離れ離れ
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30話
突如、黒い爆発が起こる。僕はその爆発を抑えきれず、吹き飛んだ。気づくと僕は全く別の場所にいた。周囲を見渡すと、ラフノもヤーズもハルもいなかった。僕はただ歩き出した。
時は昨日に遡る。
僕は落ち着いてハルから離れた。みんなの前で涙を流した事が僕にとっては恥ずかしい事だった。しかし、みんなは気にしていないみたいだった。そこに町の人達が来た。
「あんたらを許す訳では無いが、ありがとう。お陰で子供らは助かったからな....」そんな感謝の言葉を送られても僕は何も反応が出来なかった。そこに甲高い声が響く。
「なんで生きてるの!?鬼神...?どうやって鬼神を手懐けたの....?」ナルファの姉はそう言って疑問を持ったようだった。倒したなら分かるが、手懐けたってどういう事だ?僕はナルファの姉の言葉に疑問を感じながらも流した。
「ところで、今日はここに泊まるんだよな?」ラフノは僕に聞いてきた。
「そうだな。そうしようか」僕がそう言うと宿屋へと歩き出した。ただ1人ナルファの姉を置いていって。
宿屋に着くと部屋に案内された。畳の部屋で布団だった。僕は倒れるように寝込んだ。
「あやつはどうだった?」誰かが言った。
「全然犯罪者とは思わんかったな....。それより、町にあまり被害を出さずに済んだのはあの者のお陰だ」そう言って人影は去った。
━━━━━━━翌朝。
突如“ それ”は起きた。黒い光が一瞬世界を飲み込んだ。その力は絶大でその光に僕は飛ばされた。そして、今に至る。
何が起きたかよく分からないが、仲間を探さなければならない。僕が歩きに歩いて着いた場所は“ トライヤ”。そう書いてあった。僕はトライヤに入った。
トライヤに入ると人々の騒ぐ声が聞こえた。僕は気になって人混みに紛れて、騒いでいる原因である場所を見た。そこには1人の少女が傷ついた人を癒しているのが見えた。回復魔法は以前にも見た事がある。闘技場の町で見た。闘技場では何人もいたが、この町では珍しいのだろうか?僕が不思議そうに見ていると、傷を治している少女が人々に向かって話す。
「私の名前は“ ナアラ”!この力を持って色んな町を渡っています!どうかお見知り置きを!」ナアラと名乗る少女はそう言って僕の方に走り出す。そのままナアラは僕の横を過ぎ去った。僕はナアラを横目で見ていた。
にしても、一体どこにいるんだ?みんな。僕の思惑は直ぐには叶わないようだ。この町に仲間が1人もいないのならここにいる必要はないな。僕はそう考えて町の外に出ようとした。そんな時に声をかけられた。
「あ、お前ってもしかして、“ ザル”か?」僕は全く見覚えのない人にザルという名前を突きつけられた。
「人違いだ」僕は否定する。
「ザルだよな?そうだよな?お前随分変わったなぁ...。目付きそんなんだったか?」僕が否定したのにも関わらずしゃべり続ける。僕は苛立ちながらその場を離れようとする。しかし、人違いをしている人は自分のペースで話す。
「あれから全く顔出さないから死んだのかと思ったよ!あ、これから仕事だった!じゃあまたな!」人違いをしている人が一方的に喋ってどこかに行った。これで邪魔者がいないな。僕はそう思って町から外に出た。
しばらく歩いていると馬車を見かけた。ここで何とか交渉して乗せてってもらえれば町まで楽だな。そう考えて僕は馬車を覗いて御者に声をかけようとしたら話し声が聞こえた。
「今日も1人治したのですか?」御者が誰かに聞く。さっきの町に影響を受けたと思うかもしれないが、恐らく御者が話している人はナアラであると思う。
「ええ...。あともう少しでこの旅も終わりそうだし、頑張るわ」ナアラに似ている声だが、口調が全然違う。僕は話が途切れた時を伺って馬車に向かって話しかけた。
「すみませーん。乗せてって貰えませんか?」僕が馬車を指さして言った。
「いいですよ!どうぞどうぞ!」案の定さっきの声はナアラだったようだ。張り切った声で僕を馬車に誘ってくれた。
「冒険者ですか?」ナアラは僕に屈みながら聞いてきた。
「まぁ、一応冒険者ですね」僕がそう言うとナアラは僕の手に触れ、先程の町で見せた人を治す力を使った。体が浮くような感覚。疲れが取れているのだろうか。しかし、何か裏がある気がする。こういういい人っぽい感じの醸し出している人は大体後でおかしくなっていく。警戒は怠らない。
「どうです?力は取れましたか?」ナアラは僕の手を握ったまま言った。
「はい。ありがと.....」急に目眩が襲う。言葉の途中で僕は倒れた。
倒れたというのは自覚した。視界も少し見える。でも体が思うように動かない。薄れゆく意識の中聞こえたのはナアラの声。
「あの町に行きましょう?“ ユスルト”へ....。あそこでこいつを投げ出して見ましょう?実験ですよ....」ナアラは不敵な笑みを浮かべて言った。
どうでした?
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