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日常から非日常へ。  作者: 稲平 霜
50/288

争いの理由

どうぞ!

お楽しみください!

49話




目を覚ますと、既に昼を回っていた。そこにちょうど私が起き上がった時、ドアがノックされた後、開かれる。

「くつろぎに来たぞー!失礼します!」エールトはそう言って私が座っていたベッドに飛び込んだ。手には昨日のドラゴンの本を抱え持っていた。

「返されたんですね。」私がそう言うとエールトはニヤリと笑い。

「取り返しただけですー!」そう言って本をさらに握る。

「それじゃあ、また....。」私が何かを言いかけると同時にドアが勢いよく開かれた。そこには使用人が怒りながら立っていた。

「仕事!しなさい!」使用人の怒り声は初めて聞いたかもしれない。今までの丁寧な言葉使いが嘘のようだ。私はその怒鳴り声に圧倒されてベッドの側面に背中を付けていた。続けて使用人が怒鳴る。

「あなた!その本...!もういいです!処分しますからね!」使用人はそう言ってエールトから本を取り上げる。すると、エールトは珍しく反抗的な目線を使用人に送る。

「返せ...してください!」エールトは1度丁寧語を忘れて言葉を発したが、すぐ訂正し、声を上げた。使用人はその声を聞いても尚、脚は前に進んでいた。そこに私は声を出す。

「あの!ここ一応私の部屋なんですけど!?」私がそう言うと使用人とエールトは同時にこちらを向く。

「貴方は...!お嬢様じゃない!」使用人が私に向かって言い放つ。そして、続いて。

「ここで、抵抗しないと本が取られるんだよ!」エールトが涙を流しながらそう言った。私はその声にひよって、地面に腰を付ける。2人の威圧感が私の胸まで届く。まるで猛獣にでも囲まれているかのようだ。私はその時為す術もない。そう思った。しかし、私の体は勝手に前に出ていた。そして独りでに口が動く。

「争いはやめませんか?でないと、私が止めます....。」私はそう言って刀を持ち、上に振り上げた。すると、刀に黒いオーラが纒わり付く。それを見たエールトは睨んで。

「昨日勝てなかったのによくそんな事言えるな!」エールトはそう言って私に屈辱感を味合わせた。しかし、私は狼狽えず、刀を横に構える。体から溢れ出る漆黒のオーラが部屋を飲み込んだ。

「.....。」使用人はただ見つめているだけだ。エールトの怒りの矛先は完全に私に向かったようだ。せっかくだから、条件をだそう。

「私があなたを止めれたら、剣術の修行をしてもらいます....!」私はそう言って刀をエールトに向けた。エールトは少し驚いた後、笑って言葉を放つ。

「いいよ!やってやるよ!」昨日のテンションとは裏腹に、興奮した様子でエールトが言い放った。言葉使いは完全に壊れていた。


「一瞬で終わらせます.... 。」私はそう言って刀を横一線に斬った。すると、エールトは指で私の刀を止め、折った。その破片は宙を舞い、やがて床に刺さる。私は折れた刀身を黒の粒子で補強し、真っ黒な刀が出来上がる。私の目は黒く光る。自分の目じゃないみたい。手の感覚が鈍い。でも力がいつも以上に入りやすい。私は加減の出来ないこの力を思うままに振り放った。私の黒い刀身はエールトの鮮血と共に消え去った。私が斬った場所は部屋には影響が出ていなかった。

「な、んで...。」エールトはそう言ってその場に倒れる。そこに使用人が回復魔法を唱える。その光景を見ながら私は口を開く。

「私はエリスタなんかにはなれない。そんなの分かりきってる。でもそのためにこの部屋で、この城で争いは起きて欲しくない!」私はそう言い放ち、刀を納めた。 そこで使用人が口を挟む。

「すみません。取り乱しました。エールト、無理やり本を取ってすみませんでした。この本がどれだけのものかも、考えずに取ってしまいました。」使用人がそう言ってエールトに本を返す。そこに私が口を開く。

「あの、その本はどうしてそんなに大切なのか、教えてくれないか?」私はいつもの口調になって聞いた。すると、エールトは頷き、声を放つ。

「この本は幼い頃からお母さんに、読み聞かせてもらっていた本でした。でも、今はもう亡くなっています。今でもこんな難しい本を読んでいるのは、お母さんの形見だからです。だから取られると冷静な判断が出来なくなっていました。すみません。」エールトは泪を抑えながら話していた。

「あ、そういえばお昼食が出来ていたのでした。今頃、国王様は寂しい思いをなさっているでしょう。今すぐ行って差し上げなさい。」使用人はそう言って私の部屋のドアを指さした。私がドアから出てもう一度エールトと使用人の方に向くと、心なしかエールトが笑っているように思えた。


ガチャ....。ドアを開く。私は恐る恐る食事場に入った。すると、王様は突然立ち上がり、私の方に来る。そして、わたしの髪を掴み、どこかへ連れていこうとする。

「ちゃんと時間以内に来なきゃいけないじゃないか。」王様はそう言ってさらに私の髪を引っ張る。

どうでした?

面白かったのなら良かったです!

次回も読んでくれると嬉しいです!

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