだっけ?その子が凄い剣幕でね。あなた、相当好かれてるわよ。」
「分かってますよ………分かりやすい反応しますしね。」
本当にアリスの反応は分かりやすい。顔赤らめるとか………
「まあ、アリスちゃんも中々のダメージだったしね。あなたの隣の部屋に居るから、起きたなら行ってきなさい。」
「あ、はい。それと………」
「ああ、もう月は戻しておいたわよ?あの巫女、本当に人間なの?」
そういって、永琳は出て行った。確かに、あの巫女は人間かどうか疑問だ。
少年移動中………
「アリス、いる?」
扉の前で呼び掛けたが、返って来ないのでとりあえず入ると、アリスが気持ち良さそうに眠っていた。
「ふぅ………心配したぁ………」
僕は安堵の息を吐くと、アリスを見て、髪を撫でた。
「アリス………」
僕はそう呟いて、心の中で永琳が言った言葉を繰り返した。
『あの子、相当あなたを好いてるわよ?』
「………ははっ。僕、本当に幸せ者だな。こんなに可愛い子に好かれて。」
僕がそう言うと、アリスが目をゆっくり開けてきた。
「………ふぇ?未奈斗?」
「あ、起こしちゃった?」
「え!?う、ううん、大丈夫よ。」
顔を朱くしながら言うアリス。僕は、その顔をじっと見た。
「な、何よ?」
「アリス………」
僕はキョトンとするアリスを羞恥心を投げ出して抱きしめた。
「へ、へ、へ………」
「アリス、僕はアリスの事が好きなんだ。出来れば………付き合ってくれないかな?」
そう言って、アリスの返事を待った。
「…………」
「………ぅん………」
「………え?」
「だから………浮気したら、許さないわよ?」
「………うん、わかってるさ。」
そう言って、僕はアリスをより一層強く抱きしめようとした、その時。
ガァァァァン!
「な、何!?」
「どうやら、すぐに休ませてはくれないみたいだね。」
僕とアリスは頷き、衝撃音があった方へと飛び出した。
少年少女飛行中………
僕達は衝撃音があったであろう場所に来たが、今のところ何も見つからない。
「見つからないね………」
「ええ………あ、未奈斗、あそこ!」
アリスが指さした場所をみると、女の人が倒れていた。
「とりあえず、助けよう!」
「ええ。」
僕が女の人に近づいて声を掛けてみた。
「大丈夫ですか!?」
「………ぅ、あぁ………だ、誰………?」
呻き声を上げながらこちらに顔を向けると、僕がとても、そう、とてもよく見た顔がそこにあった。
「まさか………その声は………」
「あ、れ………その、声は………未、奈斗………?」
「やっぱり………碧菜か!」
「うん………久し、ぶり………」
碧菜は、そういうと共に、気を失った。
「っ!!アリス、永琳に急患って伝えて!」
「ええ!」
僕は碧菜を担ぎ、永遠亭へと急いだ。
その時、焦っていたからか、その後ろに開いたスキマに気がつかなかった。
紫side―――
「ついに………始まるのね。」
私は今まで未奈斗がいた場所に現れ、呟いた。
「連れて来たのは私だけど………まあ、これはあの子の問題。私がとやかく言うことでも無いわね。さ、黄色は見つけた。後は紫と緑………さ、私も久々に準備しましょうか。」
私はスキマを開き、扇子で口元を隠して笑った。
「さあ………楽しませなさい。」
スキマの中に入り、私はこの場を去った。
未「なんで碧菜が来たの?」
作「大方、おまえと涼を心配したんだよ。」
未「そっか………そして、また紫の意味深な言葉が………」
作「これがこの小説のメイン。さあ、ここから本気だ!」
未「はいはい、頑張れ。さて、次は涼君の場所に………オイ、この手帳読めないぞ。」
作「勝手にみるなぁぁっ!」
未「では、また次話で!」