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日常から非日常へ。  作者: 稲平 霜
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喰らう鬼神

楽しんで読んでいってください!

37話




僕はヤカナのいる場所に帰ってから気づいたことがあった。それは食料がキノコの切れっ端しかない事だ。

「何しに行ったの?」ヤカナからの軽蔑の視線が痛い。僕は八つ当たりだと思ったが少しイラつきながら。

「探索に行っただけだし、きのこ好きだしな!」僕の苦し紛れの言い訳はヤカナに届いていなかった。そこに何かの気配が近づく。

「強くないんだから隠れて!」ヤカナはそう言って僕の前に立った。こいつにも人の心があるのか?僕がそう思った時ヤカナは続けて話す。

「別にお前の身の安全を保証するわけじゃないけど!」ヤカナはそう言って臨戦態勢に移る。しかし、僕はヤカナを後ろにして前に立つ。

「あまり、僕を舐めないでくれる?」僕は虚ろな目でヤカナに言った。すると、ヤカナは1度僕の目に気圧されたが、直ぐに体勢を元に戻した。そこにヤカナが口を開く。

「来る...!」ヤカナはか細い声で言った。そして、急激な揺れが起きる。遠くから来るのはモンスターの群れだった。

「あれは何て言うモンスターなんだ?」僕がそう聞くとヤカナはムッとした顔をして。

「あれはモンスターの中での上位種。バフラスタム....。バッファローに似ているけど、魔力が多く蓄積されたモンスターで、生命の危機を感じると体ごと爆発するモンスター....。」ヤカナはそう言ってモンスターへと向き直る。僕は一撃で終わらせるように鬼神の力を解放した。僕はヤカナに当たらないように黒い稲妻を腕に纏った。すると突如激痛が走る。僕の目線は斜めに倒れた。


黒い空間。僕を誘ったのは他でもない鬼神だ。僕の目の前には鬼神が佇んでいた。

「お前には俺の力を使わせない。使うのなら何か、俺に得のある物を渡せ!」鬼神は手を僕の方に差し出して言った。

「でも、僕が渡せるものなんてないが?」僕はそう言って手をヒラヒラさせる。その僕の動作に鬼神は一瞬で僕の懐に移動して僕の首を掴んだ。

「渡せる物などない?それがどうした。俺はお前から一方的に盗るだけだ....。」鬼神はそう言って僕の首をさらに絞める。僕は首を潰されながらも抗う。

「僕は....!お前なんかに....!渡す物なんて....!ない....」僕は途切れ途切れで言葉を発した。鬼神は1度力を緩めたが、もう一度力を入れて首を潰しに来た。僕は歯を食いしばることしか出来ない。そこに息が戻る。鬼神が離れていた。僕の前に背を向けて立っていたのはアストラストだった。

「私は君の望んだ事しかできない。だから君が私を操ってあの鬼神を弱らせよう...。」アストラストはそう言って鬼神に向き直る。僕は起き上がり。

「分かった。」僕はその一言を言ってアストラストを操る。アストラストは剣を構える。剣には魔法陣が張り付く。そして、その剣は鬼神の方から腰あたりまで切りつけた。しかし、鬼神はものともせずアストラストは粒子となって空気中に解けた。

「お前にはこの力は勿体なかったな。」鬼神はそう言って僕を殴り飛ばした。僕はそのまま地面に擦れながら勢いが死んでいった。

「僕は...!」僕がそう言って体勢を戻した時には遅く僕は鬼神に潰された。


━━━━~━~━━━~━━━.....


「早く立って!」ヤカナはそう言って僕の腕を持ち上げる。僕はヤカナの腕を振りほどき、自力で立つ。そして、次の瞬間腕に黒い稲妻を纏い、振った。すると、ここら一帯に衝撃と稲妻が走った。轟音が轟く。その一撃が終わると、脳に衝撃が走った。その衝撃に耐えられず膝から崩れ落ちた。

「僕は....何を....?」僕は頭を抑えて言った。僕の見ていた風景はモンスターを殲滅していた事だが、その間僕の体を操っていたのは恐らく鬼神だ。僕は地面を見たまま、動悸が激しくなっていた。そこにヤカナが口を開く。

「だ、大丈夫?」ヤカナは少し引いているような目をして言った。僕はそう言ってきたヤカナに手のひらで押し。

「ちょっと1人にさせてくれるか?」僕はそう言って考え込む。

なんなんだ?鬼神に体を乗っ取られた?強大な力?あれ?僕はなんで冒険者になりたいって思ったんだ?僕がそう悩み込むと急に涙が溢れ出した。

「なんで....村での思い出が....思い出せないんだ.....?」僕は涙をボロボロ落としながら呟いた。自分でも分からない。思い出せそうなのに何も思い出せない。どうすれば取り返せる。取り返せるわけがない。村の思い出は僕の原点が成り立つ場所。これじゃ、原点に戻れないじゃないか。僕はもう一度村に...!僕がそう思った矢先、意識は鬼神に取り込まれた。


「なんだ?」鬼神が何かを食べながら言った。僕はその光景を見て口を開く。

「なに、食べてるんだよ....。」僕がそう言うと鬼神は僕の方を向き。

「何って、お前の«記憶»だよ」鬼神はそう言って食べ続けた。その鬼神の行動に僕は牙を剥き出しにして、鬼神に向かった。しかし、僕の攻撃は風を切るだけで、鬼神には攻撃を与えられなかった。

「お前は俺に勝てないんだよ」鬼神は僕の鼻の先で言った。

どうでしたか?

面白く読めたなら良かったです!

次回も読んでくれると嬉しいです!

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