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S-159 「ほれ。飛び散れ」★

【警告】 今回は敵キャラクターによる、非常に不快かつ残酷なシーンが含まれます。耐性のない方は閲覧を強く推奨しません。



 バイレスリーヴ南/巨大海門/橋上【視点:世界(観測者)】


 ジーナが絶叫し、盾を構えて突進する。その姿を認めたバッコルは、目を細め、醜悪に口元を歪めた。


「おぉ?お前は……。儂のお気に入りの……どこへ行っとったんじゃぁ」


 彼は、かつて愛玩していたウィスカと瓜二つのジーナを、逃げ出したペットだと誤認した。

 バッコルが彼女の頭上で掌をかざすと、赤黒い磁場のような魔力が、ジーナの身体を空中に拘束した。


「ぐッ……動け、ない!?」


「悪い子じゃ。躾が必要じゃのう。じゃが、まずはお前じゃ」


 バッコルは、掌に残っていたシャラヴの頭を指で掴む。


 ミシッ……


「いやよ!!やめて!やめっ!!!」


 ブチッ……ズリュ……


 彼女の頭は引きちぎられ、脊髄ごと引き抜かれた。


 ブジュ……


「うむ、魚卵のような珍味よ」


 その頭を喰らうバッコル。残った身体はごみの様に投げ捨てた。


 ドチャ……


 その惨たらしさを見た戦場は、阿鼻叫喚に包まれる。


「こッ、皇女が殺される!!!」


 冒険者たちの叫びを無視し、バッコルは指先を指揮者のように動かす。見えない刃が、ジーナの黒鉄の鎧を切り裂き、剥ぎ取っていく。戦場の中央で、彼女は裸同然のあられもない姿へと変えられていく。


 ジーナは屈辱に顔を歪め、短く呻いた。


「くっ……」


「ジーナ姉!!」


 ウィスカが短剣を投擲する。刃はバッコルの喉元に突き刺さるが、分厚い脂肪と筋肉に阻まれ、薄皮一枚傷つけただけに終わる。バッコルは気にも留めない。


「ミセイラ!」


「あなた!」


 ゼクが吼えた。ミセイラの強化魔法《剛力》と《神速》を受け、リザードマンの身体能力を極限まで高める。彼はバッコルの死角へ回り込み、ジーナを掴んでいる手首めがけて、渾身の戦斧を振り下ろした。


 ドゴォッ!!


 斧刃が、バッコルの手首の半分まで食い込む。だが、骨が硬すぎる。斧が抜けない。


「――やるではないか、蜥蜴」


 バッコルが余裕の表情で嘲笑った。


「儂は、柔らかい肌が好きでのぉ。蜥蜴の硬い肌は好かんのじゃ」


 バッコルの身体から、赤黒い稲妻が逆流し、斧を通じてゼクを襲う。


「ぐががッ……!?」


「あなた!!」


 ミセイラが飛び出し、ゼクの背中に抱きついて防壁魔法を展開する。だが、神を騙る怪物の魔力は、人の魔術を容易く貫通した。


「ほれほれ!!貴様の異種族愛はその程度か」


 バッコルは楽しむように腕を動かし二人を振り回す。やがて飽き飽きした様子で、その動きを止めた。


「飽いたわ」


 ドォォォォォン!!


 赤黒い雷撃が宙に舞った二人を飲み込む。ゼクとミセイラは同時に絶叫した。


「「あがぁぁぁ!!」」


 二人の影は、抱き合ったまま遥か下の海へと消えていった。


「玩具なりの物語があるのじゃな。……さて」


 バッコルは、再び拘束したジーナに視線を移す。


 鎧や衣服が剥がれ、あられもない姿となった彼女を、バッコルは逆さに掴み上げ……


「どれ、必死で鍛えた肉の強度を試してやろう」


 巨大な指で、その無防備な下腹部を弾いた。


 バチィン!!


 その衝撃は攻城兵器に等しい。


「ぐぶぉぁぁあ!」


 吊り下げられたジーナの身体は振り子のように揺れ、腹部への衝撃で内臓が跳ね上がり、口から吐しゃ物をまき散らす。バッコルは嗜虐的な笑みを浮かべ、さらに指に力を込めた。


「おぉおぉこの程度か、ならば、全部吐き出すまで搾り出してやろう」


「ジーナ姉!!」


 ウィスカが必死に止めようと、背後からバッコルに近づこうとするが、暴走した黄金衆が立ちはだかり近づけない。


 バッコルはジーナの腹部を、太い指で挟んで抑えた。


「ふぐぅぅ………」


 ジーナが苦悶の声を漏らす。


 ブチュ…。嫌な音が響き、万力のような圧力がかかった。


 内臓が破裂寸前まで圧迫され、彼女の内容物が飛び出す。


「ガアァァッ!!」


 鍛え抜かれたその腹筋も、神の前では余りに無力だった。バッコルは楽しげに笑う。


「ほほほ、もう残っておらんか?」


 バッコルは、あろうことかジーナの無防備に晒された肉に、その巨大な指を無慈悲に突き立て、抉った。


「ぐぶ……おぼぉぉぉぉ!!!」


 人体構造を無視した暴力的な圧迫。ミシミシと骨が軋み、本来そこにあってはならない深さまで、太い指が肉の中に沈んでいく。


 ジーナはもはや悲鳴ですらない、絶望的な嘔吐の音を漏らした。胃の内容物と大量の鮮血が、バッコルの腕にかかる。その指が勢いよく引き抜かれると、彼女はカエルのように脚を痙攣させ、穿たれた穴からは、止めどない赤がドロリと溢れ出した。


 バッコルはその匂いに、不快そうに鼻を鳴らした。


「汚いのう…指が汚れたではないか…」


 涙と胃液で汚れ、虚ろな目でジーナは懇願する。


「……殺せ……一思いに……殺してくれ」


 バッコルは興が冷めたと言わんばかりの表情を浮かべた。


「儂は命乞いが聞きたかったのじゃがな…。興ざめじゃ。飽いたわ」


 バッコルはジーナの身体を振り上げる。


「ほれ。飛び散れ」


 愉悦に歪んだ声と共に、彼はジーナの片足首を掴んだまま、その身体を橋の石床へと全力で叩きつけた。


 べチン!!


「あ゛がっ……!」


 ジーナは反射的に腕で受け身を取ったが、ベキリという音と共に腕が折れ曲がる。口から大量の血を吐き出し、意識が飛びかける。


「ほほ、身体は死を望んでいないようじゃが。もうそのなりでは生きることはできまいて。潔く弾けるんじゃ」


 二度目の振りかぶり。そして無情にも振り降ろされた。


「姉ッ!!」


 ウィスカが黄金衆の攻撃を身体に受けながらも、飛び込んだ。彼女は自らの身体を滑り込ませ、ジーナと地面の間に割り込む。


 ブジュッ!!


 ウィスカの背中が、ジーナの衝撃を受け止める。二人の身体が重なって弾み、血を吐いて転がる。ウィスカの背骨が嫌な音を立てた。ジーナは白目を剥いている。


「同じ顔が二つ、美しい姉妹愛じゃ。……ならば、二人を一つの肉の塊にしてやろう」


 バッコルは両手で彼女らの身体を掬い上げ、ハエでも潰すように、巨大な手のひらを合わせて圧迫させた。ウィスカが悲鳴を上げる。


 バキバキ……ゴキッ……


「あ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ッ、父様ッ!!」


 骨が砕け、肉が混じり合う寸前。その時……


「グルルルルァァァァッ!!止めろっ!!!」


 銀色の閃光が、バッコルの腕に食らいついた。ルガルフだ。黄金衆の群れを強引に突破し、彼は獣の顎でバッコルの手首を噛み砕き……


「ぬッ!?」


 即座に腕を駆け上がってバッコルの顔面へ肉薄し、その鋭い爪で額にある第三の目を引き裂いた。


「グォォッ!?」


 バッコルは怯んで両手を離す。その掌から、血まみれの皇女たちが滑り落ちた。


「小賢しい犬っころが……。貴様も混ざりたいのか?」


 バッコルは、ただれた手首を振って再生させながら、爛々と輝く三つの目(羊の目と、額の再生した第三の目)でルガルフを睨みつけた。その背後には、地獄のような赤黒い翼が広がり、絶望の影を落としていた。

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