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日常から非日常へ。  作者: 稲平 霜
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ラフノの状況

どうぞ楽しんでいってください!

34話




ここはどこなんだ?初めて来る場所のようだ。周囲を見渡しても木々の影しか見えない。霧に包まれているようだ。霧は俺の足元さえも戸惑わせる。そこに1つの明かりに、鉄の打つ音が聞こえた。

「誰かいるのか!?」俺は大声で叫ぶ。しかし、鉄の打つ音は鳴り止まなかった。俺はその明かりと鉄の打つ音を頼りに歩き出した。

なぜ、明かりのある場所に近づけないんだ?俺は疑問に思った。足は俄然前に出している。それなのにも関わらず進めない。恐らくこの周囲に舞っている霧が関係してるのだろう。俺はそう考えてその場に止まった。俺は刀を構えた。そして、霧を風によって散らせた。その間に俺は走って少しでも明かりの近くまで走る。それを繰り返すだけだ。

そうやって明かりの在処に辿り着いた。そこには大きな釜戸に赤く光る鉄のようなものがあった。俺がマジマジと見ていると後ろから声をかけられた。

「なんだ?迷い人か?」振り返るとそこにはバンダナを付けた女の人がいた。

「迷い人?確かに今の状況ではそうなっても可笑しくはないか....」俺は顎に手を添えて言った。バンダナを付けた女の人は椅子に腰を降ろす。

「迷い人は今日で3回目なんだけどな...」バンダナを付けた女の人はそう言って頭を掻いた。

「じゃあ、この小屋に弱そうな男が来なかったか?」俺はレイドの行方を知りたいと思い聞いた。

「まずは、身元確認から!これ常識!」バンダナを付けた女の人は椅子から立ち上がり、俺を指さして言った。俺はその勢いに気圧されて口を開いた。

「俺の名前はラフノ....」俺は体を仰け反らせて言った。バンダナをしている女の人はニッコリ笑って口を開いた。

「よく言えました!うちの名前は“ タンコ”!よろしくな!」タンコと名乗る女の人はそう言って親指を自分に指していた。

「どうして迷い人になった?」タンコはパンを頬張りながら聞いてきた。俺はタンコからパンを受け取りながら口を開いた。

「なりたくてなったわけじゃない。突然黒い光に飛ばされたんだ」俺がそう言うとタンコはギョッとした。

「あんた...。えらいやつに目を付けられたな

...」タンコは皮肉そうに言った。

「えらいやつ?」俺が不思議そうに聞くとタンコは暗い顔をして話す。

「ズバリ魔王だな!魔王はおよそ1000年前に倒された。でも、復活したってこと....」タンコはバンダナを取りながら言った。

「魔王って伝説ってだけじゃないのか?」俺が惚けているように言った。タンコは俯いて。

「それが存在してるの。うちは魔王にここへ飛ばされた被害者なんだよ...。」タンコはそう言って俺の方を向いてきた。

「待て、それだとあんたが1000歳って事にならないか?」俺は食い気味で聞いた。するとタンコは微笑み。

「そう。うちはこの歳から全く変わってない。ごくたまにくる迷い人のお陰で精神も崩壊してないだけ。」タンコは俯いたまま言った。

「そうか...」俺は力なく言った。

「さ、君もこんな所からさっさとおさらばしたいだろうし....。」タンコはそう言って立ち上がった。そして続けて口を開く。

「じゃあ、選んでくれ。ここで一生さまようか、全てを諦めるか....。」タンコは声のトーンを落として言った。

「俺はまだ生きなければいけない。」俺が拳を握りながら言うとタンコは目を閉じて。

「じゃあ一生さまようって事?」今までになかった答えなのかタンコは驚いた顔をしていた。

「俺は仲間の元に強くなって帰る。そう決めたんだ。」俺はそう言ってタンコの眼をじっと見つめる。

「分かった。じゃあ、折角だしその武器新調させて貰うよ。」タンコは俺と数秒見つめると椅子に座って言葉を発した。タンコは意外とあっさりしていた。俺は素直に刀を渡した。

「いい武器だな。これならいいのが打てそう!」タンコは先程までの落ち込んだテンションでは無くなっていた。俺は外にある霧を見つめながら壁際にある椅子に座った。そのまま壁に持たれかかって眠気が襲ってくる。そのまま俺は目を閉じた。


目を覚ますとタンコの顔が目の前にあった。俺は驚いて椅子から転げ落ちた。

「なんだよ...。」俺の言葉にタンコは笑い、口を開いた。

「出来たよ!」タンコはそう言って新調した武器を渡してきた。その出来栄えは、刀ではなくなっていたが以前まで使ってた剣の形によく似ていた。俺は出来上がった剣を外に向かって試しに素振りをした。圧倒的に切れ味が上がっているのが分かった。

「ありがとう。タンコ。」俺がタンコに向けてそう言うとタンコはにやけて。

「凄いだろ!」タンコは鼻の下ら辺を指で擦りながら言った。俺はその様子を見て笑って。

「あんた面白いな...!」俺はそう言って笑った。タンコは俺を見てすぐさま外を見た。

「誰か来る...」途端に感じた気配は人のではない気がした。日が見えないこの場所で俺は強くなる。そう決めた。

どうでした?

面白かったのなら良かったです!

次回も読んでくれると嬉しいです!

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