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日常から非日常へ。  作者: 稲平 霜
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親しみの崩れる音

94話




現実に戻ってくると地面に突き刺さっていたホエレルドンの骨からは光などなく、ただのドラゴンの骨へと変わっていた。

唐突に両手が激痛に襲われた。私は痛みがする両手を見ると右の手の平は真っ赤に染まり、皮膚が固くなり、手の甲には赤い紋様が描かれていた。同様に左手を見ると、右手のように目立った変化は見られないものの、 手の甲にはしっかりと黄色い紋様が描かれていた。

私が地面に手を着いた瞬間それは起きた。私の左手が触れた部分から洞穴の光が広がっていく。その光が外へと向かっていった時、見覚えのある2つの人影が立っていた。

「調子はどうだ!?ヤーズ!」元気よく発せられた声はメアルという事がわかった。そして、その隣は消去法でルルハという事も。

「2人ともここで一体何をしているんですか?」私は2人にそう聞いた。しかし、2人からは友好的なものは感じられなかった。そこでルルハが話し出す。

「ヤーズ。君には失望したよ。僕はいい仲間になれるかもって思ってたのに...。」ルルハの声は震えていたが、顔つきは怒りの感情しか読み取れなかった。

「私。なにかしましたか?」私は頬を人差し指で掻きながらそう聞いた。その瞬間洞穴全体に音が反響した。その音はルルハの巨大なハンマーで地面を叩いた音だった。

「よくそんな事が言えたね。人1人呪い殺しておいて...!」ルルハの口から出たのは明らかに私ではないような事件だった。しかし、それと同時に心当たりがあった。


ドラゴンの呪い。ドラゴンの逆鱗に触れることによって、ドラゴンの無意識の内に呪いをかけられてしまうことがあるらしい。もし、それが本当ならホエレルドンの骨による呪いだと思う。私は勝手にそう解釈した。だから私は否定した。

「私はそんなことしていません!」私は否定した強く。

「この“1ヶ月間”ずっとここにいたのか!?」メアルがそう聞いてくる。その言葉に私は困惑する。私にとって、3時間位しか経っていなかったと思われたその時は現実では1ヶ月経っていたのだ。その事に気づいた私は放心状態になる。その時洞穴に声が反響する。

「どちらにしろ君は僕らの手によって処刑する。」ルルハはそう言ってハンマーを振る。

「そうだ。どれだけお前がおれたちと親しかったとしても、罪は罪。おれたちは罰することしか出来ない。おれたちの正義のために!」メアルはそう発言すると同時に銃を構えた。

「さよなら。罪人ヤーズ。」ルルハは冷たくそう言い放ち、私の眼前まで移動してきた。気付けば私の身体は浮き上がっていた。ルルハのハンマーは上に上がり、私を飛ばしている事に気づく。その後、身体に痛みが走る。潰されるような痛みは体全身の骨が軋む音を立てていた。

「あ''...!」私は吐き出す嗚咽を抑えることが出来ず、溢れ出た。そして、私に息を吸う隙を与えないかのようにメアルが銃を構えていた。メアルが引き金を引く時、口を動かしていた。しかし、なんて言っていたのか考える隙もなく私の脳天に魔力の弾が向かって来るのが分かる。その時、私の両手が熱くなる。その次の瞬間メアルの魔力の弾を溶かし、その場から地上へと雷の如く移動していた。

「な...!」ルルハの焦る顔に声が放たれる。その間に私が自分の手を見ると、手の甲の紋様が色濃く浮き上がっていた。そして、その腕にはそれぞれの力が纏われていた。右腕には炎。左腕には電気。一瞬の判断で私が動けた訳ない。


そう思った瞬間脳内に声が響く。

「間一髪だったな!感謝しろな!」元気よくホエレルドンは言った。

「集中しろよ。」ソリドスは冷淡に言い放った。続けてソリドスが話す。

「次はしっかり頼むぞ。」ソリドスは私を追い込むように言い放った。しかし、私は怯むことなく言い放つ。

「はい!」その了承の言葉は私の決意を固くするものだった。


「罪人は処刑されるだけでいいんだよ!」ルルハは慌てた様子でそう言い放つ。そのルルハの姿を見てメアルは無言になっていた。

「私は何もしていない。」私はそう言い張ることしか出来ない。なんの根拠もなく、仕方の無いことだと割り切った。

「そうですか。救いようのない罪人ですね。せめてなにか言い訳をするかと思いきや全くしない。もう終わられましょうよ。」ルルハはそう言ってハンマーを掲げた。その次の瞬間ハンマーのヘッドが、想像を絶する大きさに変わる。それに乗じてメアルが銃の魔力弾にさらに魔力を込めだした。

「処刑....!」ルルハがそう言ってハンマーを振り落としてきた。それと同時にメアルの銃声が聞こえる。近づく恐怖を私は受け入れ、両手の力をその一瞬で最大限に引き出した。洞穴に轟く轟音と洞穴の入口を塞ぐように燃え上がる炎。そして、次の瞬間その場にいた者は気づく。天井が迫ってきていることに。

「これが狙いか!」ルルハはそう言って振り落とそうとしていたハンマーを無理やり上へと振り上げた。天井が頭に触れる前に止まり、ルルハのハンマーが当たった部分からひび割れる。その様子を見私は洞穴の外から見ていた。光る瓦礫に潰されるルルハとメアルを私はどんな顔で見ていたか分からない。ただ、殺さないだけあマシだとそう感じた。

しかし、その瞬間私の身体中に激痛が走る。そして、痛みが止むと同時に見えたものは1ヵ月ぶりに見るレイドと、ハル、ラフノだった。

どうでした?

面白かったなら良かったです!

次回も読んでくれると嬉しいです!

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