妖精の森の風
283話
黒い髪は光でてかることもなく、さらさらな毛並みだ。しかし、身体を見ると普段から清潔そうにしているわけにも見えず、食べ物さえも食べれているのかわからない程やせ細っていた。
「た、単刀直入に聞きましょう...。なぜ私はここに...?」少年は依然として道化師の仮面を被り、言葉で戸惑いだけが読み取れた。
「そうか...知らないのか。ここにお前が来たのは...ゴホッ!ゲホゲホッ!」ヘイズは細い手を少年に向け、近寄らせないようにしている。
「ここにお前が来たのは...お前が一番分かっているはずだ」ヘイズは口を押えながら死装束の丈をたくし上げだした。
「これは私が人間であった時の傷だ...」ヘイズは足を少年に見せつけて、少年を見つめる。
「それを見せて何を...」少年はヘイズの傷を見ても動揺することもなく、ヘイズが何をしているのか単純に分かっていなかったが、自分で言葉を放っているときに何かに気づいたように言葉を断った。
「私に、次の”世界神”になれということですか...?」少年がヘイズに向かって口を動かすと、ヘイズがしわだらけの顔を歪ませた。
「そう...そうだ!お前には引き継いでほしんだ!さぁ...ッ」ヘイズが少年の言葉を聞いた後、ヘイズは興奮した様子で足を素早く動かし、少年に近づくが、ヘイズは少年が目の前に出した手により、ヘイズは言葉に詰まった。
「私は神になどには興味などないです...。ですから...」
「だから?神に決められたのなら、それに従順に従っていればいい...。お前は所詮、ただの人間だ...」ヘイズは少年の言葉を遮り、強く言葉を放つ。
その言葉はどれも傲慢で気品など一つもない。
その次の瞬間、少年の身体は地べたに這いつくばる様に潰れる。
重しは何もないのに、少年の身体は地面に張り付いたまま剥がれない。
「従ってどうなるのです...?」少年は体を強張らせ、地面を爪でガリガリ...と掻きむしる。爪は掻きむしるごとに剥がれ、血が溢れていく。
爪を失った指は細かく震えている。
「神は数ある天命を持たざる人間の内の一人を引き抜き、神へと変える...。その一人にお前は選ばれたのだ...喜ばしい事ではないか...!」骨と皮膚くらいしかないやせ細った腕をヘイズが大きく広げ、奇妙なくらいに口角を上げ、微笑んだ。
「確かに...記憶のない人形のような私が神になれるというのなら、...飛びつかないわけがないでしょう...」少年は少しばかりヒビの入った仮面に覚束ない手で触れる。
「だからと言って...だからと言って、易々と神になんてなるつもりもありません...」
「なぜだ...?」
「それは...分かりません...」地面に這いつくばったまま、少年は仮面を片手で掴み、自分の放っている言葉を考える。
「一つできるとするならば...」ソロは剣を鞘から抜き、地面に突き刺した。
「これができるのは勇者だけ。勇者という天命を持つ人間だけが扱える...」ソロは地面に突き刺した剣を目の前に立ち、両手で柄を持ち、ソロが叫ぶ。
「エクストガーディアン!」その言葉が放たれた瞬間、聖剣を中心に魔法陣が出来上がり、その魔法陣の中央に重々しい鎧を着た人間が一人現れた。
「俺はずっと一人だ...それを解消するため、戦力を解消するために...この守護兵を召喚した」ソロは剣を抜きながら口を動かし、鉄仮面や、他、鉄の鎧を纏い、地面に刺さっている大盾の横から大木が見える位置へと歩く。
「それが...どうした...何が守護兵...一人だった...?ワタシの願いはただ一つ...生きること...」マモルは執着心の塊の様に同じような言葉しか話さない。
「生きることがお前の生きる意味だろ?なら俺も...同じだ...俺の変えなんか、次の世代を待てばすぐに現れる。俺が死んだとしても、伝説として語られるだけ、悲しんでくれる人なんていない...」ソロは剣を握りしめ、続けて口を動かす。
「でも、それなら尚更、生きて、それこそ、レイドの仲間になって...生きていたい...。だから...!」ソロが剣を後方に一直線に構え、腰を低く、左の膝から踵まで一直線に、また、右脚は後方に伸ばし、構える。
「ッ...これで...終わらせてくれ...」ソロが言葉を放ち終わったときには剣は鞘に納められ、ソロは直立していた。
そして同時に、大木が土から離れ、宙に、上空に舞っていた。
「何...が?」マモルの掠れ、裏返った声が小さく靡いた。
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