表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
濃灰の艦隊  作者: 銀河乞食分隊
序章
5/73

根拠地 とまどい


 その装置は見たことがない装置だった。タイプライターのような平べったい板と、同じように薄い板がこちらを向いておいてある。なんだろう?それぞれ線でつながれている。


「説明書によると、このスイッチをΟNにすると起動するとしてありますので、ON」


 そうすると、何か薄い板のような物が光り出して文字が!ブラウン管なのか?

 文字がいろいろ出て[G-OS44pro]とか出た。なんだこれは。


[管理者を設定してください]


 なんだ?誰だ?


「管理者って誰だ?」 もっともな疑問だな。


「どうやって設定するんだろうか?」


「説明書によるとキーボードを使うこと。キーボードはアルファベット表示ですが、平仮名がローマ字になるような順番でキーを押してください。ですと」


 機関長が皆を見るが、皆目を逸らす。当然俺も目を逸らす。


「えーと、説明書によると私ですな[機関長が管理者権限を持つ管理者です]となっています」

「個人名でも役職名でもかまいませんだと?」

「機関長にするか。他の者でも管理できるだろう」 

「機関長っと」


 潔いな。通信でも出来るよな。と言うか兵学校出なら皆出来そうだ。

 機関長は説明書を見ながら、ポチポチと作業をしている。う~んとか言いながら。

 皆は機関長の手元と画面を交互に見て首をひねっている。俺もひねるな。


[管理者の設定が完了しました。システム起動します]


 また画面が変わったよ。訳分からん。

 画面には[ドック管理システム 工廠ver1.3]とか出ている。


「え~と、この画面が出たら、マウス?ああ、これか。絵で描いてあるからわかりやすい」


 でもマウスの動かし方はこれでいいのか?とか言いながら動かすが、画面を白い矢印が動いている。連動しているのか?

 この矢印を?ここかYESかNOに当ててクリック?おー、このポッチを押すのか。起動したい場合にはYESに当ててか。良し、ポチッとな。

 独り言なのか言いながら、作業を進める。

 すると[[ドック管理システム 工廠ver1.3]起動します]と画面に出て、何か図面らしき物と表?が映った。


 画面に映った図面は我が艦らしい。橫と上からの線図だ。表の方はポイントで使える装備一覧だ。よく出来ている。信じられんが、信じろと言っていたな。


 機関長は机の引き出しを開けて[ドック管理システム 工廠ver1.3]の説明書を読み出した。これはすごいとか言いながら。

 そして、あーでもないこうでもないと悩みながら進行していくのだった。元々の砲座にあった二五ミリ連装機銃を撤去で下取り。その後に砲を据え付け。凄いね、勝手に絵が切り替わっていく。PPIスコープは内部装備なためか、そういう変化は無かった。高性能真空管も。ただ二二号電探は装備できませんとなった。

 何故?

 分からない時はヘルプをクリックしてください?機関長がおっかなびっくりやっている。原因が分かった。据え付け場所が無いのだ。結局前部マストを改造して載せることになった。改造費20ポイントである。

 ここまでで、四時間近く掛かった。もう17:30を回っている。夕飯の時間だな。ここはラッパが鳴らなくて時間が分からん。

 そして、決定したら実行を押せとなっているんだと。もう疲れたから機関長に任せる。

 機関長も疲れたのか勢いが無い。ポチッとなも静かだ。

 そして決定後、ドックから唸り音が聞こえてきた。見ると勝手に機械が動いている。ああ、機銃の撤去を始めた。早いな。画面に残り時間が出たぞ。三時間か、無茶苦茶早いじゃないか。


「よし。飯だ。行くぞ」


「疲れました」


「機関長が一番疲れてただろ」


「大変でした」


 みんな疲れていた。その日の夕食は少し良い物を頼んだ。



 翌日、快適な目覚めだ。なんだこのベッドは。南方というのに暑くなくジメジメともしない。建物自体空調が効く設計なのだろうか。さらっとしていて気持ちが良い。外に出るのが怖い。機関長の要望である冷房は早めに入れてやらんとな。

 艦の居住性能も気をつけないとな。ほとんどがハンモックだ。ベッドが良いか。ハンモックが良いか。聞いてみるか。

 朝の日課を済まし、ドックに出掛ける。昨日の面々の他、他の乗員達も付いてくる。やはり改装は気になるのだろう。今日も第三種軍装だ。ネクタイ?しない。暑いからな。俺が最上位だから自由にやらせて貰おう。


 艦は機銃台がゴテゴテしていたが無くなり従来の主砲に戻っている。かなりスッキリだ。ドックからは船体に通路が渡され乗艦できるようになっている。

 管理室に入ると、あの画面が[改装完了しました。試運転できます]となっている。つくづく不思議だ。気にするなか。確かに気にしたら、おかしくなりそうだな。


「機関長、試運転をする。えーと、なんだ。出来るようにしてくれ」


「了解です。試運転開始っと」


[試運転開始時間を設定してください]


「へっ?」


「なんだ?開始時間だと?う~ん。機関長、4日後10:00で開始する。それなら機関科員も朝飯を食ってからでも間に合うな?今日とそれまでは新装備の訓練だ」


「了解です。4日後10:00と」


 マイクがあるので外に出なくても良いのか。マイクを取って、根拠地と書かれたボタンを押す。


「総員、改装は完了した。本日と明日、明後日は訓練を行う。服は事業服で良い。本日は一〇:〇〇までに乗艦せよ」


 みんな事業服であった。今は九時を過ぎた頃だ。厠に行っても余裕で間に合うだろう。

 訓練を開始する。期待の電探はドックを出ないとよく分からんとか通信が言ってきた。障害物が多すぎるんだそうだ。悩んでいるのは砲術長だけだ。機銃配置の兵が主砲を扱えるようにしなければいけない。まあ時間的に無理だが、後は習うより慣れろで行って貰うしかないな。


 4日後、試運転開始する。

 08:50 機関科全員配置に就いたとの報告が有る。機関始動を下命。既にドックに注水が開始され、満水が09:35となっている。ドック開扉が09:40となっている。あの光るのは電球なのか。便利な表示だな。

 09:45 機関より出航可能との報告を受ける。

  同    舫い解けと下命

 10:00 ドックから出庫する。


「機関後進最微速」 

 

 ドックからでた船をヤップ島周辺で慣熟させるべく様々な訓練を課す。 

 帰ってきたが、なんだ?曳船が出てきたぞ。誰が乗っている?


「曳船、無人です。乗組員がいません」


 見張りが突拍子も無い報告を上げる。


「よく見ろ!」


「確認しましたが、無人です」


「艦長、通信。根拠地より無線電話ありました。曳船は無人で自動運転だそうです。本艦は1番埠頭に接岸するようにとのことです」


「誰が管理しているのだ」


「港湾管理システムだそうです。「神のやることは気にするな」とも」


 毛が抜けそうだ。胃も痛い。

  







次回更新を8月16日まで連続して行うことにしました。投稿予約済みです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ