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日常から非日常へ。  作者: 稲平 霜
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激戦の結末の匂い

85話




喪失感が俺を襲う。殺させやしないとそう意気込んでいだくせに親友も守れない。

「クッソォォォ!」俺は普段口にしない言葉を叫んだ。

目が霞む。違う。これは涙だ。涙が俺の眼を覆っているんだ。無理だ。俺の光は希望だって?嘘じゃないか。どこが希望だよ。なにが希望だよ。

「何が、何が....。」俺がブツブツ呟いているとフログンが拳を地面に叩きつけたまま口を開く。

「何を言っているんだ?よかったなぁ?“ トモダチ”が死んじゃった!はははは!」

「何が、親友だよ!」俺がそう叫んだ瞬間、世界が光で満ちる。そして、唐突に声がする。

「おい!勝手に....死なせんな!」

「え?」フログンが疑問の声を出した瞬間、フログンが上空へ飛ばされる。

「そう死ねるわけない。だろ?ラフ。」そう言ったヴァイルは頭から血を垂れ流し、左腕が折れていた。それなのにも関わらずヴァイルは笑顔だった。しかし、目には明かりが無く、水分さえも見られなかった。

「ヴァイル....。まさか...。」俺がそう言って歩くヴァイルにある事を聞こうとした。しかし、今のヴァイルには聞き入ることが出来ず言葉が詰まる。その時砂埃が舞い上がり、地響きが俺たちを襲う。その原因はフログンが上空から落ちてきたものだった。

「確かにお前は死んだはずだろぉぉぉ?」軽傷を負ったフログンが血を拭いながら叫ぶ。

「いや!負けてねぇ!」ヴァイルはそう言って地面に無数の木剣を出現させ、地面に刺さった木剣を1本抜き、フログンへと走り出した。

その間。俺はヴァイルの事で夢中だった。なぜなら、ヴァイルに1度会った時、感情を贄にアンデッドになっていた。しかし、今回は一体何を差し出したんだ?しかも、あの短時間の中でどうやって交渉したっていうんだ。



時は遡り、ヴァイルが潰された直後の事。

「おい。起きろよ。」何かの声が俺の耳を奪う。

「誰だよ!オレは急がなきゃならないんだ!」オレがそう叫ぶと背後に気配が宿る。

「まぁまぁ、落ち着けよ人間。おれは優しいからさ、お前の片目を引き換えに助けてやるよ。いい提案だろ?」赤黒い霧に包まれた人型の生き物がそう聞いてくる。しかし、オレは首を振る。

「オレはこの目で勝つんだ。」オレが強い意思表明をした突如身体が動かなくなる。

「おいおいおい。お前に拒否権などない。でもおれは優しいから選ばせてやるよ。おれに身体を支配させるか、それとも、片目を贄にして助かるか。さぁ、選べ。」

「オレは勝たなくちゃいけない。負ける訳にはいかない。まだ、ラフにも勝ててないんだ。負けっぱなしは嫌いだ。いいだろう。オレはこの目を代償にお前に助けてもらう。」オレがそう言った瞬間、赤黒い霧は一気に四散し、俺の左目に入ってきた。視界が暗くなり、やがて左が見えなくなる。

「これでオレはまだ負けてない!」オレがそう言うと現実に戻された。


「どうだ!」オレは倒れているフログンを八つ裂きにする。次々と地面に刺さった状態で現れる木剣をオレはフログンに突き刺していく。

「クソォォォ!.....なんてな!」フログンがそう言い放った瞬間フログンに刺さったと思われる木剣はすべて辺りに返され、突き刺さる。

「フッ!」ラフノは一声で飛んでいく木剣を地面に同じ木剣で叩き落とした。対するオレは身体中に木剣が貫通する。木剣の飛ぶ速さが本来の木剣の鋭さと相反している事が分かる。

「痛くない。全然痛くない!」オレはそう言って木剣をさっさと抜き、その抜いた木剣で攻撃した。

「効かないぞ?」フログンはそう言ってニヤつく。

「そうか?じゃあ、これでどうだ?」ラフノがそう言ってオレに近づいてくる。そして、次の瞬間光が満ちる。

「別々に戦うよりこの方が強いだろ?」

「そうだな。そうだったな!」オレはラフノの言葉に自分で納得し、いつもの調子で言い放った。木剣全てに光が宿る。

「じゃあ、この辛い辛い戦いに幕引きといこうか!」ラフノはそう言って笑った。その瞬間世界が昼になる。

「この....!」フログンが発言しようとした時ヴァイルが既にフログンの装甲を破り、光の木剣を突き刺す。フログンは音もなく口から血を吹き出す。

「おら!」オレは気合いの声を上げ、突き刺した光の木剣をそのまま横に振った。もちろんの事斬れ味は最高で、フログンの身体から血が流れる。それからオレはフログンが声を上げる前に切りつける。

気がつくと辺りの光は薄れてきて空が漆黒に包まれていた。地面には真っ赤な液体が薄く張ってあり、足音を響かせる。真っ赤に染まった身体は鉄臭く、異臭を放っていて、また地面に転がったフログンの死体にハエが集る。腐肉の匂いが鼻につく。痛みはない。ラフノは魔力消費が激しく、汗を流して家の壁にもたれていた。

どうでしたか?

面白かったのなら良かったです!

次回も読んでくれると嬉しいです!

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