五色の紡ぎ糸―――白と黒
短いですが、物語の核心をつく話です。
未奈斗side―――
紫が僕達を落とした………そう確信していた僕達は紫に聞いた。
「紫、貴女は僕達をこの幻想郷に落とした。それはあってる?」
そう聞くと、紫は口元に持っていた扇子を降ろし、真剣な顔で話しはじめた。
「あなた達は確かに、私が落としたわ。でも、それは私の気まぐれでは無いわ。」
「………どういうことだ?」
「そうね。説明する前に………お二人は席を外してもらってもいいかしら?」
紫はレミリアとフランに向かっていい、レミリアとフランは空気を読んだのか、頷くだけで屋根から飛び去った。
「さて………今、私は気まぐれで落としたのではない、と言ったわね。つまりは、あなた達は落とされるべくして落とされたのよ。」
「僕達のどこに、落とされる理由があるのさ?今となっては落とされてよかったこともあるけど。」
「………あなた達は"幻想"を知りすぎたのよ。」
「その"幻想"ってのはこの幻想郷の事か?なら俺達以外のやつも落ちている筈………」
「いえ、あなた達はその中でも異質だった。あなた達は能力を発現してしまっていたのよ。」
僕達は首を傾げた。能力はこの幻想郷で発現したはずだ。
「ふざけないでよ。僕達は幻想郷で能力を自覚したんだよ。来るまでで能力があることなんて知らなかったし。」
「そう、この幻想郷で"自覚"したのよ。"発現"したのは元の世界。未奈斗、あなたは元の世界で直ぐに感情が元に戻せたのではなくて?涼、あなたは皆がやっている事を真似できたでしょう?」
「なっ………?」
確かにそうだ。僕はどんなに嫌な事があってもその感情が次の日になれば無くなっていた。涼は僕達の東方プレイを見たらそのプレイを直ぐに真似できた。
「心当たりはあるでしょう?それは、能力の一端が既に出て来ていたのよ。」
「そうか………だから、僕達は現実にいられなかった………いや、それなら早苗は!?」
「早苗?………ああ、あの巫女?あの子は人間では無いわ。現人神だから、能力をもっていてもおかしくないわ。」
「そういえばそうだったな。現人神だもんな。」
僕達が納得していると、紫がまた扇子を口元に持って行きながら言った。
「それと、私から今から頼みがあるのよ。」
「頼み?」
「そう。頼まれてくれるわね?」
「………内容によるな。」
「そう?ただ………今ここに異質な妖力がうごめいているのよ。この妖力をどうにかしてほしいのよ。」
「僕達に妖力関係を言っても………」
「もしかしたら、あなた達が知っている異変かも知れないわよ?」
そう紫に言われ、考えると、涼が顔を上げて言った。
「分かった。翠夢想だ。未奈斗、どっかにロリ鬼がいるはずだから見つけてボコボコにするぞ!」
「連宴異変、てか。了解。じゃ、紫。何か見返りを要求するよ。」
「ふふっ。考えてあげるわ。」
そして僕達は屋根から飛び降りた。
紫side―――
「さあ、この幻想郷の異変を全て知る者達よ。頼むわよ。あなた達が知らない異変が近付いているわよ。………白と黒は招かれた。残りは三本。緑は自ら、黄は友を探す為、紫は自分を殺める為………五色の物語の紡ぎ糸はまだ揃わない。揃った時、この幻想郷に異変が起こる。私はそれには関与出来ない。紡ぎ糸達の物語なのだから。」
私はそう言ってから、空を見上げた。
「ま………今は今を楽しみましょう。さ、霊夢でも弄りにいきますか♪」
スキマを開き、私はそのスキマに入った。
未「紫との対話なのに………短すぎでしょ。」
作「これは私の力不足です、マジ申し訳ありません。」
未「まあ、何か紫が言ってたけど………」
作「余り言わないでね。目茶苦茶考えてあんな中二発言になったんだから。」
未「はぁ………さて、次話はやっと翠夢想です。」
作「久々のバトルシーンでグダクダになりそうですが、頑張っていきたいと思います。では、また次の話で!」