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日常から非日常へ。  作者: 稲平 霜
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痛みとは

とうぞ!

50話




髪を引っ張られて最終的に連れてこられたのは地下牢だった。王様は私の髪を引っ張ったまま離さず、牢屋の扉を開け、私を放り込んだ。

「しばらく反省しなさい。」王様はそう言って牢屋の鍵を閉めた。


「エリスタはこれを耐えてたの?」私は両足を曲げて腕を組む。涙はない。さっきのだってモンスターなどの攻撃に比べたら、全然痛くない。


そう言えば、どうして最初の頃、私の名前を知ってる人がいたのだろうか?いや、今は考えなくていいや。


にしてもどうしてあんなに怒るのだろう。私がそんな事を考えていると、鎖の音が聞こえた。私はその音で警戒せざるを得なかった。なぜなら、この逃げ場の無い牢の中ではする事も出来ないから、少しでも抗おうとするのだ。すると目の前に現れたのは“ ジン”だった。

「あれ?どうして捕まってんだ?」ジンはそう言って私のいる牢に近づく。私は鉄格子を持ち。

「何も悪い事はしてない。ただ時間を守れなかっただけ。」私はそう言うと、ジンは鉄格子を壊した。

「人を殺してないのなら出してやろう!」ジンはそう言って鉄格子をまるで石のように扱いだした。

「どうしてここに?」私がそう聞くと、ジンは微笑み。

「死刑実行人だよ。」そのジンの言葉に私は困惑する。人が人を殺すのがいけないのに、どうして人が手を下すのか。私には理解が出来なかった。

「ジンこんな人はどう思う?」私は指を立てて言った。

「どんな人?」ジンは右腕に纏った鎖を整えながら言った。

「大量殺人」私がこの言葉を発すると、ジンは少し暗い顔をして話し出す。

「今、世界的な犯罪者レイドの事だな。俺は許せない。人を殺す事はあってはならない。俺の長い旅路でも人を殺すことなど無かった。」ジンはそう言って剣を振る。私は目を瞑り、ジンに向かって言葉を放つ。

「じゃあ、ジン今あなたが持っているのはなに?」私がそう聞いたのには訳がある。それはジンが今現在、生首を持っていたからだ。生首を持っているのをジン自ら見ると、生首を投げ飛ばした。

「俺はやってない。こいつが勝手に死んだんだ!」ジンはそう言って地に腰を付けた。腰が抜けたのだろう。ジンの情けない声が聞こえる。私はそのジンの剣を奪う。

「人を殺したのだから、私が罰をあげる。」私は虚ろな目でそう言ってジンの首筋に剣を当てる。そして、私はジンの首を切った。


私はここまで来た道を少しずつ思い出しながら歩き出した。道は直線な事が多く、思ったより直ぐに牢屋の出口が見えた。私がそのドアに手をかけると鎖の音が聞こえた。後ろを振り返るとジンが無傷で立っていた。

「冗談にしては苦しいだろ?」ジンは手をヒラヒラさせて言った。

「なんの事ですか?」私は苦し紛れの言葉を放つ。その刹那。城全体に衝撃が走る。私の持つ剣に鎖を纏ったジンが襲い掛かってきた。

「あまり俺を怒らせるなよ?」ジンはそう言って体を回転させ、私を壁に打ち付けるように蹴った。案の定、私は壁にめり込んだ。しかし、直ぐに体制を立て直し、剣に黒のチカラを込めて放つ。ジンは私の攻撃を手で受け止めた。

「悪い事をしてるのはあんたじゃないか!」わたしの叫び声にジンは被せる。

「違う!悪いのは罪を犯す者だ!」ジンの声は取り乱しているような声だった。ここで負ければ絶対殺される。私はそう考え、黒の力を全力で放出する。右腕が軋む。目が熱い。足が焼けそう。私は自分自身の腕を見ると、驚く。真っ黒に染まった腕。黒に染まった足。そして、頭に出来ていたのは角だった。まるで半分だけ以前の鬼神のようだった。

しかし、私は今気にする事すら出来ない。私は剣を上に振り上げ、振り下ろした。すると、黒い稲妻と共にジンを切りつけた。地面が抉れる程の力。私はこの力を得たと感じ、微笑んだ。

「まだ、やるの?」私がそう言うと、ジンは既にその場に倒れていた。剣は地面に突き刺し、私は出口へ向かった。


逃げると目の前に現れたのは王様だった。

「おお、どこに行っていたんだい?エリスタよ。」王様の声は穏やかだった。私を閉じ込めたくせにどこに行っていたか聞くのは、どうしてだろうか?後で使用人にでも聴くか。

「少し探検へ行っていたのです。」わたしが丁寧語でそう言うと、王様はニッコリと微笑み。

「物は壊さぬようにな。」そう言ってどこかに去っていった。


部屋に戻ると1枚の紙が落ちていた。その紙を開くと文字が書かれていた。

『ハル。どうだった?牢の様子は、最悪だったでしょう?お父様は人格が移り変わる事がたまにあるから行動には気をつけて。』そう書かれた紙を私は家具の隙間に置いた。


夕食はもういいや。明日はお世話か。眠い。このままベッドに飲み込まれよう。私はそう思って寝込んだ。

どうでした?

面白かったなら良かったです!

次回も読んでくれると嬉しいです!

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