痕跡の印
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39話
僕の腕に魔王討伐の証がついたってことは、僕が鬼神を倒した事と関係がありそうだな。
「この1時間の間にどうやって...!」ヤカナは冷静さを欠いているようだった。そんな時、一瞬痛みが右腕に走った。
「....っ!?」僕は痛みに耐えかねて声が出た。そして、次の瞬間、右腕に現れていた文様が消えたのだった。
「一体...なんだったの...。」ヤカナはそう言ってその場に腰を下ろした。僕はヤカナに握られていた右腕を摩って。
「僕にもよく分からないけど、今は考えたくないかな。」僕はそう言って腰を下ろした。
「そう言えば食料あったのか?」僕がヤカナに聞くとすぐ返答が帰ってきた。
「もちろんよ。今日はあんなにモンスターが現れたんだから。今日は肉が多いですよ。」ヤカナはそう言って既に剥ぎ取った肉を素手で取り出してきた。僕はその光景を見て。
「野性的だな...。」僕はその一言を言った。
「ほら。これ。」ヤカナはそう言って焼いた肉を木の枝に刺して渡してきた。
「この木の枝燃えないのか?」僕は疑問に思って言葉を言い放った。ヤカナは僕の言葉に胸を張り。
「ここの木は全て燃えにくい性質を持ってるらしいの。だからこの焚き火も面倒だっただからね。」そう言って僕を睨んできた。僕は目を逸らして肉を食べる。
「なに?こんな上手い肉があったのか!?」僕はつい大声を上げて目を見開く。するとヤカナが顔を出してきて。
「当然でしょ?モンスターの群れの肉なんだから。」ヤカナはそう言ってそっぽ向いた。
「群れの肉だと変わるのか?」僕がそう聞くとヤカナは壁に持たれて。
「群れって言うのは集団行動が必要でしよ?だから、走り続ける事が多いの。そのおかげで脂身が少ない引き締まった肉が育つってわけ。」人差し指を立てて言った。
「そう言えばさ。ヤカナはどうして“ ここ”にいるんだ?」僕の唐突な質問はヤカナを困らせるようなものだった。
「私は...。」ヤカナは首を振った。そして続けて話す。
「私は魔族と人間のハーフだからいつでもここに来れるのよ!」ヤカナは両手を両脇腹に当てて言い放った。
「嘘っぽいけど信じるよ」僕が思った事を率直に言うとヤカナは驚いた顔をして。
「いやいやいやいや。見抜けるもんなの!?」ヤカナはつい心で思った事を発してしまったようだ。見てわかる。焦っている。こんなヤカナを見るのは初めてだ。僕がそんな事を思っているとヤカナはもう一度話し出す。
「べっ...!別に喋るのが楽しいとか言ってないんだからね!?」ヤカナはツンツンしながらも頬は真っ赤に染まっていた。
「いや。それについては何も言ってないのに、そう思ってるって事でいいんだよな?」僕が追い打ちの言葉を放つと、ヤカナの全身から真っ赤なオーラが溢れ出す。
「いい加減にしろ!」ヤカナはそう言って僕を海の方へ飛ばした。
「さすがに言いすぎたな...。」僕がそう言うと同時に黒い手に掴まれ、地上に投げ飛ばされた。
「うん。痛い。」僕はそのまま眠りについた。
「ここは、僕の殺してしまった人達が集う草原だな」僕は真顔でそう呟いた。
「ここはいい場所だね」僕の知っている声。アストラストだ。アストラストは僕の隣にたって言った。
「そうか?お前死んでるんだぞ?」僕が辛辣な言葉を選んで放つと、アストラストはクスリと笑い。
「私もあの時は頭に血が上っていたし、国のためにという«誇り»があったからね。今ではそんなに呪縛から逃れられたとは考えているよ。」アストラストは僕の思ってもいない事を言い放った。僕はアストラストに向き直り。
「精神は無いんじゃなかったっけ?」僕がそう聞くとアストラストは口を開いた。
「私には精神がない。そう思っていたけどほんのひと欠片だけあったみたいだ。私はもう一度君に会えて良かったとも思っているよ。」アストラストはそう言って微笑みかけてきた。
「ようやく。死人の顔を面と向かって見れそうだな。」僕はそう言ってアストラストと、目を合わせた。
「君は“ 変わっていないな”」アストラストの一言に僕は疑問が生まれる。
「変わっただろ。人殺しなんだから。」僕が悲観して言うと、アストラストは苦笑して。
「その単語は好きじゃないんだけどな...。君は強くなっていける。人殺しなんかしてないさ。それに人殺ししてたってその人の分生きろってよくあるじゃないか...。」アストラストはそう言って僕の頭を撫でた。子供に戻ったようだ。
「そうだな。」僕は顔を伏せて言った。
ここは拠点ではないな。そうだ飛ばされてそのまま寝てしまったんだったな。僕は昨日あったことを思いだした。
「さすがにもう怒ってないだろう。」僕はそう思って拠点へと足を進ませた。
あれ?いないな。どこに行ったんだ?そう考えながら拠点の周りを歩くと足跡を見つけた。
「これは?デビルロードの足跡か?」僕は検討がついたモンスターの名前を言い放った。
「にしても大きいな。取り敢えず足跡を辿ってみるか。」僕はそう呟いて足跡の続いている方向に歩き出した。
どうだしたか?
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