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第1話 不思議な腕輪

五行土(ごぎょうど)と呼ばれる大陸には5つの国がある。国それぞれに五行思想に基づく神の加護があり、国が危うくなりし時はその国の第2王女が神子(みこ)になり神に祈りを捧げることによって国に平穏をもたらす。

しかしその姫は生贄となり神に食われてしまうのだ。







「ココニ、、、ワレハココニイル、、、」


ふと頭に声が聞こえる。このような声が聞こえるようになって一体何日ほど過ぎたのだろうか、最初は疲れで幻聴が聞こえてるものだと思っていたがここ最近になってはっきり声として聞こえるようになった。


花南(かなん)、ご飯よー。」


1階から母の声が聞こえる。夕食の準備が整ったようだ。


「今行きます!」


中途半端に終わらせた宿題を片付けて1階のリビングへ行く、父は新聞を呼んでいて、妹は先にもう夕食を食べていた。


「遅くなってすいません、お待たせしました。」


皆で夕食を食べ始めるが会話はない。

沈黙に耐えかねた母が口を開いた。


春香(はるか)そんなに急いで食べると体に悪いわよ。」

「受験勉強があるから。」


と春香は素っ気なく返事を返す。1つ年の離れた妹はとても頭が良い、現在中学3年生で都内の有数の進学校に受験するために猛勉強中なのだ。


「花南は頭痛いって言ってたけど大丈夫なの?」

「まだ耳鳴りが酷くて、」


本当は声が聞こえるのだがそんなこと言えるはずがない。


「そうなの?ちゃんとゆっくり休むのよ。」

「ありがとうございます。」


手早く夕食を食べ終えて、2階の自分の部屋に戻り宿題の続きを初める。

やはり家族と共にいると言い様のない気まずさを感じる。両親は自分に良くしてくれるし感謝している、しかし幼い頃からここの家族には自分の居場所はないのではないかと思っていた。

私は養子なのだ、もっと言えば捨て子として捨てられている所を両親に拾われて育てて貰ったのだ。

だからこそ両親に感謝はしているが、申し訳ないという思いが強い。

しかも最近になって妹が私立の進学校の受験を受けることになり、決して裕福ではない家庭の為余計申し訳ないと思うことが多くなった。


「ワレハココニイル、、、」


また脳内に声が流れ込んでくる、私は頭を抑えた。


「私おかしくなっちゃったのかしら、」


「ココニ、ココニ、ワレハココニイル、、、」


どんどんもっとはっきり声が聞こえるようになった。気が狂いそうだったが私はある事に気づく。


「この声、屋根裏部屋から聞こえてる?」


脳内に直接流れて聞こえていた声が、耳から音として拾えるようになっていた。屋根裏部屋から声が聞こえる、意を決して屋根裏部屋に行くことにした。


「このままじゃ気が狂ってしまうもの。」


屋根裏部屋は基本人が立ち入ることはなく埃まみれになっていた。

声に誘われるままにとある古めかしい箱を手に取ると、ピタリと声が止んだ、私は恐る恐るその箱の蓋を開けた。


「なにこれ、凄い綺麗……。」


蓋を開けた瞬間目を見張った。そこには金の絢爛な赤い宝石が散りばめられた美しい腕輪があった。


「こんなの家にあったんだ、この宝石ルビーかな?」


恐る恐る花南が腕輪をはめたその瞬間。

部屋中が赤い閃光に包まれた。


「うわっ!」


堪らず眼を瞑りーー

再び目を開けた瞬間、


「どこ、ここ?」


そこには見知らぬ景色が広がっていた。

夕方の何もない辺り一面畑ばかりの場所、必死に辺りを見回しても何もないし、人も居ない。


「何本当にどういうこと?」


全く現実が受け止めきれて居ないが花南はとりあえず歩いて見ることにした。


「とりあえず誰か居ないかな。」


あてもなく歩き続ける、コンクリートの道もないし、車も走ってないし、電柱もない。

とんでもない田舎に来てしまったのかと不思議に思いながら誰か人を探して歩き続けた。

すっかり辺りが暗くなったころ、一縷の光を見つけた。

誰か居るのかもしれない。


やっとの思いでたどり着いた私が目の当たりにしたのは目を疑う光景だった。

賑やかな商店街のようだったが、明らかに現代日本ではない服装の人々、これは古代中国の庶民が着ているような服装ではないだろうか。


「どういうことなの?」


ますます私は現実が受け止め切れなかった。

牛車で物資を運ぶ人や屋台で肉や魚などを売る人、何度見てもここは現代日本ではないようだ。人々は制服姿の私を異様な目でジロジロと観てくる。


「私どうしてこんなことに、」


涙が溢れてきて裏路地に駆け込んだ、膝を抱えて座り込む、涙が溢れて止まらなかった。


「私が一体何をしたの?なんでこんなことになってしまうの?このまま私死ぬの?」


制服のスカートにシミが出来るほど涙を流していると、強い力で腕を引っ張られた。


「何!?」


そのには柄の悪そうな3人組が、1番太って大きな男が私の腕を引っ張りあげていた。


「お嬢ちゃんどうしたの?こんな所で?」


ニヤニヤとした気持ち悪い笑顔で、舐めるように見られている。


(気持ち悪い、、、)


と同時に私は言語がちゃんと聞き取れることに衝撃を受けていた。


なんで言葉が通じるの?


中国語じゃないならば、ここは中国でもないのだろうか。


「なかなか可愛い顔をしてるねぇ」

「やめてください!」


男が花南の服を脱がそうとかかる。


「どうやって脱がすんだこれ?」

「破っちまいましょうよ、」

「触らないでやめてください!」


男が小刀で花南の服を破ろうとした瞬間。


「何をしているんだ!」


兵士のような服装をした男が現れた。


「なんだお前?」


男達が兵士に気を取られている家に満身創痍で逃げ出そうとしたが、足が震えて上手く歩けなかった。足が縺れて倒れそうになった時にふわっとしたものに抱きとめられた。


「大丈夫ですか?」


恐る恐る顔を上げるとそこにはマントの様なもので身を包んだ可愛らしい女の子が居た。


「ここにいるともう大丈夫ですよ。安心してください。」


歩き続けた疲れか恐怖から解放された安心感からか、

私はそこで気を失った。



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