妖精の森の芽
281話
これで...終わるとでも...?
我らの森は永遠だ。
我らの森は安泰であるべきだ...。
人型の大木、ウールドが体を起こそうと試みるが、身体は起きず、辛うじて起き上がれた身体はすぐに力が抜け、砂埃を上げてウールドは動くことが出来なくなる。
「我を要素に...この森は安泰だ...」ウールドが呟くと同時にウールドの口から木が上に向かって、蛇の様に蠢きだし、木が枝分かれしながら全方位に生えだした。
その時にはウールドは意識を失い、全く動くことが無くなり、枯れていた。その辺り一帯は再度、森と化した。
「俺にできることは戦うことだけだ」ソロは剣を鞘から取り出し、両手で剣を掲げ、前に剣を持っていき、地面へと剣を突き刺す。
その瞬間にソロの目のまえに青色に光る魔法陣が現れ、ソロは剣を地面から抜き、魔法陣の中に入る。その瞬間ソロは空に向かって飛び上がった。
地面に向かって青い光の線が射した後についてソロが地面に降り立つ。
「ここが...”キュウ”...今では森に変わってドラゴンの巣になっている...。人間を一番減少させた原因だ。今でも覚えてる...」ソロが金で柄が出来た豪華な剣を片手にドラゴンの森を目の前に立ち尽くす。
そこにドラゴンの咆哮が降り掛けられる。
その声で風が起こり、地面が揺れる。
それと同時に次々とドラゴンの翼の音が激しく辺り一帯を包み込み、ソロをいつ襲ってやろうか、考えているようだった。
「俺がせめて苦しまず、終わらせてあげたかった...でも、君たちドラゴンが俺のできる討伐の対象なんだ...!」ソロが言い放つと同時に剣を横一線に手だけで薙ぎ払った。
その瞬間地上にいるドラゴンの手や腹と頭部や背が分断され、また、飛び立とうとしていたドラゴンの前足と後ろ脚が身体ごと分断される。
同時にソロの視界全ての木々が切り株となり、辺りに突風が吹き荒れ、切れた木が倒れていく。
しかし、上にいるドラゴンは平然と飛んでいた。
「これを開戦の狼煙として...ッ!」ソロが剣を掲げている右手が唐突に自由が利かなくなる。ソロは自由の利かなくなった右手に視線を移した。
見てみると、ソロの腕には茶色の枝が巻き付いていた。それだけで、ソロは目を開いて気づき、ドラゴンの群れを背にして、振り向く。
するとそこには、レイドが戦った大木が手や足を使って這ってきている姿があった。その大木から枝が伸びて来ている。
「森を...マモル...」大木が通った道は小さな芽が生えていて、言葉を放っていた。
「森を守るために養分を...私は...マモル...森を永続させるウールドの現身...」マモルという大木は木目を動かし、更に枝を引き寄せ、ソロの右手が堪らず、マモルへと引かれた。
「まだ倒せていなかったのだとすれば、俺は先に邪樹を倒さないと...ね!」ソロは言葉の最後で力を入れ、右手の剣を左手に持ち替え、枝が巻き付いた右腕を左手の剣で断ち切り、腕を切った所から剣を切れた傷口に当てながら剣を戻すと、籠手は無くなったが、右腕は傷一つなく元通りとなる。
元通りになった右手に剣を持ち替え、ソロは両手で上に剣を掲げた。
「勇者ソロの名のもとに、汝に聖剣エクストリバーの力を分け与えよ...。エクストファスト!」ソロは詠唱と技名を叫んだ瞬間に剣を振り下ろした。その瞬間青い光が瞬き、マモルの身体が縦真っ二つに割れ、地面も抉れ、砂埃が辺り一面を覆う。
「ふぅ...」ソロは下ろした剣を鞘にしまった。一瞬で終わったかと思われたマモルから、小さな破裂音が何度も一定の間隔で鳴る。
「マモル...ために...私は...生きる...」マモルは分断した身体を徐々に動かして、右身体は右手で這い、左身体は左手で這う。人間には出来ぬ所業だ。
「でも、君はこの世にとって、”悪”なんだよ」ソロは儚げに口を動かし、剣を横一線に薙ぎ払った。その瞬間マモルは這うための手がどちらも斬れ、との場に留まるしかなくなった。
「レイドの攻撃であればすぐに身体が戻っていただろうけど、この剣は聖剣。悪しきモンスターを葬る...剣だ」ソロが剣を鞘にしまったまま、左手で瀕死のマモルに見せつけた。
「さて、待たせたな。ドラ...」ソロが言葉を放ちだしたときに背後から衝撃が走った。
ソロが目を落とすと、ソロの胸辺りから真っ赤に血濡れた枝が突き抜けていた。
「まだ生きていたか...」ソロは口から吐血し、顔を背後に向けた。
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