酒という罪と罰
89話
ここは、着いたのはクネゴボという農村だった。村には子供たちのはしゃぐ声と、大人たちの会話。色んな声が入り乱れていた。
「雰囲気はいい村ですね。」わたしがそう言うとメアルは険しい顔をしていた。
「ここは、どうして壊れてないんだ?この村。」メアルはそう言って顎に手をつける。
「それはどういう....。」私が発言しようとするとルルハが口を開く。
「僕達はね、1度この村を見捨てたことがあるんだ。だからメアルは感動しているのかもしれない。」ルルハはそう言ってメアルから少し距離をとっていた。
「おお、旅の方かい?どうぞこの宿で休んでいってください!」村のおばさんはそう言って強引に背中を押して、宿屋に誘われた。
「ここは従いましょうか。」私がそう言うと2人ともうなづいていた。
宿屋の中に入ると人はガラガラで店長もぐったりしていた。
「大丈夫です....か?」私は言葉を放つと共に床に転がった酒瓶を見つけた。
「凄い酒の匂いだ!こりゃ酔ってんな。」メアルは鼻をつまんでそう言っていた。他にも辺りを見渡すと壁が汚れていたり、床に切り口など、ボロボロの印象が強くなる。泊まらせてくれそうにないので私はその場を後にした。宿から出てきた私たちを見ておばさんが引き戻そうとするが、私達は聞かなかった。
「さ、次の中間地点は....。」ルルハがそう言って地図を見ている。
「もう夕暮れだな。急いで休める場所に行かないと。」メアルはそう言って銃を撃つ振りをする。
「次の目的地はエブエという町にしよう。」ルルハはそう言ってその方向を指さした。私はルルハの案内通りエブエへの歩みを始めた。
エブエに着いた時は既に夜闇が広がっていて私達は宿屋へ行こうとしたが、この村は宿屋がなく、野宿をやむを余儀なくされた。
「どうする?これからどこへ...。」メアルがそうルルハに聞く。すると力強くルルハは答える。
「もうこのまま王都に向かおうか。」ルルハはそう言って私とメアルを担いだ。ルルハは身長が高く、私達の腰を持って担いでも歩くのには余裕があるみたいだった。
「じゃあ行くよ。」ルルハがそう言った瞬間私の顔面に風が舞い、髪が乱れる。ルルハの移動速度は馬車といい勝負が出来そうなくらいだった。風を受けたままルルハが口を開く。
「今から急激に止まるから僕の背中に手を通していて!」ルルハがそう言った瞬間足を止めていた。しかし、下が砂だからか思うように止まらず、王都の門の石の地面で私達は吹き飛び、王都に着いた。
「誰だ....!って!どういう状況ですか!?」検問の騎士はそう言って驚いていた。それは無理もない。私達は門にぶつかってその場に倒れているのだから。そこで、ルルハが立ち上がった。
「すいません。宿屋使わせてくれませんか?」
「ではなにか、ありますか?コーカでも大丈夫ですが....。滞在時間が限られます。」検問の騎士にそう言われ困惑する所、私は冒険者証明の証を起き上がって見せた。
「はい。大丈夫ですね。どうぞ、お通り下さい。」検問の騎士はそう言って門を開いた。
「乱暴なのは変わんないな。」そう発言したのはメアルだった。それを聞いてあからさまにシュン...とするルルハが見える。私含め3人の中でたった1人の男の人とは思えないほどだった。
「ところで宿屋はどこなんでしょう。」私がそう発言した時それは見つかった。
「あったぞ!これがまだ空きがありそうな宿屋だ!」メアルはそう言って宿屋に入ると、斧が飛んできた。斧は音を立ててメアルの頭の上を通り過ぎ、壁に突き刺さった。しかし、それ以上に驚いたのは宿屋の主にルルハがハンマーを振り上げていた事だ。
「ひ、ひぃ...!」宿主は怯えの声を上げていた。
「今、人殺しをしていたら僕は遠慮なくお前を処刑していたよ。」ルルハには笑顔というものは無かった。その気になればルルハはこの宿屋などすぐ壊せるだろう。
「あの、ここに泊まりたいのですか...。」私がそう言うと宿主は徐ろにペンを持ち、私に渡してきた。
「こ、ここに名前書いてくれればいいから....。」宿主はそう言って紙を指さした。私が名前を書くと宿主が部屋の方を指さす。
「その廊下を1番先に進んだ部屋....です...。どうぞお休みください....。」宿主は怯えながらもそう言って私たちを見送る。恐らく宿主は酔っていたのだろう。誰も気づいてないが、酒瓶が転がっていたのが私は気づいていたからだ。しかし、今ルルハを刺激するのはやめた方がいいと本能的にわかった。
「明日でお別れですか?」私はベッドに座って聞いた。
「そうかもしれないね。僕らは動き続けるから。」
「そうだな!明日はここを出る!また会えたらいいな!」ルルハに続きメアルがそう言う。
「まださよならの言葉は早いんじゃないんですか?」私がそう言うとメアルは笑う。
「それもそうか!」メアルはそう言ってベッドに寝込んだ。親切にベッドは広く2人は寝れそうなベッドだった。床で寝たのは案の定ルルハだった。私は申し訳ないと思いながらもふかふかのベッドで眠った。
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