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濃灰の艦隊  作者: 銀河乞食分隊
序章
1/73

目覚め

健闘むなしく撃沈された駆逐艦。

神によって目覚めさせられた彼らは、何をさせられるのか。



8月1日 06:00に次話投稿予約してあります。


8月8日まで連日05:00に投稿。後は間が開きます。


 おかしい。夜間、浮上潜水艦を発見し追尾に入った後見失い、橫から雷撃を受けほとんど一瞬のうちに横転。

 乗員もろとも沈んだはずだ。

 なのにここはなんだ?

 明るく凪いだ海。風も弱く漂泊するには良い場所だ。


 時計を見ると、〇九:二六だった。喰らったのは夜中なんだが。

 気になって周りを見回すと、艦橋要員もポカンとしている。

 俺もポカンとしたいが、艦長である。何かやらねば。


「おい!しっかりしろ。各部確認だ。人員点呼も急げ」

「「「はっ」」」


 俺も羅針儀を見た。なんだこれは。定点を指さずに指針がふらふらしている。磁気羅針儀でこれだ。従羅針儀なんかぐるぐる回っている。


「左舷確認できる物体無し。陸地も見えません」

「右舷確認できる物体無し。陸地も見えません」

「後方、同じく」


「艦橋、機関室。人員に欠員無し。怪我人もいません。不思議なことに灯りは付いています。機関は何故か火が落ちています。始動しますか」

「艦長だ。機関点検後、始動頼む。その前に非常用発電機を回してくれ」

「機関室、了解」


「艦長、通信、人員異常なし」

「ご苦労」

「問題が有りまして、電源が落ちていますので機材が動かせません」

「機関が止まってしまってな。電力の供給が始まる」

「では点検に向かいます」

「うむ」


「艦長、砲術です。人員異常なし。人力で動かせる限りでは機材に異常有りません」

「よろしい。砲術、ここはどこだろうな」

「わかりませんか」

「羅針儀も従羅針儀もダメだ。先任が六分儀で見たが、計算できなかった。知っている場所では無いとか不思議なことを言っていたな。よって正確な位置は不明だ」

「参りましたね」

「全くだ」


 次々と一報が入るがどれも艦は正常を示していた。何故だ?魚雷を喰らったのに。おまけに主計がおかしいことを言い出した。


「食糧がいっぱいになっています。それも新鮮なものが」

「重油が一杯です」 機関からもおかしい報告が有る。

「爆雷、魚雷とも新品です」 水雷長からだ。

「どう見ても砲が新品です」 砲術長からだ。


 おかしすぎる。あの世にしても艦ごとは無いだろう。何だろうな?


 答えは出た。いつの間にかそこにいて勝手にしゃべり出した正体不明の爺は誰だ?


『君たちは一度死んでおる。その船が転覆したのは記憶にあるな?全員戦死になっておるよ。実は頼みたいことが有って、君らをこの世界に招いた。ここは、あの世みたいなものだ。君たちに頼み事をする場所は、れっきとした現実世界だ。』


 爺は言葉を句切った。待っているのか?なら。


「ここはどこだ。そして頼みたい事とは?」


『ここはあの世と現実の狭間だな。行って貰う世界は地球だな』


 ザワザワと周囲の乗員が騒ぐ。


『ただし、君らが生きていた地球では無い。別世界の地球だ』


「別世界ですか」 見張り員か。よく聞いたぞ。


『同じ世界で生き返らせる事はできないのでな』


「では家族とは」


『君たちは一度死んでおる。戦死告知書が届いている事だろう』


「何故ですか」


『何故かか。いろいろ意味は有るが、ほとんどこちらの都合だな』


「都合とは?」 今度は先任か。俺も考える時間が欲しい。引き延ばしてくれ。


『うむ。実はこの地球に余所の世界から侵略者が現れてな。その対応に当たって欲しい。君らが主役だ』


 厄介な。そろそろ俺が口を出すか。


「では聞くが、我々で対抗できるのか」


『今の状態では不可能だ』


「今の?」


『そうだ。君らには敵を撃退して力を付けて欲しい』


「敵を撃退して力を付けるとは?」


『そうだな。まずは体験してみようか』


「体験だと?」


『敵をやっつけて欲しい。実戦演習とも言うべきか』


「意味がわからんが」


『今から君らを戦場に放り込む。敵駆逐艦4隻以上を撃沈せよ』


「は?」


『君らは死んでも蘇るからな。ただし999回という限りは有る』


「待て、何だそれは」


『それと撃沈すると、ブイが浮かぶようになっているから必ず回収しろ』


「だから何だと聞いている」


『褒美は出すぞ。完全に撃退したらな』


「何故だ?」


『我々は直接介入できないのでな。君らに力を与えて代理となって貰う。蘇り回数が999回というのも、代理となって戦えば死ぬ事も有るだろうから生き延びて欲しいからだ』


「どうしてもか」


『やって貰わねば困るな』


「何故戦死したままにしておいてくれない」


『転生という言葉を信じるか』


「は?」 いきなり変わるな。


『転生は有る。管理しているのは我々のような者だ。君らの世界にも伊邪那美命いざなみのみこと伊弉諾尊いざなぎのみことがいるだろう』


黄泉よみか」


『そのようなものだな。死後、魂は生前の行為によって選別される』


閻魔えんま様か」


『そうだな。その認識で間違いない。実際は少し違うが人々の認識ではそうなる。そして、交渉の末君らをこの世界へと招いた』


「転生先は我々が生まれた地球では無いのだな」


『理解してくれて有り難い。魂は循環する。世界を。そして世界というのはとてつもなく広く、多い』


「多いか。その一つなのか。ここは」


『そうだ。ようやくわかったか』


「死して蘇った経験は無いのでな」


『はは。それはそうだな。それでは経験して貰おう』


 そう言って爺は消えた。そして、艦は不思議な世界から、見慣れた洋上へと。


「艦長」

「先任、何だ」

「海図台に海図と封筒が」

「なに?」


 そこには「神より」と書かれた封筒と、海図が2枚載っていた。




船は神風級駆逐艦


各人の呼び方

当面役職呼びです

旗艦では無いので艦長が最上級者


艦長  少佐

先任  大尉 航海長兼任

砲術  大尉 砲術長

水雷  大尉 水雷長

通信  大尉 通信長

機関  少佐 機関長

主計  中尉 主計長

甲板  中尉 甲板士官

などなど


戦争後半の人材不足の中、このような小型艦艇に大尉がこんなにいるのかと言う話は無しで。



艦長目線の一人称でやっていこうと思いますが、出来るかな?

そのうち個人名を出そうと思います。役職名だけでは行き詰まりそうで。



ジャンルを迷い、近未来科学技術や妄想技術が出てくるのでこちらでいいかなと。

有るゲームに似ているような気がしないでも無い。

最初そっくりでしたが、さすがに拙いと思い書き換えました。

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