おじさんにとってね、タバコ吸わない時は死ぬ時さ
ある日の昼下がり1件の依頼が舞い込む
お気に入りのタバコを吸いながら電話を取る
いつものよくある依頼かと思えば、一風変わった以依頼であった
「・・・を願いたい」
ごにょごにょ言ってるのか電波が悪いのか上手く聞き取れない
「もう一度言ってくれ、なんだって?」
「だから、、!・・・をお願いしたい!」
「は?なんだって?」
「ある少女の後を付けて貰いたい!これで聞こえるか!」
私は何故キレられなければならないのか、もしかしてこちらの耳が悪くなったのか?歳には勝てないものだ
「・・詳しく聞こうか」
私は心を制しつつ話を聞くことにした
タバコも忘れずにふかしておいた
話によるとターゲットは17歳の少女、送られてきた写真で確認しても普通に見える可愛らしい女の子だ
「それで?その子をなぜ付けなきゃならん?まさかお前さん盗撮してくれって依頼じゃないだろうな?そんなの御免だぞ」
「違う!私をそこら辺の変態犯罪者だと思うな!私を舐めるな!私がその子にとってなんだと思ってるんだ!」
「そうかっかしなさんなよ、ちょいとしたジョークだぜ?」
「センスのないジョークだ!くそっ!」
何故そう怒る、私のジョークセンスはそれなりにいいはずだがなぁ
まあ話を茶化しても進まないからこれまでにしておこう
「で、なんだよ」
「私はな!その子の父親なんだ!あの子のことが心配なんだ!」
なんでこいつこんなに怒ってんだ?そんなにあのジョークが気に触ったか?まあこういうよく分からん奴を理解しようとするのは無駄なのかもしれん
「落ち着けよ、時間はあるんだから」
「あぁっくそ!はぁ、はぁ、、すぅーーふぅ
私はある会社の社長でな、前まではよく娘と喋れてはいたんだ、ある一定の時間だけだったがかけがえのない時間だった、、、」
なんか、、、うん、、優しく接しようかな、、、、
「ところが最近は全く喋ってくれないし、それではどころか私のことを避けているような気がするんだ、、、、」
「そりゃあその歳になれば多少の親離れはあるだろ、まあ人にはよるけどよ」
「そんな事は無いはずだ!あんなに優しかった娘があそこまでツンツンするのはおかしい!」
急にツンツンとか可愛い表現使うやん、こいつ
「それに私に隠れて誰かと会っているみたいなんだ、、」
「彼氏とかじゃねぇの?その歳ならよぉ」
「そんなことがあっては耐えられない!私がいるというのに!だから今回依頼しているのだ!
もし娘に彼氏が出来ていた場合そいつを消して欲しい!そうすれば、、、娘も私のとこにくるはずだ!」
これは果たして家族に対して向ける愛情なのか?異質すぎるぞ、これは
いやはやこの家業をやっていると業の深い者に出会う、その中でもこいつは過去一レベルだな
「難しい依頼をするな、、ターゲットを消すんじゃなくて、その周りのヤツを消すとなると証拠隠滅が面倒になる、まずそいつの情報を知らねばならなくなるからな」
「証拠隠滅は任せてくれ!私は社長だと言っただろう?そんなの権力を使えばどうとでもできる!」
こんな感情的なやつが証拠隠滅を出来るほどの大企業の社長を出来るのか?甚だ疑問だ。
それに証拠隠滅できるんなら自分たちの手でやれよ
なんでうちに任せるんだ、なんだか嘘くせぇ
「まあそれなら多少安心はできるが、少し疑問だ、なんで消すのはこっちの仕事なんだ?そっちでもやれそうに聞こえるが」
「消すのは内密にしたいんだ、プロならそんなに証拠も残さないだろう?少しの証拠なら私の信用できる奴らに任せれば消せるはずだと思ったんだ」
質問に答えてんのか?消すのを大々的にやる奴はいねぇよ、馬鹿か?こいつ。あ、そういう奴だったわ
「まあ分かったよ、で報酬は?それ次第だな」
正直こんなやつの相手をしたくないから報酬次第とは言ったが、基本報酬が少なくてもやるのが私のポリシーだ。この世界には残酷な事もある、それに絶望し、殺しという暴力を必要とする時が幾つもあるそんな時に金がないやつはどうしようもなくなっちまう、だから私はそんなやつを救うためこの仕事をしているんだがな。
やりたくない仕事はこう言ってる、結局受けちまうけどせめてもの抵抗ってやつだ
「報酬は一千万!それ以上はない!」
「ラッキー!あ、じゃなくて承ろう、、」
口が滑っちまった、仕方ないね、おじさんも金には弱いんだ
と、かくかくしかじかで変な依頼を受けることになった
少女の後をつけ彼氏がなければそれでよし
たったそれを確認するだけで一千万
上手く行けばこれだ、楽だね
あの社長に聞くところによると彼女は頻繁にこの辺にいるらしい、てか社長ってそんなに忙しいのか?仮にも親だろ?なんか居るらしい場所とかじゃなくて普通に登校してる学校とかちょくで教えてくれよ、一方的にそれ言ったら切りやがって、まあ文句言っても仕方ないお客様だし、、、一千万だし、、
見つけたあの子だな
なるほど可愛らしい子だ、若かったら声をかけてたね・・・・・・言っておくがジョークだぞ?
今の私はジャケットを羽織い帽子を深く被りタバコを公園でふかしてるただのおじさんだ
こういう何気ない場所で吸うのもまた乙なものだ
え?公園は禁煙?そんなものは知らん、ちょっと座っただけだから!長居はしないから!1本だけ!ね!?
おっと!少女に誰か近づいた!しかもどこかに移動するようだ!仕事に戻らねば!私は急いでニコチンを摂取し、尾行しているとはバレないような足の速さで追跡をした
ふむ、どうやら彼氏のようだな
どうやら楽して一千万は無理かもしれない
少女の赤ら顔、少年の少しなんでもないように見せてはいるが少女が居ない側の手をにぎにぎしていて動揺を隠せていない仕草から推測するに彼氏と断定してもいいかもしれない
なんとも甘酸っぱい青春であろうか、心做しかニコチンも青春の味がしてきたものだ
まあそう見えるだけでまだ情報は足らん、ここでは会話の内容も聞こえぬしな、一千万の仕事だし抜かりなくせねば
今日はここまでとしとこう、恐らくここから見えるあの学校が彼女の学校なのだろう、彼氏も同じ学校から出てきたようだがなぜ一緒に出なかったのだろうな?
おおジーザスなんて事だ
少女は電車を乗り継いで帰っている、ここまでは学校まで遠いのかなぐらいしか思っていなかったが、翌朝普通に歩ける距離の学校に行っているではないか
ということはなんだ?まさかあそこは彼氏側の学校だったのか?わざわざ頻繁に会いに行くとは
愛の力とは恐れ入る
例に漏れず今日も会いに行くようだ、私もすかさず同じ電車に乗り込む
今日は会話を聞きたいところなので盗聴器を仕掛けなければならない、、
がそれをするには1度相手にぶつかりその時に相手に盗聴器付ける、もう一度ぶつかりその時に盗聴器を回収するというすごく面倒なことをしなければならない、、、
え?いやいやそんな事しなくても彼女らが行くところに盗聴器仕掛けておけばいいだろって?そんなのこっちだって考えとるわ!だけどまたあの社長が
「盗聴器しっかり本人に付けてください!」
って言ってきやがったんだよ!素人が!余計な口叩いてんちゃうぞ!ってな!
なに?そんなのに従わなくてもバレない?いやそれはそうなんだけど、、、、ちょっと甘酸っぱい雰囲気を近くで楽しみたいんですごめんなさい
白状したので許してください
まあ、バレる危険性は高いが欲を満たすためにも、、ゲフンゲフン社長の言いつけを守るためにもやらねばならぬ
案ずるなかれ私の変装技術は恐ろしいぞ?
ということで最初はおじいちゃんのフリして行ってきまーす
「今度さー遊園地行こうよ」
「えー遊園地?めっちゃいいじゃん!行こう行こう!」
「良かった、、そこで話したいことがあるんだ、、、!」
「え、、?な、、、なに///」
「い、いや大したことじゃないって言うか///」
むほほ、ええ雰囲気ですな、では堪能させて、、、いかんいかん盗聴器を付けねば
「あ痛!」
「おおごめんよ、、最近目がわるぅてのぉ」
「気にしないで!おじいちゃん!こう見えてうちの彼氏筋肉あるから!」
「おい、///そんなこと言わなくてもいいんだよ
でも大丈夫ですからね、おじいさん、気にしないでください、話に夢中になって避けれなかった僕も悪いですから」
「ほっほっほ、いい若者じゃのう、、幸せにな」
「「い、いえいえ!///」」
てくてくてくと、ええ奴らやったな、、、
私あの彼氏やらな、ならんのは辛いなぁ、、
まあ依頼やからな、、、
ごめんなおっちゃんは仕事人やから、、、、
私は少しだけ涙を流した、
タバコは美味かった
そろそろ2人とも帰るようやな
さて今度はおじさんで行きますかね
「ごめーん!電車間に合う?」
「大丈夫、大丈夫!走れば間に合うから!じゃまたね!」
「あ、前見て!」
「え?、うわっ!」
痛たた、、、意外とぶつかると痛かった、、、歳には勝てぬかもなぁ
「す、、すみません!私急いでて!」
「だ、大丈夫、、さ、こっちも急いでてね、、」
「まずい!電車遅れちゃう!ほんとすみません!私もう行かないと!」
「あぁ大丈夫ですよ、行かれてください」
「すみませーーん!」
とっとっと、とかけていく姿は可憐であった
なんてこったい、これが美しさってやつか
あ、てか少女にぶつかっても意味無いわ少年につけたんやったヤバすぎる、、どないしよ、、、
私がそう考えていると
「大丈夫ですか?」
少年が声をかけてきた、チャーンス
「すみませんが、少し手を貸してくれませんか、立ち上がりたいので、、」
「あぁはい、」
私はその瞬間に回収した
一件落着だな、よし早々に去ろう
「彼女が、すみません、、、」
「あぁいえ大丈夫ですよ、こちらも前方不注意でしたから」
「はい、、ありがとうございます、、、」
今どきこんな誠実な子が居るだろうか
こんな子を消さねばならないのか、、、
胸が痛む、早く立ち去りたい、これ以上は情が湧いてしまう、、
「彼女ってことは2人は付き合っているのですか?」
あぁ何聞いてんだお前ー!!話を広げるなよ!
(他人事)
「あ、そうです///私の自慢の彼女です」
「おっふ」
「え?」
「いや失礼、少々咳を我慢して」
「あ、そうでしたか」
危ない危ない、純愛すぎてついおっふしてしまった
いいもん聞いたぁ、、帰った後のタバコ美味そうだ
「あ、すみません、私もそろそろ時間が、ではこれで失礼させていただきます」
私は腕時計を見ながら言った、つい会話してしまったが彼とは、やる側とやられる側の関係、これ以上はいけない
「ま、待ってください!」
呼び止められちまった、まさか変装バレたか?
私がドキドキしながら振り返ると
「なんだか、、自分でもおかしいって思います、、見ず知らずの人に言うことじゃないって
でもなんだか貴方に相談したいんです!彼女のことについて!」
作者です
意外と書いてしまって、1話ではまとめ切らなかったというのがあります。8000字以上になるかもだったのでキリのいいところで切りました
今回のお話は私が夢で見たものを題材にしてる訳ではありません。いい感じの夢を見れても忘れることが多いんで悲しい限り
あ、あと一昨日投稿した話なんですが、別に誰にも見られないだろうけど書きたいからあれ書いたんですよね。
そしたらなんと意外と見て貰えて!しかもリアクション付けて下さってる人もいて!凄い嬉しかったです。
現状書くのはこんなもんですかねぇ、、
あ、ちなむと私、なろうは転スラで知りました
知ったのは割と昔の話ですけど、その転スラ読んでる時、ワイはこういうの書いて印税で生活してぇ〜って思ってましたね
まあ時を経て今なろう書く側になってますが、、やっぱし文書くのはむずいっすわ、転スラみたいに色んな人に面白い!って思ってもらうのは難しいとすぐ悟りました。
ま、これからも細々とやります
いつかは転スラ程じゃないけどメジャーな作品って言われるレベルのもの書けるようになってみたいっすね
ちなみに私の転スラ推しはカレラです
すっげぇ可愛い、、(見た目も性格も)
カレラみたいな彼女ほしーーなー
完