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日常から非日常へ。  作者: 稲平 霜
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二手に別れた

67話




目を覚ますとまた別の場所にいた。

「なんだ?」僕が不意に放った言葉はヤカナに届いたようで隣から声がした。

「私たちが寝ている間に移動したとは考えにくいけど...。そうみたい?」ヤカナは疑問を口にした。そうなってもおかしくは無い。周りを見渡すと、鉄格子は排除されていて、出れるような状態になっていた。

「同時に出てみるか?」僕は壁に向かってそう言った。

「わかった。」ヤカナは力強い声でそう言い放った。そして、ヤカナの声を確認した僕はヤカナに言葉を投げかける。

「せーの...!」僕の掛け声と同時に僕とヤカナは牢の外へ出た。道は左右に伸びていてその所々に牢屋が幾つも並んであった。

「どうする?」僕は周りを見渡しながら言った。

「とりあえず、右に進んでみよう。」ヤカナは冷静な声でそう言った。


牢屋の続く道を幾分進むと鳴き声が聞こえた。

「これは、モンスター?しかも、これは一体倒すと次々沸いて出てくるモンスターじゃないか?」僕はそう言って後退りする。ヤカナは僕の肩を後ろに引いて、口を開く。

「任せて。」ヤカナはそう言って僕を見た。そして、次の瞬間、ヤカナは僕の前から消え、気づいた時には群れを成すと言われるモンスターを一瞬にして片付けた。血を一滴も流させずに。

「私の血を吸う攻撃なら匂いもないから大丈夫だと思ったの。」ヤカナは素手でモンスターを鷲掴みして、満面の笑みを見せた。僕は少し笑って。

「そうか。」その一言を発した。


さらに進むと道が3つに別れていた。左、真っ直ぐ、右の3つの道だ。

「どうする?」僕がそう聞く。

「まとまって動いた方がいいとは思うけど、左に行くわ。」ヤカナはそう言って左に歩みだした。

「わかった。じゃあ、僕は引き続き真っ直ぐ進んでみるよ。」僕はそう言って別行動を選んだ。


「レイドと別れてよかったのかもしれないけど、出れる場所が見つかってから合流するのは難しそうね。」私はそう呟きながら歩く。

私の装備はいつも丸腰が多い。自分の力で何とかなると思っているから。それにしてもいつまでこの道は続くのか、そんな事を考える。背後からの気配。前方からの気配。この道は一本道。そう、私は挟まれた。気配はモンスターなのかは分からない。私は一か八か戦闘態勢に入る。全身から溢れ出ていたオーラは一瞬にして縮小し、私の身体を膜のように張り巡らされる。そして、目の前に現れたのは鎖に絡まった女だった。

「あぁ、辛い辛い。かな、かなかな、悲しい。痛い。辛い。苦しい。」女は単語を並べてジャラジャラと鎖を鳴らしながら近づいてくる。私が女をじっと見つめて、その場に留まっていると女は続けて口を開く。

「辛い辛い。いなくなるの辛い辛い。死んじゃう死んじゃう。ねえ?お姉さん?」女は私を圧が感じられるほどの眼力で見つけた後、すぐ様絡まっていた鎖の1本が私を襲う。

「.....っ!」私の右足は鎖によって封じられる。

「どう?痛い痛いよね?ら、らくらくらく、に楽になろう?」女はそう言って更に鎖を飛ばしてくる。私は咄嗟に避けようとするが、足に絡まった鎖のせいで上手いこと回避行動が取れず、地面に叩きつけられた。そして、そこに鎖が私の頭を強打した。頭が熱く、血が出ているのが分かる。私は頭を押さえながら立ち上がる。頭を押さえた左腕には鎖が絡まっていた。ジャラジャラと鳴り響く鎖と、思うように動けなくなる自分に嫌気が差す。

「でも、大丈夫。」私がそう答えた瞬間絡まった鎖は弾け飛んだ。私は自分の血や、奪った血を使って技を出すことができる。だから長期戦には向かない。だからこそ、今、力を使ったのだ。

「かいかいかい、解放してあげるよ?ほ、ほらほらほ....。」女がそう話している間に私は攻撃を試みた。私の力は血を使うことによって上がっている。そして、一撃必殺のようなものなら、撃てるほどの余裕が今のところはある。だから今のうちに倒そうと考えた。

「くらえ!!」私はそう言って赤い玉を女の頭上、右足、腰、肩、それぞれに出現させた。そして、その玉から真っ赤に染った針が突き出る。それと同時に女の身体全身から血が吹き出る。

「あああ、あああぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」女の奇声は私の耳を突き刺すように、痛みを伴うほどの声量だった。その声と同時に床が痺れているのも感じ取れた。

「なに!この声!」私は発せられる奇声に混じってそう言った。そして、その声に連れられてか、先程まで感じていた背後の気配はいつの間にか手の届く距離位で、振り向いた時には遅かった。私の肋骨をミシミシと言わせながら与えられる攻撃。それと同時に口から吐く血と声は、攻撃に耐えるための抵抗だったと思う。

「.....ゥッ!」私不意に出た声は置いてけぼりにされ、私は壁に埋め込まれていた。そして、再び聞こえる鎖の音。

「ころころころころ、ころす、殺す!」女は全身に穴が空いているのにも関わらず、床を這ってこちらに向かってきていた。そして、私の目の前に立ちはだかっているのは異様にごつく、モンスターのミノタウロスを連想させる見た目の男だった。

どうでしたか?

面白く読めたのなら良かったです!

次回も読んでくれると嬉しいです!

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