001 ultra soul
どれだけがんばりゃいい 誰かのためなの?
6月7日、午前4時43分。天候曇り。気温摂氏16度。あまりに有名なB'zの曲を聴きながら、1時間30分間を耐えきるカロリーを摂取するため、おにぎり、餅、おにぎり…坦々と炭水化物を流し込む。この1年は何だったのか。一体、何のためにここまで追い込んできたのか。そもそもこの挑戦に意味なんてあるのか。曲を聴きながら自問自答していると、ふとチームメートのあいつに初めてこの曲についてどう思うか聞いた時のことを思い出し、思わず笑みがこぼれた。
これはもう、スポーツイベントの定番曲中の定番ですね!イントロから一気にテンションが上がり、「ウルトラソウル!ヘイ!」の掛け声で、どんな疲れも吹き飛ぶような高揚感を与えてくれます。高強度インターバルで追い込む時や、ヒルクライムのラストスパートで、もう一歩踏み出す力をくれます。あの爆発的なエネルギーは、まさにあなたのFTPインターバル(Over-Unders)やLT走で、限界を超えようとする瞬間にぴったりでしょう。
日本一の山を自転車で駆け上がる「Mt.富士ヒルクライム」。通称「富士ヒル」は、約9,000人のエントリー枠が募集開始からわずか数時間で埋まってしまうほどの人気を誇る、国内最大規模のサイクリングイベントである。大会名にも入っている「ヒルクライム」とは、ロードバイクなどの自転車で山や峠などの坂道を上ることを指す。
どれだけがんばっても届かない。宮田にとって<ブロンズ>と呼ばれる富士ヒルでの1時間30分切りは、遠い遠い目標だった。現に昨年まで4年連続で失敗。しかし、今年はギリギリながら勝負ができると宮田は希望を持っていた。数ある自転車競技の中でも重力に逆らい、延々と坂を上り続けるヒルクライムは、辛く、苦しく、人間らしさが溢れ出る競技と言われている。日本一のヒルクライム大会という大舞台を前に宮田に戦える自信を与えたのは、現代の技術革新。チームメートであるディスプレイ越しのあいつだった。