夕雲級二番艦就役
駆逐隊結成。
1100名をかろうじて収容した南斗はよたよたしながらもトラックに帰投した。途中の艦内環境は・・・
厠が足りないとか飯が少ないとかいろいろ有った。考えたくは無いな。艦尾に並んで出しているとか、それをホースから海水をぶちまけて流しているとか。一応衝立と簡易便座は付けたらしい。隣の奴のクソは見たく無しな。帰ってからの掃除を考えると海水を流しながらやれと言うより無いだろう。艦の掃除は誰がやるのだ?軍港システムか?我々は日常の清掃しかやっていないからな。
飯は非常食を人数分に余裕を持たせていた。しかし非常食の評判が悪い。食えるだけでもいいだろうに。非常食は乾パン・金平糖だった。それに艦内で用意したお茶と梅干しを付けている。どうやら米が食えないのが不満らしい。非常時だ、我慢しろ。
乗り組み員でも米を食べているのは機関部員だけだ。ボイラー外側に飯盒をぶら下げて熱源にするとか言っていたな。上手くやれたのだろうか。
帰投したら、街管理システムから連絡があり、宿舎増設中とのこと。明日完成するらしい、それまではテント暮らしだと。ダンジョンを出てから作り始めたらしいが、宿舎が3日で出来る方が驚きだ。
我々はトラックのドックで開封室にいる。帰投後直ぐに開封室はもう手順の一つとして確立されたと言えよう。
さて、今回は
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ツラギ救援 結果 成功
成功報酬 ポイント 10000
異世界秋月級船体 1個
異世界秋月級艦橋 1個
異世界夕雲級船体 1個
異世界夕雲級艦橋 1個
四八式高射装置 3個
人員用ポーション弱 40個
人員用ポーション中 10個
艦艇用ポーション弱 20個
艦艇用ポーション中 5個
艦艇用ポーション強 2個
大尉 2名 中尉3名 少尉3名 曹長2名 一曹4名 二曹5名
上等水兵20名 一等水兵30名 二等水兵40名
軽巡撃沈 800✕1 800ポイント
駆逐艦撃沈 150✕4 600ポイント
白ブイ 中 1個
少尉2名 曹長1名 上等水兵4名 一等水兵4名 二等水兵9名
黄ブイ 小 4個
一式三十三ミリ四連装機銃 2個
エリコンFFS4連装機銃2基 2個
詳細は別紙を見よ
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では見てやろう。どうせ碌でもないことが書いてあるに違いない。
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成功おめでとう。
救出人数が多かったので、成功報酬も多いぞ。
艦艇用ポーション強は始めてじゃの。
巡洋艦程度なら転覆しそうな状況でも80%は回復するという優れものじゃ。もちろん駆逐艦ならどんな状況でも100%回復する。
報酬を見ても分かると思うが、艦隊編成のためじゃ。
この先面倒な状況になる。単艦では無理だろう。
人員を増やす算段は、また別のダンジョンで発生するぞ。
頑張れ。
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この、やるせない気持ちを誰か分かってくれるといいが。
目の前に居る面々はある程度分かってくれるか。しかし、また人員救出が有りそうだ。
今回のポイントは大きい。11400だ。前回の残り2240を足せば13640か。
艦隊と言うよりも駆逐隊だが、出来そうだな。既に、造船中佐と造機中佐の目が異様に熱気を帯びている。
船のことは機関長とあの二人にやって貰おう。幾ばくかの不安はあるが。ある程度の要望を伝え、任せた。大丈夫かな?
我々はあの3人を管理室に送り出した。今回の報酬で「何隻組み立てられるか」などと気になることを言っていたが。今の乗艦と同じ艦1隻建造と別に異世界秋月級は人員輸送用に改造してくれるはずだ。言っておいたし。
我々は白ブイの者達と成功報酬の人達との面会に行く。
白ブイの者達は全員艦艇乗り組み中または基地で戦死だったという。中に衛生兵が居たのは助かる。今1100人増えた。衛生の人間が少ない。これでまた、たおやかなお姉さん達も増えるだろうし。
成功報酬の者達は、機関、航海、砲術、水雷、甲板、通信、と見事に分かれた。全員艦艇乗りだ。助かる。
ツラギで救出した人達は、艦艇乗り組みは少なそうだ。だが少しでも経験あれば無理やり乗せてしまおう。
横空の人員が搭乗員も含め全員というのが大きい。これで軽巡を手に入れても水偵の運用が出来る。
ツラギで救出した人達はおとなしくしていた。おかしい。南斗ではかなりブー垂れていたと聞く。
「夕雲艦長、加納少佐です」
「先任水雷長、徳松中尉です」
「砲術長、鈴木大尉です」
「通信長、中村大尉です」
主計長は三村少尉だったので敢えて連れてこなかった。今頃は開封室の人達の相手をしている。
「横空司令、宮崎大佐だ。救出感謝する」
「第84警備隊司令、鈴木中佐だ。同じく感謝する」
「救出出来幸いです」
「我々はまた同じ死に方かとビクビクしたいたのだよ」
「本当にそうでしたな」
「君達が来て驚いたのだが、軍艦旗を見て信じようという気になった」
「見たことも無い船だったのでね、警戒はした」
と一通りの事を言った。彼等もやはり戦死したような覚えはあるのだと言う。
「早速で申し訳ないですが、お願いがあります」
「何かね」
「横空と警備隊で艦艇乗り組み経験のある人間を艦艇乗り組み員として出して貰いたいのです」
「どういう事か」
斯く斯く然然と説明する。
「そうか。あの白い空間にいた女神はそこまで話してくれなかった」
「美人でしたな」
ク!うらやましい。我々は爺だというのに。
「そういう事なら協力もしよう」
「警備隊としても問題は無いですな」
「ありがとうございます」
「俺は必要かな」
「宮崎大佐、どういう事ですか」
「一応、艦艇経験はあるし水雷学校も砲術学校も出た。ただ最後に乗り組んだのが山城だ。12年前だな」
「私は砲艦宇治の艤装員長で初代艦長だよ。少佐」
困った。どうしよう。上官来てくれんかなと思ったが、二人来た。ここは下に出てお願いする。
「宮崎大佐にはトラック島司令になって欲しいのです。今は根拠地隊の中佐がやっていますが人数が増えます。これからも。大きな組織の長を経験された大佐の力を貸していただきたい」
「フム。いいだろう。艦艇乗り組みと言っても私は経験が少ないからな」
「ありがとうございます」
「俺はどうしたらいいかな、少佐」
「艦長経験がるなら、今建造中ですのでそちらを願えたらと」
「いいのか」
「是非」
「うらやましくもあるが、経験不足では足を引っ張るだけだろうし。素直に基地司令をするよ」
「ありがとうございます」
「さて、階級は上だがここでは君が先任だ。いろいろ教えを請おう」
「はい。基地宿舎の食堂に個室がありますのでそちらで」
「食堂か、良い物出るのか」
「旨いです。ヱビスビール有ります。各地の地酒や壽屋の角もあります。最近スコッチも出るようになりました」
「「是非話を聞かせて貰いたいな」」
「副官をお連れ下さい。人数的に10人くらいの部屋です」
「分かった。他の者はどうしたらいい」
「宿舎は鋭意建設中です。今晩テントで暮らしてもいらえれば、宿舎に入れます」
「ではそう言う指示を出しておこう」
「お願いします」
二人は副官に命じて、隊に触れ回るよう指示を出した。
次の日には宿舎が完成した。突貫工事でもっとボロいことを予想していたのだが普通だった。
新人の内、艦艇乗り組み半年以上の経験があるのは、わずかに200人。新たに白ブイから復活した人間を入れて、ようやく夕雲級が動かせる程度だ。造船中佐に聞くと、7000ポイントを要したが、ほぼ同じ艦が出来上がったという。ほぼと言うのは、電探と探針儀に水中聴音機が、以前取り付けられていた物のお下がりで性能が劣るからだと。それでも、今までの帝国海軍装備品に比べれば雲泥の差だ。また造機中佐が張り切って、機関性能は夕雲を超えるらしい。夕雲の機関は3基同じボイラーだが、新造艦は1基凄いボイラーを入れたという。計画速力は40ノットになると言う。
あのボイラーは1基しか無かったんで、夕雲には無理をしないと言うことで載せなかったんだよな。
4日後。完成した夕雲級二番艦[朝雲]に乗り組み員が乗り込んだ。夕雲から60名ほど配置転換を行った。そうでも無いと短期間では艦をまともに動かせるほどにならない。これから艦内になれるまで岸壁で1週間ほど、頭と体に叩き込ませる。その後は1ヶ月の慣熟訓練だ。と言っても三日で終わるが。
夕雲は夕雲で、新たに入ってきた60人のやはり訓練だ。
朝雲艦長には鈴木中佐になって貰った。元先任が艦長職はまだ肩に重いと言うのだ。なので鈴木中佐の元で朝雲の先任をやって貰うことにした。他の人間の元で苦労するのもいいだろうし、だいいち戦訓を多数持っている。朝雲の役に立つはずだ。
南斗艦長はなんと宮崎大佐が志願した。たぶん最初で最後の艦長をやらせて欲しいと。
機銃指揮に慣れている夕雲砲術士を先任として付けておいた。機銃しか無いから適役だと思う。
ヘッジホッグは付けられていない。機銃は4連装、単装とも増設してある。大発艇を1杯に減らしてその分の重量とスペースを使っている。1杯は内火艇が無いので代わりに残してある。
中佐と大佐を少佐が指揮するのだ。胃がおかしくなりそう。
1ヶ月半後、短すぎる慣熟訓練を終え、南斗を含めた3隻はダンジョンに挑む。
勇ましくも[第一駆逐隊]と言う名称を勝手に付けた。
ダンジョンに挑むのは爺からの手紙が来ていたからだ。
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元気か。
無事に二番艦が完成したな。では次の目標だ。
2階層C
お題
船団護衛
本土に南方資源を運ぶ船団を護衛せよ。
ダンジョン海面はバシー海峡を中心とした海域である。
成功条件
敵戦力から輸送船団を守ること。6隻中4隻を守り切れば成功。
敵潜水艦4隻以上撃沈。
航空機の規定撃墜数は無い。
敵戦力の撃滅は条件では無い。
予想される敵戦力
航空機 米軍爆撃機多数
艦艇 米軍潜水艦数隻
フィリピンはほぼ敵の手に落ちている。北部の飛行場地帯はかろうじて日本軍の勢力圏であるが、南部に作った飛行場から米軍機風敵機が飛んでくる。こちらの航空機をコピーしているようだ。性能もほぼ同じである。
以前の軽巡や駆逐艦が出て来る事態も予想される。さすがに米軍水上艦艇は出てこない。
日本軍の協力は得られない。ただ敵とは戦闘をする。協力は出来ないがたまたま助かることもあるだろう。
成功報酬は例によって、後からあきらかにする。
では成功を祈る。
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夕雲と朝雲は防空艦では無いが、それに準じる能力を持っている。今の能力自体なら秋月級を上回る。
今回は予備魚雷を降ろし、その重量で機銃を増設している。気軽に改造出来るので、造船中佐が張り切っている。ただ機銃座が増えたので、露天甲板の通行は面倒になった。
しかも、増設したのも関わらず前方対空火力は無いに等しい。
あくまでも船団の側面で対空防御を行うと言う行動指標に沿った物だ。
対潜態勢は新型水中聴音機と探針儀が力を発揮するだろう。信じられない有効範囲と方位と距離の精度を持つ。爆雷は危険だが投下軌条と投射器に予め乗せておく。
南斗も機銃増設やヘッジホッグを装備するなど、高角砲こそ無いが近接防御力と対潜能力はかなりの物である。
今度は護衛任務だ。元々護衛が本職でったし、夕雲でやるなら以前のような無力感は感じないだろう。
次回、9月1日(水) 05:00予定
乗り込み員不足の中、割り振って運用しようとしています。
戦中の対空火力と対潜能力は戦争の実態に合わず苦労されたようです。




