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日常から非日常へ。  作者: 稲平 霜
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64話




気づくとそこは洞窟だった。少女のいたベッドには血が滲んで、霞んで見えた。私はその血の匂いが漂う洞窟から逃げるように抜け出した。近くに村があった事を思い出し、村の方向へ歩き出した。


村に着くと驚く程に村人は優しく接してくれた。1度殺されそうになった事を忘れそうだ。


雲が私の意識を乗せて飛び去っていく。私の背中からは真っ赤な羽が生え、空気を切っていた。

「これは...?」私がそう呟くと脳内にソリドスの声が反響して聞こえた。

「今から行く所は人間の町であるアスファルだ。そこに俺の知り合いの人間がいる。」

「どうしてアスファルに?」

「そりゃ、お前の体の隅々に広がった焦げの破片を取り除くためだ。」疑問を抱く私にソリドスはそう言った。それからは空をただ飛んでいた。


汗が地面へと落ちるまで風に靡かれる。地面に落ちた汗は地面の砂をその範囲分だけ抉るくらいだった。そこで私はソリドスに話かける。

「そろそろ休ませてくれませんか...。」

「わかった。まだ半分だしな...。」私の提案にソリドス合意して、羽の動きを緩めていき、やがて私の足は地を蹴っていた。


「私の体弱いですね...。」私は手を地面に着いてそう言った。

「仕方ない。ドラゴンの俺からすれば人間など全て非力な生き物だ。」

「仲間に合わせるのが楽しみです...!」私が張り切って言うと、ソリドスの絵が笑顔を浮かべた気がした。


腰を着いて休んでいる時に声が聞こえた。

「いや、だからお前は強くなれるんだよ!」

「そうかもしれないけど、正直この能力は要らないかな。」

「は?じゃあ、その能力くれよ!」

「いや、生まれ持ったものだから無理だよ。」1人は言葉が少しきつく、もう1人はそのキツイ言葉使いの人を扱いなれているようだった。私がちょうど座っているところにその2人組は私の前に現れた。その1人がニヤリと笑い、私の横に座り込んだ。

「よう!おれはメアルだ!よろしくな!」

「やあ、僕はルルハだよ。よろしく。」2人はそれぞれ急に自己紹介してきた。だから私も少し戸惑いながらも。

「私はヤーズです。よろしくお願いします!」私はそう張り切って言った。

「それにしても、どうしてこんな所に?」ルルハは指を顎に当てて、聞いてきた。

「アスファルに向かおうと思いまして...!」私がそういうと2人は眉を歪ませた。そして、2人は同時に口を開いた。

「「ここ、タルヤスって町の側だから船乗らないと王都には行けなくないか?」」同時に話した2人に私は笑みを浮かべ。

「そうなんですね....!」言い逃れもできるはずもなく、船に乗る流れになってしまった。


「こっちこっち!早く来ないと置いてくぞー!」メアルは私に向けて遠くからそう言ってきた。出来れば置いて行って欲しい。そう心の中で思いつつも引きつった笑顔で付いて行く。


それから付いていく事、1時間くらいの事。船が見えてきた。

「あれが....。」私がそう圧巻した声を出すと隣から声がする。

「凄いだろ!」メアルはそう言って肩を組んできた。鉄で作られた胸当てが歴戦の冒険者だと言う事を悟らせる。

「じゃあ、乗ろうか。」ルルハはそう言って船へと歩き出した。


船に乗ると、潮風が一段の香り、船の出港を思わせる。

船の個室でメアルとルルハが話しかけてきた。

「ところでどうしてアスファルに行くんだい?」先に口を開いたのはルルハだった。

「それは、体を治して貰うためですよ。」私が笑いながらそう言うとメアルが心配そうな顔をして。

「どこか悪いのか?」そう聞いてきた。私はその言葉を、笑って誤魔化した。そうしたのには理由がある。ここで私の体の事を言えばドラゴンの事かバレると感じたからだ。しかし、メアルは引き下がらなかった。

「どこが悪いんだ?回復魔法では治らないほどの病か?」メアルはそう言ってずっと聞いてくる。私は病むおえず、少し変えて言う事にした。

「最近よく戦うことが多かったので、身体中に傷があって、その傷を失くすためにアスファルに行くんですよ。」私がそう言うとメアルは頷きながら。

「そうなんだ。」とそう言った。


あれから会話をしていると大陸が見えてきた。

「あ、見えてきたね。あれが、“ コセトマ”。知ってる?レイドって名前のやつ。あの世界犯罪者の出身地らしいですね。」ルルハはそう言って下船に備えだした。

私は仲間であるレイドの別称が世界犯罪者という罪人だと言う事に驚かされる。そして、なぜ今までその事に気づけなかったのか。そして、私はレイドがそんな事をするはずがないと、そう言い聞かせた。


そして、陸地に降りるとそこには薄い布をテントのように建てているものが多くあった。恐らく犯罪者の故郷を賞金稼ぎ団体などが度々襲撃したのだろう。そうやって私は空を見上げた。

どうでした?

面白かったのならよかったです!

次回も読んでくれると嬉しいです!

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