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日常から非日常へ。  作者: 稲平 霜
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光るドラゴンの骨

91話




「意外と早く終わって良かったです。」ヤーズがそう発言した瞬間ソリドスが語りかけてくる。

「あいつも腕を上げていると思ってなかったからな。」

「何年位会ってなかったんですか?」

「もう15年は会ってなかったかもしれないな。」

「じゃあホルスさんは何歳なんでしょう。」

「さぁな。」ソリドスの考える事をしていない一言で会話は終わった。


小屋の外には人が溢れかえっていた。時間は既に昼を過ぎ、14時くらいだろう。

なにか食べるものはないか探そうとすると目の前に商人のような人が現れた。

「どもどもこんにちは!私!しがない流浪の商人でして、良ければぜひ私めの商品を見ていきませんか?」声の高い男はそう言って私の眼前に顔を寄せてくる。

「ど、どんなのがあるんですか?」私は商人に気圧されながら聞いた。

「おお!見て頂けるのですね!そうですね!まずこちら!」商人がそう言って初めに見せてきた商品は身体の装備だった。

「こちら!なんと、従来の鎧より硬いのですが、さらに軽量化が完成しておりまして!その完成品がこちらの鎧となります!」商人が紹介する鎧を私は丁寧に持ち上げる。確かに商人の言うように鎧が軽く、硬そうなものであった。しかし、ソリドスがいる限り私は鎧を必要としない。なぜなら、私の身体に攻撃が当たる前に溶かすか、燃やすかができるからだ。

「ん。やっぱり要らないです!」私は元気にそう商人に言い放った。そして私は清々しい顔をして歩き出した。

「ちょっ!ちょちょちょちょ!待ってくださいって!他にもありますからぁぁぁぁ!」商人はそう言って町中で叫んだ。その影響で周囲に歩いていた人がこちらに注目する。「なんて汚い商人だ」と思いながらも私はもう一度商品紹介を見ることにした。


「思い直してくれて良かったです!では続いてはこちら!」商人がそう言って取り出したのはやたら大きな骨だった。

「こちら。見てくださるとわかる通り!ドラゴンの骨です!一部のマニアにはかなりの大人気な商品でして!あ、そうそう!このドラゴンの名前はボエレルドンというおよそ1500年生きたという伝説のある電気を操るドラゴンでですね!何と!この骨には電気が宿っており!夜は光るんですよ!夜道を歩くことのある方ならぜひ!.....ってあれ?どうされました?」商人はドラゴンの骨について熱烈に紹介した後、私の変化に疑問を持ったのか聞いてきた。

「お前が殺したのか?俺のかつての旧友を。」それは私の意思に反する言葉だった。そう。つまり今喋ったのはソリドスだ。

「ど、どうされたのですか!?」商人がそう言ってへっぴり腰になった瞬間私はソリドスを止めようとする。


「何をしてます?ソリドス。」

「うるさい。人間如きが俺を止めれるとでも?」

「止めれないです。」

「じゃあ、どうするつもりなんだ?」

「あのドラゴンの骨が本物かどうかも分からないのに怒るのはなぜなんです?」

「分かる。俺には分かる。あの骨に込められた魔力の深さは紛れもなくかつての旧友ボエレルドンで間違いない。」

「そうですか。じゃあ、私はソリドス。あなたを止めます。」

「なぜ?」

「今の私の目にはあなたは頭の固いおじいさんにしか見えません。だから、1度目を覚まさせるために。」私はそう言って弓を構えた。

「俺に弓は効かんぞ。」

「そうです...かっ!」私は言葉の最後に矢を放った。身体は火照るように熱くはなっていない。ここでソリドスの力か使っていないことが分かる。本来の私は魔力を溜めて放つ事で高威力の矢を放てていた。そして、今放ったのは今まで矢を撃たなかった期間分の威力となっていた。そして、その矢はソリドスの首を貫いた。

「グッ!」ソリドスの苦しむ声が響く。しかし私は躊躇なく次の矢を放った。

「私は人間だから、手加減なんてできない。手加減なんてしたら、あなたを止めれない!」私はそう言って次々と矢を放つ。しかし、その複数の矢はソリドスのドラゴンの姿で踏み潰された。

「うるさい!人間は奪おうとする!俺から次は旧友を拝む事さえ!それさえも許されないのか!」ソリドスの叫びに近い咆哮は私の耳を髪を喉を焼き切った。

「かはっ!ゲホゲホッ!それ....!でも...!とめ...るっ!」私は焼ききれた喉を震わせながらも叫んだ。

「しばらく眠っていろ!」ソリドスはそう叫んで次の瞬間私の身体は熱に耐えられず溶けていった。


「おい。その骨。貰っていくぞ。」私の身体を操るソリドスはそう言って商人の持つ骨を担いだ。

「待って!コーカ払って頂かないと!」商人がそう言った時既にソリドスは飛び立っていた。

「これでもか?」ソリドスはそう言って身体をドラゴンへと変化させた。

「ひぃぃぃぃ!」「ドラゴンだ!」「助けてくれぇ!」町中が騒がしくなる。ソリドスはその場からすぐに飛び去った。


熱を検知することで光る洞穴はかつて、電気を操るドラゴンの住処だった。現在炎のドラゴンがその場に降り立った。ソリドスの熱で洞穴は常に光り、夜を忘れさせるほどだった。空は既に夕暮れとなり、私はソリドスの目線で眠っている。

「ホエレルドン。帰ってきたぞ。」ソリドスは身体を元の人型に戻して言い放った。

どうでした?

面白かったのなら良かったです!

次回も読んでくれると嬉しいです!

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