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日常から非日常へ。  作者: 稲平 霜
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退廃的だった

主人公がひとり身になる路線ですね。

どうぞお楽しみください。

5話



 王都を出たのはいいがどこに行こうか。行くとしたらここから一番近い町”ウトム”に行くか。そう考えると僕はウトムに向けて足を動かした。

 僕の持つ能力は強い。しかし、発動には制限があるようだった。そして分かったことが一つ。この能力は必ず敵から仕掛けてこないと発動しないこと。更に敵の攻撃が強ければ強いほど、その倍の力を敵に返すことができるというものが僕の持つ能力のようだ。そう考え事をしながら歩いていると目指していた町”ウトム”に着いた。

 「ここがウトムか。王都から割と近い割には過疎化が進んでいるみたいだが?」僕がそう呟くとどこかしらから声がした。

「悪口言うならどこかに行ってよ!」声の主は少女だった。少女はムッとした顔で僕を睨みつける。その言葉に僕は

「悪かった」僕は一言で謝った。

「まぁ、特別に許してあげるけど...次はないですよ?」少女は眉間にしわを寄せたまま言った。そして僕は少女に問う。

「この村に宿屋はあるのか?」僕は背を向けて去ろうとした少女に聞いた。牢獄の堅い地面で寝ていたせいか、体中の疲労が全く取れていないのだ。今は何とかなっているが、いずれ倒れるだろう。そう思ったからこの貧しい町でもあるのか聞いたのだ。しかし、少女は

「そんなのとっくに潰れてるわよ。そんなこと聞かないでよ」少女は俯きながら僕に言った。正直この町も滅ぼすつもりだし、そこまで干渉しなくていいから都合がいい。そう考えていると、少女から僕を呼ぶ声がした。

「来ないの?泊まらせてあげるんだから早く来なさいよ」少女が僕に言った。

「いや、ご厚意ありがたく頂戴する」僕は敬語を使って反応した。今日は少女の家に泊まらせてくれることになった。隣を歩く少女は僕とは明後日の方向を見ている。特に喋ることもなく少女と町の退廃具合を観察することにした。

 とある家は粉々に潰れて瓦礫しかなかったり、半壊しているだけでまだ住めそうな家もある。だからと言って住もうとも思わないけど。

 そろそろ昼か。そういえば朝も食べさせてもらってなかったから、腹減ったな。そう思っていると少女から声がした。

「ほら、これ」少女が僕に手を差し出してきた。その少女の手の中には乾燥した肉が握られていた。

「早く取って腕がだるい」少女の手に握られている肉を僕は急いで取った。更に少女がしゃべりだす。

「あとさっきから五月蠅い。お喋り過ぎよ」少女は僕に冷たい声で言った。そこで気になった。さっきから僕の心の声が聞こえてるのか?気になって聞こうとすると少女がしゃべる。

「そう、さっきから心の声がずっと聞こえてる。そのせいでこの町は壊れてしまったけど....」少女は静かに言った。そのあとは心も声も沈黙していた。

 「さ、着いたわよ。ここが私の家」少女はそう言うと自分の家のドアの目の前に立った。少女の家は他の家と違うところがあった。他の家は砂を固めて作った砂岩で作った家だ。しかし少女の家は木造建築だった。少女の家に入ると一番に目に入ってきたのは家族写真と思しきものだ。

「これは家族写真ですか?」僕が写真を手に取ろうとしたら少女は

「触るな!!」少女から突如発せられる怒号。僕は慌てて写真をもとの場所に戻した。

「お前は敵だな!?」少女は怒り冷めやらず僕を攻撃してきた。上空に多数の魔法陣が出現し、後、魔法陣から冷たい光が瞬きだす。そして、魔法陣から氷塊が生み出され、無数の氷塊が僕を襲う。しかし、僕の力の前では.....。

「う"っ!」僕は力が発動せず困惑した。どうして発動しない?僕の力はカウンターじゃないのか?

「そうかお前の能力はカウンターか....」少女は真顔で言う。

「何を言っているんだ?そんなわけないだろう」僕は苦し紛れの言葉を発する。なんとか自分の身体能力で何とかするしかない。僕は牢にいたときジンが言っていた魔法。人形魔法だ。使えるかわからないが、やってみる価値はある。いや、やるしかない。

「どこに隠れた?隠れても無駄だよ?」少女からあふれ出る圧に僕は急かされる。物陰に隠れて、ジンが書いていた魔法陣を地面に書き、唱える。

「人形魔法....」僕がそう唱えると魔法陣から自分の分身が現れた。

「少しやつれてるが遠目からは分からないはずだ....。いいか?作戦は....作戦は君があいつの目の前に出て囮になってくれその間に僕はこの家に上ってあいつの浮かしている氷塊を伝ってあいつを落とす。かなりの賭けだがやるしかない」僕は分身に作戦を言った。

「.........」少女は無言だ。索敵するように少女は氷塊に乗って浮いていた。

僕は賭けに出るしかないと決意し、動いた。

 物陰から僕の分身が少女の前に現れた。しかし、少女は微動だにしない。顔は分身を追っているが目では俺をがっつり見ている。

「お見通しってことか....」僕は微笑を浮かべていった。突如、少女はバランスを崩した。

「な、に...!」少女は氷塊から落下した。

「残念だったな。流石に俺の分身3体目の存在に気づけなかったみたいだな!」僕は少女に近づきながら言った。しかし、少女は体をすぐに起こし言った。

「もう手加減はしない....」少女はそういってもう一度氷塊に乗り、手の届かない場所まで飛んだ。

「しゃれにならない!」僕が放った最初の言葉に乗せて、魔法陣から生成された氷槍が僕の周辺を襲う。氷槍が触れた地面は凍っていく。

「強すぎる!一撃食らえば氷結して死んじまう!何とか避けないと...」僕は冷静に分析した。しかし、避けれるかは、別の話だ。逃げろ逃げろ逃げ....!

骨が氷結しすぐさま壊れた。冷え切ってて痛みがわからない。むりだ。勝てない。

「なら、せめて最後まで抗ってやる!」僕はそう決めると避けることをやめ、少女に向かって走った。身体能力は良くない。飛んでる敵に勝てる策があるわけでもない。僕の目に氷槍が来る。その直後僕は叫んだ。

「自分を....信じろ....!」何の根拠もない己への信念に全てをかけて。


――――目を開くと何もない世界が一瞬広がった。


 そして、目の前には無数の氷槍に突き刺されて凍え死んでいる。少女がいた。そして僕は笑う。

「僕を敵に回したからだ!僕を敵に回したから死んだんだ!」僕は責任転嫁をしてしまったのだろうか。今はそんなことどうでもいい。ここを逃げよう。騒ぎを聞きつけて騎士団がこちらに向かってきている音がする。

 「世界の条例を破った輩が潜んでいるかもしれない!警戒せよ!」騎士は声を荒げて言った。

「僕は逃げさせてもらうよ」僕はそう呟くと夕闇を駆け出した。

終わりが決まってきましたねw

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