表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者殺しは旅に出る  作者: ニンジン
第一章 王都スベルキア
4/4

第三話 食事とお風呂

久しぶりの投稿。遅れてすみません。

 二人でどんどんと森を抜ける。このエリナという女の子は少女にしては中々に体力がある。3~4時間ほど歩いているのだが、あまり疲れを見せていない。


 もしかしたらこういう森には慣れているのかもしれない。


 しかし、慣れているとは言ってもこの森には脅威であるモンスターたちがうじゃうじゃといる。


 それを少女ひとりでここまでくぐり抜けてきたのは正直に言ってすごい。


 まぁ、それはさておいて少女と一緒にいる一般男性というのはどうなのだろうか? そういう疑問が頭に浮かび上がってくる。


 王都と言うくらいだから門番がいて検閲だってあるだろう。

 そうなった場合、俺は身分を証明できるものなんて何も持ち合わせていない。


 これはちょっと困ったとこになったかもしれない。


 というのも実は前置きにすぎない。実のところ1番は少女と二人で歩いているそれがとても気まずくてしょうがないのだ。


 ただでさえ犯罪臭が強いというのに…


 それにここ3〜4時間ほど歩いていると言ったがそのほとんどで会話はなかった。


 ただ俺が心配してるだけの会話内容で終わってしまっている。


 こういう時アレンだったどうしたんだろうな? 考えても分からない。だから俺は考えるのをやめてただひたすら歩き続けた。




 ◇




 あれからまたしばらくが過ぎ夜が近づいてきた。


「夜もそろそろ近いし今日はここら辺で終わりにしようか」


「そうですね…。夜は危ないですもんね」


 俺は夕飯の用意をする。


「わ、私も何か手伝いましょうか? 」


 そう声をかけられる。どうしたものか? 誰かと一緒に料理を作ったことなんてないし、作れる自信がない。


 だからといってこの子の思いやりを無碍にすることは俺にはできない。


「ありがとう。じゃあ手伝ってもらおうかな」


 俺がそう言うとエリナは笑顔になった。よかった俺の選択は間違いじゃなかったらしい。


 そうして俺達は夕飯を作り始めた。


 エリナの料理の腕がどの程度なのか分からなかったので、しっかりと様子をうかがいながら自分の作業を行う。まるで自分が父親にでもなったかのような気分になる。


 世の父親ってのはこんな気分を味わっていたのか。なんだかうらやましい。


 けど、俺には縁のない話だろう。俺と付き合いたいましてや結婚したいなんて女性(ひと)はいないだろう。


 あぁ、やばいなんかいけない方向に考えが行ってしまう。こんな考えではだめだ。


 この旅路をしっかり楽しまなければ。


 そんな事を考えていたらもう既に夕飯は出来ていた。人と初めて作った料理というのは輝いて見える。輝いて見えるだけじゃなく、余計においしそうにも見える。


 本日作った料理は子供に大人気ハンバーグだ。最後にアレンに振る舞った料理というのもあって、俺の中では印象深い料理となっていたのだが、これでさらに印象深い料理へとなるだろう。


 ハンバーグを一口食べる。


 あー……美味しい。これが人の温かさというものなのだろうか? わからないけど、このハンバーグが美味しいことには変わりはない。


 エリナも目の前で美味しそうにバクバクとハンバーグを食べ進めている。


 いつ見ても自分の料理を美味しそうに食べる人っていうのはいいものだ。


 まぁ、料理を振る舞ったのはアレンとエリナだけなんだけどね。


 それでも嬉しくなる。


「このハンバーグ美味しかったです。私が今まで食べた中で1番だと思います」


「俺一人じゃきっとこんなに美味しいハンバーグは作れなかったと思うよ」


「そ、そうですかね」


 とエリナは照れる。


 正直可愛いと思うがこんな子供に手を出すほど俺は落ちぶれてはいない。


 だから、可愛いと思う心を押し殺す。


 それと気になることがある。俺出会うまでこの子はどれだけの時間この森を歩いていたのだろうか?


 あくまで予測になってしまうけれど、2日ほどではないかと思う。


 2日も森を歩いているともちろん服や身体は汚れていく。そうなるとやはり気になってしまう。女の子ならそれは顕著に出るのだろう。エリナは「お風呂とかって用意できますか? 」と聞いてきた。


 そこまで自分の考えが至らなかったことが嫌になるけれど、風呂を準備することぐらいはできる。


 少しでもその失態を晴らすようにお風呂を準備する。


 しかし、それには問題がある。風呂に入ってる姿が見えるとかそういうことはない。そこら辺は認識阻害魔法をかけたので集中して見ようとしない限りは見ることができない。


 先に問題があるのだ。見えないだけ。本当に見えないだけなのだ。


 じゃあ、何が気になるのか? それは音だ。


 音ごときで反応するなんて気持ち悪すぎだと思うかもしれないけど、こんな経験をしたのは初めてのことなのだ。免疫なんてあるはずもない。


 ──ピチャっ。


 水の滴る音その一つ一つが官能的に聞こえてきてしまう。


 そんな自分が嫌になる。こんな幼い子を性的に見ようとしている自分が嫌になる。


 こうなったらもうあれだ。素振りしよう。素振りですべての煩悩を消し去ろう。


 そうして俺は素振りを始めた。


 素振りした甲斐もあってかその後は何も感じることなくエリナが上がってくるまでの時間潰しをできた。


 そのまま俺も風呂に入りさっさと上がる。


「風呂にも入り終わったことだしさっさと寝るとしようか」


 そうして俺達は眠りについた。早く王都に着くことを願いながら。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ