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日常から非日常へ。  作者: 稲平 霜
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秘密は幾らでもある

主人公目線を書いているとたまに自分と重ねてしまいそうになる今日この頃。

どうぞお楽しみください!

7話




 刃が交える音が町中に鳴り響く。その影響か、人の気配はスッと消えた。

「おい!あんた!今のうちにマイヤを連れて逃げてくれんか!」ドイルの言葉に僕は従わなかった。残念ながら僕はこの状況を見逃せるほどできた人間じゃないんでね...。

「グッ!」僕の不意打ちの蹴りが口を塞いでいる者に上手く入り、堪らず声を漏らしていた。

「部外者は下がってろ!」口を塞いでいる者が僕に言った。その一瞬の隙でドイルは口を塞いでいる者の首を躊躇なく斬った。口を塞いでいる者の頭は地面に転がり、重い音を奏でた。僕はすかさずマイヤの目を塞いでいた。

「さて、騒ぎになるまでにここを去ろう。行くぞマイヤ」ドイルはそういうと僕を置いていくようにマイヤを連れて歩き出した。

「待てよ。俺も付いて行っちゃダメか?」明らかに口調の変わったドイルに僕は恐る恐る聞いた。

「ふん。好きにしろ」ドイルは僕を突き放すように言い放った。

 ドイルに無言で付いて行っていると、急にドイルが振り向いた。そして僕に口を開いた。

「悪かったな。もう少しだけほっておいてくれんか」ドイルは低く俯いていた。僕は無言で頷いた。そして再び、歩き出した。歩いていると段々道を外れ出した。そして最終的には森に突入した。山の中から町を見下ろすと、死体を囲むように人が多く集まっていた。死体の処理でも考えているのだろうか。

「ここまでくれば一休みできるじゃろう!」ドイルのテンションが元に戻っていた。ドイルは陽気な声で僕に言ってきた。マイヤも頷いていた。これからどうするのか聞いてみるか。

「これからどこか行く予定はあるのか?」僕はドイルに聞いた。すると

「そうじゃな!今はあまり町に入ることは避けたいんじゃ!そこで!この魔法を使ってみようと思もう!」ドイルがそう言いながら魔法の提案をしてきた。

「どんな魔法だ?」僕がそう聞くとドイルは話し出した。

「転移魔法じゃ!しかし、未完成じゃから失敗したら海の藻屑になり兼ねんがの!どうする!行くか!?」ドイルは僕に選択肢を与えた。しかしここで悩むほど僕は頭がよくない。答えはもちろん。

「やるに決まってるだろ」僕は微笑みながら言った。

「よしじゃあ!.....!?」ドイルは口を閉じた。それは俺も同じだ。誰か、何者かが近づいてきている。

「犯罪者が森に潜んでいる可能性がある!警戒して捜索しろ!モンスターにも気を付けて進め!」そんな大きい声を出してたら、モンスター現れるだろ。そんなことを思っていると、ドイルが珍しく小声で耳打ちしてきた。

「今ここで転移魔法を使う...。やめるなら今しかないぞ」ドイルはもう一度僕に決断を迫った。僕の答えは

「やろう。今は逃げるしかない」僕がそう言うとマイヤがドイルに抱き着き、僕は肩を掴んだ。ドイルが転移魔法を使うと眩い光に包まれた。その隙間から騎士が慌ててこちらを指さしているのが見えた。そして視界がすべて光に包まれたころ、僕らは光とともに消えた。

 目を開くとそこは海の見える地帯だった。何とか転移は成功したみたいだが。ここがどこかわからない。

「肌寒い地帯のようじゃ!」ドイルは腰に手を当てて言った。

「それはわかりますがここがどこか分からない限りあまり動かないほうが....」

「よしじゃあ!進むか!」ドイルは僕の声を無視して歩き出した。まぁいいか。何とか逃げられたし。海岸を後にして森に入った。最近森にしか縁がないな....。

 しばらく森の中を歩いていると、草原に出た。

「ん?あそこに町があるぞ」僕がそう言うとドイルが

「よし行こう!あそこに行って場所の把握をして休もう!」ドイルはそう言って進行先を決めた。

 町に着くと看板には”モーズ”と書いてあった。

「モーズか!地図で言うと左上の大陸じゃな!」ドイルが地図を開きながら言った。聞いたこともない町名だ。そもそも寒い地帯は好きではない。寒すぎると痛いしな。町にはちらほら雪らしきものが道の端に積まれていた。寒いせいか人の出入りも多くはない。

「よし!宿屋に行こうか!」ドイルが言った。僕は少し町を見てくるとドイルに言って、一度離れた。

 まずは僕のことがこの大陸にも知れ渡ってしまっているのか聞き込みをしよう。

「あのすみません」

「何?寒いんだけど」僕が声をかけると一度睨まれた。しかし受け答えをしてくれるようだ。

「現在、王都の大陸の村でコセトマ村出身のレイドという者を探しているのですが....」僕がそう聞くと聞き込みに応じてくれた人の顔が豹変し、僕に問い詰めてきた。

「レイドがなにかしたんですか?」僕の名前を出した途端聞き込みに応じてくれた人の被っていたフードが外れた。僕には見覚えがない人だった。そしてつい僕は聞き返した。

「誰ですか?」僕が聞いた突如、その場の空気が止まった。

「やっぱり....!」聞き込みに応じてくれた人は辺り一面の雪を操り、言葉を発した。

「お前のせいで!約束を守れなくなった!許さない!私の名前はヒョウリ!お前が氷漬けにして殺した私の妹を忘れたとは言わせない!」ヒョウリと名乗る女性は怒りに怒っていた。こういうことに察しがいい僕がいやになる。恐らく妹とは僕が殺してしまったウトムの少女だと思う。僕はまた人殺しだ。

「かかってこい!僕が姉妹共々葬ってやる!」僕の発言にヒョウリは更に怒る。しかし突然ヒョウリは倒れた。そしてブツブツとなにかを言っていた。

「違う。私は妹から、家族から逃げたんじゃない!後でちゃんと戻ろうとしてたの!違う!私は!.......!私は何を....!」何かをブツブツ呟いていると思ったら突然何事もなかったように立ち上がり、僕の目の前から去った。僕が地面に尻もちを着いて息を吐いた。よく家を見ると窓から色んな人が僕を見ていた。僕はそれらから目を逸らした。すると、遠くから声がした。

「どうしたんじゃ!何があったんじゃ!」ドイルの声に僕は

「なんでもないですよ」そう言って誤魔化した。そして、僕は宿屋に向かった。

 宿屋に着くと色んな人が僕らを避けている気がした。そんな時、横から声をかけられた。

「あなたたち。どこから来たの?この大陸は海で来るのは不可能だと思うのだけど?」そう言ってきたのは紫の髪をした女だった。女は続けざまに言葉を発した。

「あ、私の名前はアンナ。私も恐らくあなたたちと同じ待遇をされてるから仲良くしてくれると、いいかな?」アンナと名乗る女はそう言った。

どうでしたか?

面白かったらレビューしていってくれたらうれしいです!

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