表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
濃灰の艦隊  作者: 銀河乞食分隊
序章
8/73

根拠地 ここは良いとこ一度はおいで

今日から12日更新分まで、増量してみました。2話を1話に纏めただけですけどね。

6000から7000文字です。

 最初に会った男は軍医少佐だった。次に会ったのが二曹の衛生兵だ。次が一曹の衛生兵。その後は一等水兵2人で最後が歯科医大尉だった。皆軍医とほぼ同じ反応だった。神が精神をいじっていることは確定した。


 馬鹿野郎め


 とりあえず、慣れるまでここにいるか宿舎に行くか問うと、宿舎に行くと返事が。病院衣で6人歩いているので目立つ。


「なあ艦長。ずいぶん洒落た基地だな」


 軍医少佐が話しかけてきた。


「まあ最初にそう思ったよ。花壇や噴水に遊歩道。海軍の基地ではないな」


「宿舎も綺麗だ」


「驚くぞ」


「何がだ」


「造りと設備にだ」


 誰か来たな。主計科の曹長か。機関士もいるな。


 機関士が言った。

 

「皆さんおいでですね。それでです。新しい人たちの部屋割りが決まっていました」


「神のお節介か」


「はっ、恐らく」


「それだけか。焦って来たように見えたが」


「はっ、宿舎が拡張されています。それに医務室が出来ていました。見たこともない設備が一杯です」


「ほう」 軍医少佐が。


「またか」 機関長が。


「神のやることに驚いていては身が持たんが、まだまだ慣れないな」


「見てみたいな」


 軍医少佐が言うが、まずは食堂に案内しよう。


「それは後でもいいだろう。食堂に行こう。士官食堂と兵員食堂は分かれてはいないが、広々としたところでいいぞ」


「だが「酒と甘味」・行く」


「主計長。こちらが主計宛に」


 封筒を渡される主計長だが


「貴様、中身は見たのか」


「はっ、特に指定は有りませんでしたので拝見しました」


「内容は?」


「大雑把に申しますと、この宿舎が1000人規模に拡張されるそうです。3回にわたって拡張すると」


「何故、主計に」


「管理を主計が行えと書いてあります」


「何だと」


「そう言われましても」


「ああ、気にするな。確かに主計でないと出来ないだろう。当然貴様も含まれるのだぞ」


「人増えませんか」


「白ブイ有るだろ」


「はあ。関係ありますか」


「こちらの6人が白ブイから生き返った」


「え?」


「だからこれからも白ブイを拾えることを祈るしかない」


「あ、えっと、その、本当なのですか」


「事実だ。神の野郎」


「ああ。そういう事ですね。それで主計には」


「いなかった。衛生と砲術に水雷だ」


 水兵2人が申し訳なさそうにする。


「気にするな。貴様達のせいではない。食堂で上手いもの喰って元気出せ」


「ありがとうございます」


「曹長。ついでだ。この2人を案内してくれ。士官と一緒では肩身も狭いだろう」


「了解しました」


「では貴様ら付いてこい。そっちの一曹と二曹も来るか?」


「ではご一緒させて貰いましょう」


 士官よりもいいだろうが、曹長を始めとする曹三人に若干気まずい水兵2人。

 曹長は


「食堂に行くぞ。格好はそのままでいいからな。新入りだとよく分かるし、階級がわからんのもいい」


「そうでしょうか」


 水兵が聞く。


「貴様達、目が覚めて戸惑っただろう」


「それはもう」


「ゆっくり慣らしていけ。と言っても、今日・明日・明後日だがな。その後は配置があるはずだ。まずは腹ごしらえだ。美味い酒もあるぞ。ビールはヱビスだし、壽屋の角もある」


「それはいいですな」


 一曹が言った。呑兵衛か。


「果物はあるのでしょうか」


 水兵が聞いた。


「有る。食べたが、とても美味い」


「リンゴはありますか」


「あったぞ。何種類かあったな」


「リンゴ農家なのでリンゴを食べたいです。実家はどうしているのだろうか」


「すまんが、力にはなれん」


「いえ、愚痴を言ってしまい申し訳ありません」


「気にするな。みんな多かれ少なかれ思っている」


 その後、食堂で美味い物を喰って美味い酒を飲んで、大いに楽しんだ新人達であった。



 3日後、ドックで完成しているはずの船を見に行く。

 少しデカくなったのかな。ぱっと見分からんが、管理室にある表示装置を見ると全長で4メートル。幅1メートル大きくなっている。艦内設備が増えた(主に厠と医務室)ので大きく重くなり推定最大速力が36ノットまで落ちたな。

 睦月級の船体は不要だった。選択しなくて良かった。しかし、また変わったから艦内に慣れるように訓練だな。


「本日と明日は艦内に慣れるための訓練を行う」


 乗組員を前に訓示を垂れたついでに、訓練を告げる。

 また新人の紹介も行った。

 その日の慣熟訓練が終わった後、乗組員達からは非常に好評であった。特にベッドと厠が。空調は中と外の温度差がきついと言うので機関長に言って設定をいじって貰おう。俺はオープントップの艦橋にほとんどいたから関係ないけどな。たまに行く厠から外に出ると確かにクラッとしたな。

 その日、宿舎の会議室に科長を集めて会議を開いた。


「さて、好評な艦内設備だったが」


「素晴らしいですな。あの空調は」


 機関長が言った。機関科は気に入るだろうよ。


「そういえば、温度設定は出来るのか。内外の温度差がきついと言われたぞ」


「機関室は快適でしたが。確かに機関室から出るときついものが有りましたな」


「そんなに冷やすなよ」


「そうですな。空調は温度の他、湿度も調整できるようですので、そちらもいじってみます」


「頼む。他はどうだろう」


「艦内電話が大変聞きやすく、伝声管には戻れません。それに従来の電話と質が違いすぎます」


「100年ほど進んでいると言う触れ込みは本当のようだな」


「はい。それと発電機を交換して電話設備が新しくなったのと関係が有るのか分かりませんが、電気設備が一新されていました」


「そう言えば艦内が明るかったような」


「明るいですね。兵員室を始め、各部署とも明らかに明るくなりました」


「いいことだな」


「それが、艦長」


「何だ」


「蛍光灯や白熱電球が使われておりません」


「?」


「代わりにLED電球という奴が使われています。かなりの衝撃でも従来のガラスを使った電球と違い割れ難いそうです」


「いいことではないか。どうせ神のやったことだろう。気にするな」


「気になります」


「諦めろ、先任。気にするとダメージが行くぞ」


「艦長。いいですね。気にしない人は」


「何だ貴様、まだ気にするのか。早く諦めろ」


 最後はぐだぐだになったので、食堂で一杯やってから解散した。


 翌日、翌々日とも訓練に明け暮れた。艦内温度はかなり上がった。最初は22度だったそうだ。今は28度だ。湿度を下げ暑さを感じにくくした。これなら外に出てもきつくない。

 配置だが、軍医と歯科医は宿舎に配備した。設備のあまりの違いに常識が付いていかないので、勉強をしないと間違えるかも知れないという事だからだ。間違えられたらたまらないので許可した。衛生兵二人は艦内の医務室に配備した。訳の分からない高度な物には触れませんと言っていたな。


 いよいよドックを出る。外洋での慣熟訓練の後、3回目の演習に出撃する。今度も上手くいけばいいが。



 演習はこれで3回目になる。1回目は訳の分からん内にやられ、2回目はただ頑張った。

 3回目からは目的を持って臨む。

 目的はポイントとブイの回収。1回1000ポイントという事は、駆逐艦1隻100ポイントなので10隻いるという事だ。

 できるだけ多くポイントを稼ぎブイを回収するには、1回目2回目のように行き当たりばったりではダメだろう。

 残された18回 (今回を入れてだが)でどれだけポイントを稼ぎブイを回収し艦を高性能な艦に仕上げる。

 今のところ目標は陽炎級だが、稼ぎ方によっては秋月級もいいだろう。

 全部沈めれば18000ポイント得られるが、全部沈めることが可能とは思わないし艦の損傷修理などにポンとを取られるだろう。

 ポイントで損傷修理をするのは、艦艇用ポーションがもったいないので取っておこうと考えたからだ。アレはいざという時にしか使わない。「普段使いする物ではない」という意見は一致を見た。

 とりあえず10000から14000という目標を科長会議で決めた。1回6隻で18回なら10800ポイント。6隻なら2回目で達成した。多少幸運はあったが。それでも不可能ではないと思う。だからそれプラス1回1隻なら1800ポイント上積みがある。もう少し行けるかも知れないというのが14000ポイントだ。

 それとブイだが、白ブイは多少の危険を冒してでも回収する事にした。とにかく人員を増やさないと、船が大きく強力になっても動かせないという事態になりかねない。


 さあ3回目の演習開始だ。突入は西から入ることにした。ウリアイアトール島をかすめた後、中央部から南下して、最後は前回同様、暗礁地帯を盾に離脱する。これが基本方針だった。


 既に艦は演習海面目前だ。総員戦闘配置に就いている。問題は、今まで気にしていなかったが、突入した時点で鉢合わせすることだった。そのため今回は、最初から砲術に撃てるようにしておくようにと指示してある。


 艦が演習海面に入った。

 良かった。近場にはいないようだ。しかし今回は曇天で視界が悪い。天候は今まで晴れだったが、これからは悪天候も想定しないといけない。

 しばらく直進を続け中央部にさしかかった頃だ。


「電探、方位120。距離1万6000に反応」

「敵艦か?」

「この海域に他の艦艇がいるのか分かりません」

「そうだな。すまん。引き続き監視を」

「了解」


「見張りどうか」

「申し訳ありません。見えません」

「この天気ではな。油断せず見張れ」

「頑張ります」


「砲術、測距儀覗いているか」

「いますが、見えません」

「2メートル測距儀では見えんか」

「もう少し見える奴が欲しいです」

「次のポイントに期待しよう」

「神様頼みですね」

「仕方ないさ。砲戦は何時ものように8000で開始する」

「了解」


「機関増速、両舷前進第二戦速」

「面舵」


 その後接敵し、撃沈した。こちらも2・3発被弾したが、戦闘には支障ない場所にだった。死傷者もいない。運がいい。

 次は戦闘中に見張りが見つけた。盛大に排煙をたなびかせているのだ。こういう物は電探では見えない。盛大に煙を出しているいう事は速度を上げているのだろう。良かろう。沈めてやる。

 勝利してブイを拾っていると、次の敵が現れた。2隻違う方向から来る。厄介な。そいつらも沈めることに成功したが1隻大傾斜しながらも沈まない奴がいたので近寄ってみる。

 見張りが1回目2回目とも艦影が照合できないというのだ。俺も見たが確かに分からない。と言う事で観察できるのであれば近寄ることにした。捕虜に出来るなら捕りたいしな。

 敵艦は駆逐艦であろう。1000トンクラスか?主砲は4門。4インチか?発射管は連装2基か。艦型をジェーン年鑑まで持ち出して照合するが合う物が無い。国旗や海軍旗も見たことのない意匠だ。やはり外部からの侵入者というのは確かなようだ。生存者はいるようだが、この状況で退艦もしない。おかしい。まさか臨検隊を組む訳にもいかん。そのうち沈んでしまった。生存者がいない。あの状況なら多少でもいるはずだ。何故だろうか。神に質問できたら質問しよう。ブイは拾うぞ。


 何かおかしいな?何か引っかかる。


 電探アンテナが無いのは助かる。電探は無いのだろうか。こちらが有利になるだからかまわないが。特に夜戦では違いが出そうだ。

 これで4隻沈めた。演習はこなした。後は余録だな。余録で油断してはいかんがな。ブイは赤1個、黄2個、白一個。ぶつけて回収した物は無い。


 その後もできるだけ敵艦と単独で戦闘になるように立ち回り、3隻を沈めた。代わりにこちらも結構やられた。戦死傷者18名。艦は中破。速力が出ないのが気になる。早いとこ離脱しよう。


「離脱する。取り舵、真方位90。巡航速力」


 離脱寸前に後方から敵艦が迫ってきたが、射程内に捉えられる前に離脱できた。白い空間では神は出てこなかった。

 艦をドックに入渠させてから、先に開封室へと向かう。今回開封するのは赤2個、黄2個、白3個の7個だ。いずれもブイで回収している。


 まずは赤だ。

 艦艇用ポーション弱が2個と人間用ポーション中が4個でた。説明によると人間用の中は重傷者でも治せるらしい。


 ついで黄。これは皆期待している。何が出るのか。

 高温高圧缶           1個

 新型機銃用射撃指揮装置     1個  


 高温高圧缶は500度40気圧の高性能を誇る。

 新型機銃用射撃指揮装置は高射機銃の指揮装置で電探と連動することで威力を発揮する。

 いい物が出た。今後も同じ物が出ると次回の船に装備できそうだ。1個では取り扱いがな。


 さて白だ。緊張するな。上官が出てきたらどうしよう。

 今回は曹4名、兵8名だった。

 喜べ主計。主計兵が2名いたぞ。機関科3名、航海科2名、通信科2名、甲板3名だった。

 戦死場所は、いろいろだ。ミッドウェー、ソロモン、ガダルカナル。特に機関の3名は赤城の機関兵だったと言う。通信はガダルカナル設営隊で初期の頃戦死したので、後の悲惨な状況は知らないらしい。航海はソロモン、主計と甲板は陸奥で吹き飛ばされたたらしい。らしいというの言うのは突然ここにいたからだ。


 困惑する彼らを食堂に連れて行って落ち着かせる。困った時は美味い飯と美味い酒だな。後は欲しいぞ。切実に。


 兵を預けた後、今度は管理室だ。

 修理に100ポイントを使う。前回の残りが80ポイントしかないので、足りない。今回のポイントから100ポイントを出す。

 今回は600ポイントだ。合わせて680だが、100が修理で200を残すとする。使えるのは380。


 無いな。既に艦には一杯で更新する余地もない。思ったよりも貯まらない。修理ポイントが地味に効く。目標の14000は無理だろう。

 地道に貯めて陽炎級船体を目指すか。





 ポイント貯蓄 580

 追加人員   6名+12名=18名

 




ポイントは皮算用と。

演習クリア報酬とかはありません。999回から引かれないというので十分と言う事でしょう。


何かおかしいな?何か引っかかる。

神による精神操作でしょうね。精神が持つとも思えませんので。


次話 8月08日 05:00 予約投稿

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ