オークの正体
どうぞ!
楽しんでいってください!
40話
この足跡はどこに続いているのだろうか。僕はそう思いながらも足跡を追跡する。
僕の着いた場所は神殿のように柱が複数建てられた場所だった。
「神聖な場所っぽいが...。モンスター入れるのか?」僕がそう呟くと遠くでモンスターの声が聞こえた。そこにヤカナもいることを願って僕は走り出した。
僕はモンスターの声の元へ着く。そこには交戦中のヤカナがいた。
ヤカナからは今までの比にならない位のオーラが吹き出ていた。対するモンスターは僕の3倍位の大きさであった。
「当たり前だけど...勝てる気しかしない...!」僕はそう言って鬼神の力を解放する。右腕に激痛が走り僕の目を無理に開かせる。僕の耳元に届く自分の足音。そして、黒い落雷が轟く。その音に気がついたモンスター“ デビルオーク”。オークの悪魔変異種が僕に突進してくる。その時視界の隅にいたのはヤカナだった。既にボロボロになっていたヤカナは柱にもたれて、回復魔法を唱えていた。
「勝てると思っているのか?」僕は突進してくるデビルオークを目尻にして走り出す。デビルオークは典型的なオークとは違い、知能が少しはあるようだ。じゃあ簡単には攻撃は食らってくれなさそうだ。面白い戦いになりそうだ。こんな命を賭ける場だというのにも関わらず、僕は戦いの高揚感が鳴り止まなかった。
「なんで...。笑ってるの?」そう言ったのはヤカナだった。
「さてさて、まずは黒い刀を生成して、冒険者みたいに戦うか...!」僕はそう発して走り出す。まず、斬ったのはデビルオークの腱だ。しかし、切り込んだはいいがデビルオークの骨に当たり止まってしまった。しかし、黒い刀に電撃を打つことによって、その衝撃で無理やりデビルオークの骨を断ち切った。当たり前だが、デビルオークは痛みによって奇声を発した。
「さあ、次はお前から攻撃してこいよ。」僕がそう言うと、デビルオークは、まるで意味を理解しているかのように奇声を上げた。デビルオークからの攻撃は至って単純で拳を振りかざし、下に振り下ろすというものだった。僕は瞬時に横に避けた。攻撃された部分を見ると、地面は抉れていた。
「さすが変異種...!」僕はそう言ってニヤけた。そして、続けて言葉を放つ。
「次は僕が攻撃させてもらうよ!」僕はそう言って黒い刀を振りかざした。黒い刀を避雷針にし、続けざまに黒い落雷が落ちる。恐らく遠くからでも分かる位だろう。そして、溜まった力を僕は下に振り下ろした。すると、デビルオークの腕は焼き切れた。その事に冷静さを欠いたのか、デビルオークは突進してきた。僕は避けずに受けようと思ったが、一瞬でやめた。その理由は。
「お前....。変異種じゃないな?」僕がそう言うと、デビルオークは急に縮み出し、やがて、人型になった。
「誰だ?」僕がそう問いかけると、デビルオークの正体はクスクスと笑いだし。
「吾輩の名前はデビルオークなどでは無い!吾輩の名前は“ ドラウ”!全てを喰らい!全てを喰らうものだ!」ドラウと名乗る人はそう言って僕を見つめる。僕が一瞬目を逸らすと、その一瞬でドラウは僕の目の前に来た。
「お前、不味そう。」ドラウは僕の耳元でそう言ってすぐ離れた。
「........っ!」僕は痛みを感じた。僕の右手を見ると手首からもげていた。僕は驚いたが痛みを感じながらも耐えた。そして、僕の右手の在り処はドラウの手の中だった。
「ん?んん?んんんんん?意外と?いけるかも?」ドラウは首を傾げ、腰をそのまま首と同期して曲げながら言った。
「何してる?」僕はドラウにそう言った。するとドラウは僕を睨んできた。
「喰ってんだよ。邪魔すんなよ«食料»風情が。」ドラウの放った言葉は圧のあるものだった。空気が強ばったのがよく分かった。それでも僕はここで獲物を逃すほど臆病じゃない。僕はそう思って己の血を代償に大技を放つことにした。血は浮き僕の前に集まる。集まりに集まった血は全て黒く光り出す。
「これでどうだ?」僕はそう言って濃縮した黒い稲妻をドラウに向かって放った。
「...っ?」ドラウは首を傾げた後、すぐ、口をあんぐりと開き、喰った。
「うっっっっっっっんまぁ!」ドラウは興奮した様子で言った。
「食....った?」僕は口から驚愕の言葉を零した。僕が放った言葉は虚しくドラウは僕を見て笑う。
「美味かった!もしかして...、もう一本手を切ったらもっと美味しいの出せるのかなぁ?」ドラウは僕を見ながら微笑を浮かべた。僕はこの時死を悟った。失血死は僕の能力の対象にならないはずだ。だからといってあいつは僕を殺そうとはしないだろう。その決定打となるものは簡単だ。あいつは美味しいものを食べたいと願う。そして、僕からその美味しいものが出るとなれば、僕を生かすだろう。....。これしかない...!僕は意を決して声を出した。
「なぁ、美味しいの食べたくないか?」僕がそう言うとドラウは微笑んで。
「そうだ!食べたい!食べたい!喰わせろ!」ドラウは興奮した様子で言った。
「じゃあ、その手返してくれるかな?」僕がそう言うとドラウは顔色を変えた。
「お前も....。お前も....。お前も...!吾輩を騙すのかぁ!」血色を変えたドラウからは怒りの気配しか感じ取れなかった。僕は一歩引き、臨戦態勢に入った。
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