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濃灰の艦隊  作者: 銀河乞食分隊
序章
4/73

根拠地


『おお、死んでしまうとは情けない。そなたらに999回の機会を与えよう』


 そこには爺がいた。周囲は白い空間だ。建物では無いな。他の乗組員もいる。


 沈められたのか?しかし声が出ない。首を回せるくらいしか体も動かない。


『そなたらが獲得した点数は駆逐艦三隻撃沈で三百点だ。心して使え』

『ブイは撃沈された場合には喪失となる。白ブイも根拠地には転送されない』

『健闘を祈る』


 言うだけ言って消えていった。なんだろうか。



 次に気が付いた時には、部屋の中で寝ていた。

 知らない天井だ。

 そうか、爺の言葉だと撃沈されたのだな。ではここは?

 ベッドに寝ているのだが、サイドテーブルに手紙が有った。また「神より」となっている。


---------------------------------


 撃沈されてしまったな。

 多数を相手によくやった。点数は三百点稼いだ。これからは点数のことをポイントと呼ぶぞ。

 300ポイントで艦を強化せよ。

 強化できる範囲は狭いが、有効な強化をしろよ。

 どのくらい強化できるかは、ドックに行けばわかる。

 今回の演習で手に入るポイントは最大で総計1000ポイントだ。

 演習を繰り返しても最大20回、20000ポイントだ。

 まだ先は長い。焦るなよ。

 次の出撃は三日後以降だ。いつ出航するかは君が決めろ。

 楽しみにしておるよ。


----------------------------------


 部屋から出る。第三種軍装を着せられていたが、誰が着せてくれたかは考えない方が良さそうだ。

 廊下で部下達から敬礼を受ける。


「貴様達。ここがなんだわかるか」


「はっ、実は我々もわからないのです」


「そうか。外に出てみよう。来るか?」


「はっ、お供します」


 外に出た。海を見渡す丘に建物は有った。


[濃灰のうかいの艦隊 第1根拠地]


 なんだろう。この看板は。皆もざわついている。ん?あそこにいるのは水雷か?


「水雷」


「艦長」


「ここがなんだか判るか」


「はあ。実は建物の中に食堂が有りました。そこに解説書が有りました」


 これですと言って見せられる。


「食堂か。すぐに外に出たから知らなかった」


「不思議なんですよ。この施設は」


「どうした」


「食堂は無人です。食券を買うと買った物が出てきます。自動で」


「はあ?」


「我々も最初はそうでした。訳わかりませんでした」


「他には厠が全て水洗です。大は洋式になっています。凄いのがケツを洗う機能が付いています」


「なんだと」


「本当です。体験すると非常に快適です」


「ほう。是非使ってみたいな」


「お勧めしますというか、それしか無いですから」


「そうか。では食堂に行ってみるか。喉も渇いたしな」


「食堂まで先導し「いや、いい。自分で行くよ」」


 そう言って食堂に向かうことにした。


 根拠地はヤップ島にあるのだが、どうやって施設を維持しているのか。不思議なことがあるが、神の仕業だ諦めろとなっていたな。諦めるか。

 食堂に行って置いてある小冊子を見る。


------------------------------

 

 招かれた者達へ。


 根拠地の有る場所はヤップ島だ。いささか狭いが、ここを根拠地として使う。

 根拠地の設備として、今食堂のある建物。寮というか官舎というかだが、君たちの世界より進んだ技術が使われている。気にするな。気にしたら負けだぞ。

 食べ物は君たちの国で一般的なメニューにしてある。故郷の味が恋しい者達にも満足してもらえるだろう。ここは配慮しておいた。神棚があるから感謝を捧げるように。


 食堂での飲食は個人にポイントを割り当ててあるので、そのポイント内なら自由だ。ポイントを使い切った者達には 定食かなりしょぼい が有るので心配するな。定食の味は知らん。そのような者達には十分であろう。カロリーと栄養は十分だがな。


 初回サービスとして、今日を含めた1ヶ月は一人1食1000ポイントを使えるようにしておく。以降は各人にポイントカードが配布されるので使うように。


 嗜好品ではタバコは無い。君たちをこの世界に蘇らせる時に協力して貰った女神がタバコ嫌いでな。タバコが吸いたければ、最後まで勝ち続けてこの世界と交流を持ってからになる。

 当然だが、麻薬も無い。ヒロポンはその艦にも備品としてあったが、没収した。君たちはまだ認識していないが、アレは麻薬の一種だ。鎮痛剤としてのモルヒネは使えるぞ。

 酒に溺れる者も出ようが、それは個人の責任としてこちらは手出ししない。


 次のことは気に掛けてくれ。

 ドックがあり、君たちの乗艦はドックに入っている。整備も改装も全てドックで行う。人手は心配するな。自動だ。君たちの世界より進んだ技術が使われている。気にするな。気にしたら負けだぞ。


 君たちが確保したポイントは改装や整備に使われる。ブイで拾った物もこのドックでないと装備できない。

 詳細はドックの管理室にあるので、そちらを見ろ。


-------------------------------


 そちらを見ろか。後で見に行こう。まずはヱビスのビールだな。各人ポイントという物を持っておりポイント範囲内なら自由に飲食できるという事だ。先に使った者が言っている。お品書き(第1版と書いてある)を見ると、酒の欄に壽屋の角もある。よく見ると、士官用としてスコッチもある。いずれは水兵にも開放されると書いてある。飲兵衛にはたまらんだろうな。

 甘い物が好きな人間のためにかなりの菓子が和洋そろえてあるな。間宮の羊羹まである。

 このくらいのお楽しみでも無ければやっていられないだろう。この世界での交流は侵入者を排除してからになる。それまではこのメンツでやっていくしかない。

 

 驚いたことに、食券を自動販売機で買い、窓口に切符を差し込むと自動で出てくる。どうなっているのだろう。神が気にするなと言っていたが気にならない訳がない。


 食堂で軽く一杯とつまみのホタテを食べた後、ゆっくりとドックに向かう。どうせ三日以上後でないと出航できないので焦ることはない。はずだ。


 そこら中に案内看板が設置してある。親切の極みだな。足下も綺麗な舗装だ。木立と芝生に花壇や小川が配置され殺伐とした気配は無い。軍事基地とは思えん。

 やがてドックに着いた。ドックと言うには知っているドックと趣が違うな。管理室に向かうか。

 そこでは、機関と砲術に水雷、通信までいる。話し合うにしては大声だ。


「おい、いいか」


「艦長。どうぞ」


「で、何をわめいていたんだ」


「300ポイントの使い方です」


「ほう。そうだな、機関から教えてくれ」


「はい。機関としてはもっと冷房が欲しい。あの宿舎で経験したら無しではたまらんのです」


「あー。わかる気はするな。でも待ってくれ。次、砲術」


「はっ、一二センチ砲を4門にしたいのです」


「2門では威力不足か。確かに苦労したな。では水雷」


「是非酸素魚雷を」


「現状必要かな。通信」


「はっ、電探の強化をお願いします」


「電探の強化か。対水上の二二号だな」


「「「「そうです。是非自分の部署の装備を」」」」


「まあ落ち着け。俺の意見を述べる。」


 静まったな。


「俺は電探を強化したい」


「「「電探ですか?」」」


「そうだ。電探で測距する。なあ通信」


「はっ、以前十三号を装備する時に聞いたことがあります」


「可能なのですか」


 水雷長が聞く。


「水雷長、聞いた話だと測距儀よりも遠距離では精度が高いそうだ。併用すれば良いと思う」


 通信長が答える。


「うむ。正確な測距が出来れば命中弾も増えるだろう。2門という門数の不利を補えるかも知れない。それに本艦の2メートル測距儀は近場でも精度がな」


「しかし艦長。2門では絶対数が足りません」


 砲術はやはり不満のようだ。


「ポイントでどうにかならんか検討したか」


「「「「あ!」」」」


「検討していないのか」


「申し訳ありません。全員部署の装備の強化のみ考えておりました」


「では、どう強化できるか検討するとしよう」


「「「「はい」」」」


挿絵(By みてみん)


「航空機は出てこなかったな」


「確かに出てきませんでした。これからも出てこないのでしょうか」


「やり直しなら条件は同じだと思う」


「では出てこない前提で装備品の変更を?」


「俺はそうする」


「「「「賛成」」」」


「あれ?艦長。連管と魚雷が有りません」


「何?あの爺忘れやがったな」 *忘れたのは作者です


「でも艦長は先ほど水雷装備を強化する気は無さそうでしたが」


「まあ砲戦能力の強化が先だよな。2門しか無い訳だし」


「そうですね。いずれは酸素魚雷を」


「分かっている。アレは強力だからな」


「お願いします」


「さて、装備だが、手引きを見ると今の装備を外すと下取りという事になるのだな」


「そうです。そう読めます」


「思い切って砲座に据えられた機銃を外してみるか」


「そうですね。砲が装備できませんし」


「そうするか。砲は一二センチだな。他の奴は重量過大で無理だし、方位盤の関係で積めんだろう」


「2門が4門になるのでしたら問題は無いです」


「そうか。砲はそれで良いか。では通信。電探だが二二号で良いな」


「はっ、結構であります。他にPPIスコープをお願いしたくあります」


「PPIスコープ?なんだ」


「簡単に距離と方位が同時に分かる優れものらしいです。高性能真空管も同時にお願いします」


「真空管は悩まされたからな。分かった」


三年式一二センチ単装砲 2基     30ポイント

二二号電探              80

PPIスコープ              50

高性能真空管             10


「これで170だな。後130か」


「艦長、私はRDX炸薬+アルミ粉が良いと思います」


「機関か。そうだな。破壊力が増すのか。よし採用だ。40だから210。後90か」


「貯蓄でいいのではないでしょうか。無理に装備しなくても、後で足りなくなると困りますから」


「そうだな。水雷の言うとおりだ。ではこれで、改修しよう」


三年式一二センチ単装砲 2基     30ポイント

二二号電探              80

PPIスコープ              50

高性能真空管             10

RDX炸薬+アルミ粉          40


「210ですな。ではこれを管理室の装置に入力するとなっています。機関長が担当という事になっております。私がやります」


「頼む。ああ、皆で見学しよう」


「「「了解」」」 


アイテムは実在の物から空想物に替わっていきます。

作者別世界からの転用もあります。

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