永夜異変―――千発千中の薬師
薬師は強し。
未奈斗side―――
僕達がうどんげに案内を頼んで(脅して?)、たどり着いた先には永遠亭があり、うどんげは震える声で話し出した。
「ここです………」
「はい、ありがと。もうどっかいっていいよ。」
「次は無いと思うことね………」
アリスが言った後、うどんげはもの凄い速さで竹林の中へと逃げて行った。あれ?うどんげは中に住んでたよね………?
「さて………ここからは引き締めて行かないとね。」
「ええ。この中にいるのね。首謀者が。」
「うん。さ、行こう。」
そして、僕達は永遠亭の中へと足を踏み入れた。
「ぐっ、壊符『四方滅陣』!」
「邪魔よ!絆符『親愛の外来製人形』!」
永遠亭に入って五秒位すると、もの凄い数の武装兎が僕達に襲いかかり、僕達はスペルで応戦していたが、段々と追い付かなくなってきた。
「くっ………アリス、ちょっと伏せて!」
「ええ!」
アリスが聞いてすぐに伏せ、僕は新しくスペルを作り、宣言した。
「吹っ飛べ、爆符『千連爆炎珠』!」
僕の周り全体にいきなり爆風が巻き起こり、伏せていたアリスと僕以外、つまりは武装兎全員が吹っ飛んだ。
「ふう………危なかった。」
「なんとか、安全は確保出来たわね………」
そうアリスが呟くと同時に、僕達二人は動いていないはずの廊下が軋む音がした。
「まずいな………」
「どうしたの、未奈斗?」
「………幻想郷最強クラスの人物がくる………!」
次の瞬間、向こうの方の角から曲がってきた赤と青のナース服を着た人物が現れた。
「あら、珍しい客人ね。」
「うん。ま、病気じゃ無いけどね。」
月の頭脳―――八意 永琳。
「そう?なら、さっさとお帰り申したいのだけど?」
「この異変を解決したら帰るからちょっとまってくれないかしら?」
「あら、交渉決裂ね。なら、力付くで帰っていただくわ!」
その言葉と共に、永琳の姿が消え去った。
「なっ!?」
「遅いわね。」
僕が気付いた時には、永琳の足が僕の鳩尾に突き刺さっていた。
「かは………っ!」
「未奈斗っ!」
「他人の心配をする暇があるのかしら?」
「ッ!!」
アリスが僕に話し掛けた一瞬で、永琳はアリスの顔面を足で打ち抜き、アリスを地面へと叩き付けた。
「な………っ。」
「弱いわね………あなた達、この程度なの?」
永琳が余裕の表情でこちらを見ながら言った。僕は心が一気に折れかかったが、弓を取り出して永琳に向けながら言った。
「流石は幻想郷最強クラスの人物………でも、負ける訳にはいかないんだ!」
「言うわね。そこまで言ったのだから、退屈な戦いだけはしないで頂戴ね!」
永琳も弓を構え、次の瞬間には、この廊下一帯に矢の嵐が巻き起こった。
「あああぁぁぁっ!」
僕は飛んで来たり、跳ね返って来る矢をかわしながら、永琳目掛けて何本も矢を放っているが、永琳はその矢を永琳が放つ矢で打ち落とし、更に矢が五本程一気に返って来る。
「言っただけはあって、やっぱりなかなかやるのね。私の弓にここまで耐えた人間は居ないわ。」
「褒め言葉と受けとっておく………よ!」
そう言ってはいるが、永琳は全く疲れた素振りをを見せていないのに対し、僕は既に息が切れ始めていた。
「くっ………そぉぉっ!」
僕は自棄になりながら、永琳のしていることと同じこと、五本同時打ちを真似してみた。すると、全ての矢が真っ直ぐ飛んで行き、永琳の矢を打ち落とすことが出来た。
「やるわね………火事場の馬鹿力ってやつかしら?」
「はっ………はっ………」
矢の嵐が止まり、僕は手を膝に当てて疲労感を表していた。
「あなたは良くやった………だけど。」
「ッ!」
永琳の姿が揺らぎ、僕は飛んで来るであろう蹴りを避けようとしたが。
「私に挑むにはまだまだ早いわね。」
飛んだ所に永琳が現れ、蹴りが僕の鳩尾にまたも突き刺さった。
永琳side―――
「なかなかやるわね、あの子。さて………」
私が倒れたこの子を運ぼうとすると、横から弾幕が飛んできた。
「ハァ………ハァ………未奈斗には………触らせないわ………」
「………相当、この子に惚れ込んでいるみたいね。」
「ふざけないで………!」
「はぁ………私は殺す気なんてさらさら無いわよ。この子を殺したくないから介抱するのよ。」
「信用できるとでも………!」
「あなたも。そんなフラフラなのに。死なたいなら知らないけど。さ、どうするの?」
私が言うと、女の子は歯を食いしばりながら、私に言った。
「変な事をしたら………分かってるわよね。」
「はいはい。さ、私について来なさい。」
そういって、私は男の子を運び、女の子が私について来るのを確認し、私は廊下を歩いて行った。
未「負けたぁぁぁ!」
作「初めての敗北だな。」
未「まあ、仕方ないかな。永琳さんだし。」
作「じゃあ、私は次の話にいくよ。」
未「今回短いね。では次話は………ま、次のお楽しみで。」
作「では、また次話で!」