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日常から非日常へ。  作者: 稲平 霜
37/288

おとぎ話という存在

ぜひ読んでいってください!

36話




僕は朝起きると空を見上げた。地面なそのまま寝込んでいたから身体中の節々痛かった。

「起きたの?」少女は僕を睨みながら言ってきた。僕は目を逸らして。

「あぁ。」素っ気なく言った。続けざまに僕は喋る。

「なぁ、名前を教えてくれよ。ここで会ったのも何かの縁だろ?」僕が手をヒラヒラしながら言った。すると、少女は地面に座っている僕を見下して。

「いいけど、私に会ったことは誰にも言わないことね。私の名前は“ ヤカナ”魔族と人間のハーフよ」ヤカナは僕から目を逸らして言った。

「僕の名前はレイド。冒険者だ。」僕が胸を叩いて言うとヤカナは目を細くして。

「本当に冒険者?」疑問をぶつけてきた。その言葉に僕は。

「確かに筋力少ないから冒険者に見えないかもしれないけど、冒険者だよ!?」冒険者であることを証明する冒険者章を見せながら言った。するとヤカナは少し嫌そうな顔をして。

「分かったからしまって」ヤカナは手の平を僕に押しつけるように言ってきた。僕はヤカナのその言葉と行動について深くは考えなかった。

「ここで少し探索をするか。」僕はそう呟いて別の場所に歩きだした。歩き出して1番に見かけたのは奇妙な形をしたキノコだった。そのキノコは僕の背丈位の大きさで一口かじれば直ぐに満腹になりそうな程だった。しかし、どう考えても食べれそうなものではなかった。しかし、何も食べる物がないと餓死してしまう気がした僕はキノコの一部分を切り取って持っていくことにした。そして、さらに歩いていくと洞穴を見つけた。僕は木の枝を拾って枝の先に火を点した。松明を前に僕は洞穴へ入っていった。

「ここは何のモンスターの住処かな?」僕は探究心を燃やしながら言った。洞穴と言っても分岐が幾つもあった。洞窟と言ってもいいだろう。洞窟の壁を見る限り人の力が加わっているようにも見えた。そうなると、ゴブリンの可能性が高いか?僕はそう考えながら奥へと進む。そこにひとつの光が奥に見えた。僕はその光に連れられて進む。そして、見えた場所は。

「扉?」僕は不意に言葉が零れ落ちた。僕は古ぼけた扉に手をかけた。甲高い音を立てながら開かれた扉の中には生活感のある物が置かれていた。

「机の上に置かれた紙?」僕はそう呟いて机の上に置いてあった紙を手に取った。その紙にはこう書いてあった。

『もし、この書き置きを見た者がいるのならどうか気を付けて欲しい。この場所は魔王の住処に繋がっている。言わば魔王への門である。私はこれからこの場所から魔王の元へと行く。この書き置きがあると言うことは、私はもうこの世にはいない。この書き置きを見た者に託す。............“ ウェリアストソ”』僕はこの書き置きを見て驚いたことがある。1つはここがあのおとぎ話に出でくる魔王が実際にいたということ。2つ目はこの書き置きを書いた人が、勇者であること。そして、負けてしまった事が分かること。僕は目を瞑り胸に手を当てて。

「僕はあなたの想いを引き継ぎます...」そう呟いた。僕の周りを黒い霧が包む。僕は周囲に広がる黒い霧に気配が篭っていた。そこから声が聞こえた。

「な....に...?こ.....れが?....?勇者....では...な、い?」途切れ途切れの声に僕は困惑するが、すぐ理解した。恐らく、魔王だろうと思った。

「魔王か?」僕は思った事をそのまま口にした。すると気配は薄れつつ声を発した。

「我...は....ま、おう.....?」気配からの声は困惑に満ちていた。僕は傍にあった椅子を向かい合わせに置き座った。すると、向かいに置いた椅子に黒い霧が集まる。

「君は魔王ではないのか?」僕は普通に話し出した。すると黒い霧は人の形に整いながら話し出す。

「我は、魔王じゃない。多分。」黒い霧の言葉に僕は幼さを感じた。もしかして魔王になりかけているのではないだろうか?僕はそう思いながら言葉を発する。

「じゃあ、君は、君の名前はなに?」僕は屈んで聞いた。

「我の、名前は“ スサイス” ...」スサイスは小さい声で言った。実態は無く、黒い霧が話している。

「スサイスって呼んでいいかな?」僕が優しく言うとスサイスはクスッと笑い。

「いいよ...」静かに言った。僕はスサイスに質問をする。

「僕は人間だけど、スサイスは人間が憎くないの?」僕はスサイスに聞いた。スサイスの黒い霧がざわつき。

「そう。我は人間に特別恨みなんてない。でも、パパからは人間が憎くてしょうがないみたい....」スサイスは全く含みのない言い方で言葉を発した。僕はその言葉に偽りがないことぐらい分かる。そして、僕がもう一度質問をしようとすると、霧が乱れた。

「ごめ....!また....!は....な、.....な!?」スサイスの乱れた声はあまりにも聞き取れるものではなかった。散った黒い霧を掴むように僕は手を伸ばした。しかし、スサイスは空気中に消えた。

「人間はどうして憎まれているのだろうか?」僕はそう言って洞窟から抜け出した。

どうでしたか?

面白く読めたのなら良かったです!

次回も読んでくれると嬉しいです!

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