第五話 解決
【鑑定】に書かれていた名前を【探知】した結果がヒットする。
「エリナ。何とかできそうだよ」
「本当? お姉ちゃんは治るの? 」
「あぁ、治るよ」
「それじゃあ、その問題を取り除いてくるからエリナはここで待っていてくれ」
「うん…わかった」
俺は【探知】でヒットした場所に向かっている。
向かっているのだが、この王都というのはあまりにも広すぎる。前世で言うところの東京みたいな感じだ。行ったことないが。
ここかぁ…いや、なんとなく予想できていたけれど、目の前にあるのは立派なお屋敷だ。それこそ貴族が住むような立派なお屋敷である。
【鑑定】に引っかかったのはアイラス・リーンというたぶん女性と思われる人だ。
しかし、なぜエリナのお姉ちゃんを標的にしたのかが分からない。あれか? 美人だからっていうしょうもない理由か? それだったらぶん殴ってやらないと気がすまないな。
というか、この屋敷にどうやって入ろうか。たぶん正攻法では入れてくれないだろう。だったらどうするか? そりゃあ隠れて入ればいいってことだ。
またまた登場の200年で極めたシリーズの1つ俺の【隠密】が火を吹くぜ。
それじゃあ失礼しまーす。
門をくぐり抜け屋敷の中へと入り込む。
てか鍵とかかかってなかったな。どんだけ不用心なんだよ。それとも鍵をするという習慣がないのか? それは分からない。
とりあえずアイラス・リーンとやらの下へと向かうとしましょうかね。
【探知】のおかげで大体の居場所は掴めているのであとは向かうだけなのだが、屋敷が結構でかいため、絶賛俺は迷子になっていた。
うーん…? どうしたものか? こういうときのために他のも極めとくべきだったなぁ。本当どうしたものか。
そんな感じで彷徨うこと30分ようやくアイラス・リーンの部屋と思わしきものを見つけた。
とりあえずは【隠密】を解除して近づくとするか。
それでは失礼します。
「なに? 私は今忙しいんだけど」
そう言いながらアイラス・リーンはこちらを見る。
「ってあなた誰よ。うちの屋敷では見ない顔ね。新人さんかしら? だったらさっさとあっちに行ってちょうだい。さっきも言った通り私は今忙しいのよ」
どうやら新人と勘違いしてくれたらしい。これならいける。
「まぁ、そんな事言わずに私とお話しましょうよ」
「お話? 面白い話をしてくれるならいいわよ」
「そうですか…ならあなたはイレーナという女性をご存知ですか? 」
「い、イレーナ? そんな名前は聞いたことないわね」
「そうですか。なら魔力欠乏症はご存知で? 」
「えぇ、それは私もなったことあるから知ってるわよ。それがどうしたっていうのよ? 」
「そのイレーナという女性がですね魔力欠乏症で倒れてしまっているのですよ。それも1週間以上ですよ。これは大変ですよね」
「えぇ、大変ね。それで何が言いたいわけ? もしかして私が犯人とでもいいたいのかしら? 」
「いえいえ、そんな事はありませんよ。ただ気になったものですからね」
どうやら口を割る気はないらしい。じゃあ、発動している魔法陣を壊して帰りますか。
俺はその場を去ると同時に魔法陣を破壊した瞬間だった。
背後から何か刃物のようなものを突き刺された。
「あなたは知りすぎてしまっているようね」
流石に露骨すぎたか怒りを買ってしまったらしい。しかし、刺されたとしても俺には何ともない。だって俺は死なないのだから。
そうして俺はその場に倒れたふりをする。
「ふふふ…あなたが悪いのよ。もうじきお父様が来るわ。あなたにはもっと痛い目を見てもらわないとね」
そういう彼女の笑う姿はとても不気味だった。
しかし、面倒くさいことは嫌なので彼女のさっきまでの記憶と、魔法陣に関する記憶を消した。
魔法とは便利なものである。記憶ですら消せるのだから。
ちなみに傷はもう治っている。
入ってきたときと同じように【隠密】でこの屋敷を出る前に、そのお父様の記憶も消しておかなければならない。
アイラス・リーンの記憶を読み取った限り、お父様というのが事の原因らしいからね。どうやらこのお父様というのが今回の魔力を吸い取り続ける魔法の考案者らしい。娘の願いを聞く親も親なら子も子だ。本当に嫌気がさしてくる。あんなにも純粋な子の姉をあそこまで貶めるとは…やはり人間は碌なものではないのかもしれない
俺はお父様にも会ってその記憶を消した。
これにて一件落着ってところかな。それじゃあエリナのところに戻るとするか。
「ユウキ様おかえりなさい。どうでしたか? 」
「解決してきたからしばらくしたら目を覚ますと思う」
「そうなんですね…ありがとうございます。私だけじゃなくてお姉ちゃんも救ってくれてありがとうございます」
「いや、いいよ。これは俺がやりたくてやったことだから」
「このお礼は絶対にします。それと今日は泊まっていってください」
「いや…それは遠慮させてもらおうかな」
「だ…だめですか? 」
エリナは目をうるうるさせながらこちらを見てくる。正直に言おうめっちゃかわいい。しかし、俺はロリコンじゃないのでそれを顔には出さない。
「分かったよ」
そうして俺はエリナの家に泊まることになったのだった。




