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日常から非日常へ。  作者: 稲平 霜
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迫る壁

68話




私の前に立ちはだかる男は息を吐いてたたずんでいる。鎖の女の声に反応したのかは分からないが、今の私は自分の治療をするのに手間がかかっていた。全身の血を傷口に集結させ、回復力を高めるというものだ。失敗すれば自分が死ぬ治療法だが、緊急事態と言える今の状況なら、致し方ないと思い、危険であろう治療をしている。鎖の音と、這う音と共に女は近寄って来る。早く治さないと。早く早く。そう私は自分を急かす。突如、私は壁から離れた。頭に鎖が巻かれている。

「つ、つ、つ、つかつかま、捕まえた!」鎖の女は満面の笑みで私を床に引こずって、寄せようとしてくる。頭が取れそうになる。首が締まりそうになる鎖は手で何とか抑えている。そして、鎖の女との距離が縮まってきた時の事。私の身体は完全に治った。私は鎖を血の力で破壊。そして大きく飛び上がる。

「クソぉぉぉぉ!」鎖の女はそう言って叫ぶだけ。私は鎖の女の真上に飛び、床に向かって蹴り落とした。床は円形にひび割れ、同時に女の血が全体に飛び散る。私はその血を全て回収し、ミノタウロスのような男に目を向ける。

「はぁ....はぁ....。」私は干からびた死体から足を退けた。


男は動く様子がない。仲間が死ねばなにかリアクションがあるはず。しかし、その男は穏やかな目で何もしようとしない。私はその状態を利用して逃げようとした。すると男は口を開いた。

「どこ行くんだ?」男の声は重く、喋るだけで私の心臓が揺れている気がした。

「仲間の所に...。」私は男の声に怖気づきながらも答えた。すると男はニッコリと笑い。

「さよなら。」そう言って手を振ってきた。何がしたいのか分からない。私は不可解な男の心理を読み取るより、先に足が元の道に戻りたがっているのが分かった。私は自分の心を信じて元の道へ戻ろうとした。しかし、私の見た道は全くの別物だった。

「これは、道が1本しかない...?!」私は不意の事に疑問しか脳内に無かった。


確かにこっちの道から歩いてきたはず。もしかして、この建物は誰かの魔法?考えられるのはもうひとつあった。もしかして、この建物って生き物?そう思った瞬間。壁と床は畝り、私を人形のように振り回す。しかし、ぶつかった時、壁は固く私は幾つか打撲を受けた。

「一体何が起きてるの?」私は迫り来る壁を防ぎながら呟いた。



幾ら進んでも一直線の道しかない。一度戻るしかないか?ヤカナもまだ先に行ってなさそうだしな。僕はそう考えて後ろに下がろうとした。すると、壁にぶつかった。

「道がない...。」僕は背後の壁を指の先で触れる。確かにそこには冷たい石の感覚があり、なにか仕掛けが動いたとしか言えない状況だった。

「進めって事か?」僕はそう呟いて再び歩き出した。僕の進行と同時に迫ってくる壁に恐怖を覚える。この先に道がなければ僕は押しつぶされて死んでしまうからだ。死んだとしても僕の力で倒せるが、結果的に“ 殺してしまう”だろうから出来れば殺されたくはない。

「なぁ、ここから先に道はあるのか?」僕は返答するかどうか試してみた。当たり前だが静寂が流れるだけだった。こんなところで正体を示す方が自殺行為だ。そりゃ、沈黙はするだろう。


あれからさらに歩いた時、冷たい空気が勢いよく流れてきた。一瞬にして肌寒くなる空気に僕は1度だけ身体を震わせた。

そして、僕が目の当たりにしたのは広い空間だった。

「ここは....。」僕がそう広い空間を見ると同時に呟いていると、壁が歪み、壁が僕を別の壁に叩きつけた。

「.....っ!」僕は痛みに耐えれず声が出る。そして、僕が叩きつけられた壁に掴まれ、床に叩きつけられる。2度の攻撃で僕は意識が飛びそうになった。僕は手に黒の刀を生成し、床に突き刺して立とうとした。しかし、その刀は床に突き刺さるも、水に落ちるように床に消えていった。

「わかったぞ。これは...。ゴツタってやつの仕業だな?」僕は力を振り絞って言葉を放った。

「さすがにわかるよな。」その声はゴツタそのもので、実体は僕の前に現れた。僕はすぐさま駆け出そうと思ったが、床に足が囚われていて動けなかった。地面に這うようになっている僕をゴツタは高らかに笑う。

「あっはっはっはっはっはっはは...。いやー。いい気味だ!」ゴツタはそう言って床を操り僕の背中に乗る。

「為す術もないみたいだな。残念でした。おつかれ。」ゴツタはそう言って天井から無数のトゲを出現させる。トゲは僕の腕の太さ位で、一撃でも刺されたら血が絶え間なく流れるだろう。

「仕方ない?か?いやいや。それじゃあ、また誤ちを繰り返すだけだ。」僕はそう呟く。ゴツタは僕の手を縛り、頭を蹴り出した。

「なにボソボソと言ってるんだ?」ゴツタはそう言って僕の頭を足で床に押し付ける。頭が割れそうだ。いやいや。抵抗させてもらう。僕は油断しきったゴツタに抵抗するため行動した。密かに溜めた小さく凝縮された黒い稲妻の玉をゴツタに向けて放った。

「なに...!」不意を突かれたゴツタは僕の背から足を落とし、同時に僕の手足の施錠も解けた。今しかない。そう思った瞬間大きな揺れが生じ、僕はバランスを崩し、その場に倒れた。

「なっ ...!」僕のバランスの崩れると同時に発せられた声。その一瞬がゴツタを元に戻した。

「調子に乗るなよ!」ゴツタはそう言って僕を天井、壁、床の全てが僕の身体に向かって勢いよく向かってくる。僕がそれを認知した時には遅く、僕はそのまま潰された。

どうでしたか?

面白かったでしょうか?

良ければ次回も読んでくれると嬉しいです!

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