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日常から非日常へ。  作者: 稲平 霜
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心の変化

ハルの身に起きた事とは....

28話




私の名前はハル。今私は暗闇の中にいる。

「お前なんぞ直ぐに乗っ取れる」この声は黒鬼、改め鬼神と言われるモンスター。私はその声を無視する。いや、無視しようとしているだけなんだ。私が弱いって事分かってた。レイドと一緒に旅をしたとしても強くならなかったと思う。今は弱いなんてことは言えない。今も今までもずっと弱かった。勝てるはずのないモンスターに挑んで、助けてもらうことが多かった。私はどうして強くなれないのか。何度考えたことがあるか。

「俺を受け入れろ。そうすれば強くなれるぞ」力は欲しい。だけど、鬼神を受け入れてしまったら、私は私じゃなくなりそうで嫌なんだ。でも本当に強くなれるのなら、1度身を任せてみるのもいいかな?鬼神がニヤリと笑う。私は己の欲望に負ける。

「俺のもんだ....」鬼神は静かにそう言った。


どこに行ったんだ?暗い場所が多いせいで分かりにくい。僕は血眼になって探す。全く検討がつかない。そう思ったとき、一筋の黒い稲妻が町を襲った。僕はゆっくり黒い稲妻の方向を向いた。そして、その空中に人影が見えた。遠目でも雰囲気でハルということが分かった。ハルは鬼神に呑まれてしまったのだろう。僕は目を見開いた。仲間がモンスターに乗っ取られた以上僕は仲間を、仲間として、倒す。

「飛ばす。僕の腕を掴んで....」僕は低いトーンで言った。すると、ヤーズとラフノは僕の腕をがっしり掴む。僕はグランドの力を解放して、ハルの元へ跳んだ。

「この前の鬼神よりも力が上がってないか?」ラフノが地に足をつけて言った。

「ハルの願いが力として現れたのではないでしょうか?」ヤーズはラフノに答えた。そうだとしてもこの力は強くなり過ぎていないか?僕はそんな疑問を持つ。そんなことを考えていると、ハルから攻撃が飛んだきた。僕は真上によ跳んで避ける。1度でも喰らえば助からない程の攻撃。今のところ所黒の稲妻しか撃ってきていないが、いずれはそれ以上の力を撃ってくるだろう。そこに現れたのはスノイヤで1度会ったナルファの姉だった。それを意味するのはハルがナルファの姉に消滅させられるということだ。そこで僕は叫んだ。

「やめてくれ!そいつは僕の仲間だ!」僕の決死の声はナルファの姉には届かず、詠唱を始めた。詠唱をし終わる前に何とかしなければならない。少し乱暴な気もするが、グランドの力でぶつかるしかない。僕はそう考えてナルファの姉にぶつかりに行った。しかし、空中に止められた。

「今集中してるから邪魔しないでくれる?ナルファのストーカー....」ナルファの姉は僕に容赦なく暴言を吐いてきた。僕は体を止められたまま、何も出来ず、ただハルを見殺しにしろと言うのか?いや、できない。僕はもう。この世界を滅ぼそうとは考えない。今は仲間がいてくれたらいい。お願いだ。僕に力を....。

僕は無意識に目を閉じる。

何もない空間。僕はまた死人を目の前にする。

「僕は仲間を救う」僕は呟く。目の前には僕が1番信頼に置いていた人物。アストラストがいた。

「私は君に殺された。しかし、それは君が追い込まれたからですよね...」アストラストは優しく言う。僕は知っている。アストラストは僕の望んだ答えを返してくれる。そう。精神体などないのだから。だけど、僕は言う。

「僕に力を貸してくれ....!人を守るために、自分の犯した罪を償うために!」僕が決意を露わに言った。しかし

「残念だが君にはまだ力を貸さない。君はまだまだ大切な事を忘れているから」アストラストはそう言って僕を突き放した。僕が目を大きく開くと何もない世界は音を立てて、壊れていく。僕は何を忘れているんだ?何も忘れていないはずだ。何も....。僕を上から覗く人がいる。いや、人々がいる。アスファルで殺してしまった人々だ。1度力を借りたはずなのに。違う。僕は力を使うことによって許されたと勘違いをしていたんだ。僕は見直さなければならない。僕がその事に気が付くと世界は元通りに何も無い世界に戻された。僕はこの力と引き換えにでもいいハルを救う。

「グランド、ヒョウリ、ヒョウカ、アンナ、ドイル、マイヤ、アスファルの民、アスファルの騎士、そして、アストラスト...。殺してしまったのは謝って謝り切れない。僕はそれでも、生きたくなったよ。ありがとう。そして、さようなら。君たちはここに留まるべきではないよ...。僕は君たちの力を引き継いで生き続ける。行き続けて見せる...!」僕の決意に応えるように僕が殺してしまった人の影は煙となって消えゆく。何も無い世界は草原が出来上がり、太陽が生まれる。色々な人が笑顔で笑っている。僕はもう。誰も殺さない。僕の心の声は世界を晴らした。

ナルファの姉の詠唱が終わりそうな頃、僕は動き出す。

「やめてくれ!僕は君を殺さないために!君を殺す!」僕の言葉に海が荒れる。そして、多数の魔法陣が空中に現れる。そこから氷針が現れる。そして、氷針に魔法陣が張り巡らされる。

「眠っていてくれ...」僕の声で氷針はナルファの姉の腹を突き抜けた。しかし、血は出ておらず、気絶しているだけだった。

「ハル、今助ける...!」僕はそう言って氷塊に乗って宙を舞う。

「来るな...」ハルの口から発せられたその言葉は、ハルの本当の声に聞こえた。

どうでしたか?

面白かったようなら良かったです!

次回も読んでくれると嬉しいです!

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