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日常から非日常へ。  作者: 稲平 霜
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判決と体

62話




「貴方のした事は許されざる行為です。」女王アクアルがそう口にした瞬間。俺の脳内に自分の記憶ではないものが走る。


痛み。痛み痛み痛み痛み。悲しみ。喜び。信仰。怒り。様々な感情が俺の脳内を支配する。自分が撃ったであろう攻撃に当たった人の痛みの感情が駆ける。気づけば自分の顎から汗が垂れている。それほどまでに恐ろしかったのか。俺には分からなかった。法廷が俺を追い詰める。そして、最後に脳内に流れたのはこの体の持ち主であるヤーズの心だった。


ヤーズは赤く染った鎖を外し、その場に佇んでいた。

「どうやって抜け出したんだ?」俺はヤーズに近づいてそう言った。俺はそのヤーズを追い越し、鎖の破損した部分を見やる。よく見ると鎖は破損ではなく、溶けていた。これを意味する事はヤーズがもう一度俺を自由に扱えるようになっていっているという事だ。

「ふふ....。あっははははは....!」ヤーズは俺の背後で急に笑い出す。俺はその笑いに狂気じみたものを感じる。俺が困惑している時にヤーズはゆっくりこちらを向いてきた。顔は微笑み、目は抉れていた。

「人間じゃないのか...?」俺がそう思った理由は簡単だ。ヤーズには2つの力が既に重なり合っていたからだ。純白の力と白の力。一見全く同じ気がするが、純白の気配はまた別物のような気がした。

「私は天空人の移し身だからこうなってるんですよ。」ヤーズはそうやって微笑んで話す。

「つまり、俺の入る余地がないと?」俺がそう聞くと、ヤーズは再び大きくニヤケ。

「そんなわけないじゃないですか。あなたの力も奪いますよ。」ヤーズはそう言って俺に手を伸ばしてきた。俺にはそのヤーズの手がとてつもなく強大な力を持っている気がして、その場から後ろに避けた。続けてヤーズが話す。

「どうして避けるんですか?私を捕らえてないとあなたの本来の力を使えないんじゃないですか?」ヤーズはそう言って手を俺に伸ばす。俺は再度避ける。恐らく触れられたら俺には良くないことが起こるに違いない。そう考えて避けていると背後に無数の手が生え、俺の手足を縛った。

「何をする気だ?」俺は冷静を装って聞いた。すると、ヤーズは満面の笑みを見せる。

「何って。そりゃさっきから言っている通りですよ?奪うんですよ。」ヤーズはそう言って俺の顔に触れた。初めて熱いと言う感覚を知った。熱く。苦しく。痛く。悲しく、憎悪に満ちた炎が俺を包み込む。その様子を見てヤーズは涙を流していた。

「なんだよその顔!殺すなら殺せ!」俺は熱さを感じ、既に自暴自棄になっていた。

「ごめん....。」そのヤーズの言葉は俺が焼け死ぬまで脳裏に過ぎった。


「判決を下す。悪しきドラゴンは焼死刑に処す。」女王アクアルはそう言って木槌を1度叩いた。



「大丈夫ですか?」女王アクアルの声は優しく私を撫でるようであった。

「え?だ、大丈夫ですけど...?」私は困惑した様子で女王アクアルに聞いた。すると、女王アクアルは惚けた顔をした。

「貴方がただ修行で倒れたので大丈夫か思っただけですよ?」女王アクアルはそう言うが、私は覚えてる。

「ソリドス....。」私がそう呟くと、女王アクアルが焦り出す。しかし、すぐに平静を装っていた。

「誰ですか?それは。」女王アクアルはまるで何も知らないように聞いてきた。

「ソリドスは可哀想なドラゴンの名前です。」私はそう言って指を交差させていた。

「海底裁判は関係の無い者が見るべきものではありません。少し脳内をいじらせてもらいます。」女王アクアルはそう言って私の視界を奪った。


私の脳内に焼き付いて離れないドラゴン。ソリドスは私を苦しめる訳では無い。ただ、そこにいるだけだ。そこに女王アクアルが降り立った。

「では...。」女王アクアルはそう呟いて私に焼き付いたドラゴンを水でかき消そうとしていた。私はそこに飛び込んだ。

「どうして、そんなに酷いことができますか!?」私は女王アクアルに向かって怒号を向ける。すると、女王アクアルは首を傾げた。

「なぜです?罪人は世界(ここ)に存在してはならないのです。」女王アクアルはそう言って水を鞭のように扱い、私をそこから押しのけた。私は壁のない空間で私は地面に擦り付けるように減速していく。傷だらけの体を起こし、私はもう一度止めに入る。

「止めてください!」しかし、そんな私の声はすぐにかき消され、すぐ跳ね除けられる。そんな行為を何度も繰り返しているとドラゴンの足の爪辺りが掠れた。それと同時に訪れる脳への激痛。私は燃える痛みを催す。そして、もう一度止めに入った瞬間。女王アクアルの水が蒸発する。

「これは....。まさか...!」女王アクアルはようやく私の前で焦りの声を上げた。

「ソリドスはもう、私の一部です!だから、私を殺そうと言うのなら、私は全力で女王様。あなたを止めます!」私はそう叫んで地面を焦げさせた。

どうでしたか?

面白く読めたのなら良かったです!

次回も読んでくれると嬉しいです!

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