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日常から非日常へ。  作者: 稲平 霜
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妖精の森の洞窟

279話




 「そんな物騒な事を考えるわけないだろ。僕は脅威がこの話し合いで収まるとするなら良しと思っているだけだ」


僕は敵意のない目線をオロベインに送りつつ、辺りを常に警戒する。


「そうですか...。それは残念です」オロベインは一言口にし、


次の瞬間、僕の身体に木の枝が突き刺さっていた。


僕の腹部を貫いたこの枝の先からは血が滴り落ち、また、血が枝に吸い込まれていく。


「私もこんな事したくないですが...人間や、別種族は危険な生き物で、森が少なくなっているのも事実です。」


オロベインが落ち着いた表情を僕に向け、涙を瞳に宿し、口を動かす。


「ですから、あなた方を敵視し、妖精王様に従うしか道は私たちには残されていないのです」オロベインが手を蕾の外へと向ける。


「ご覧下さい。こんなにも妖精達が“ 微笑んでいる”」オロベインは涙を数滴流しつつも満面の笑みだった。


「こ、れが...お前らの...答えなら...」僕は枝に手で触れ、抜こうと腕に力を入れる。


「この森は全て...脅威だ...」僕が息を荒らげながら放った言葉は掠れていたが、


次の瞬間、僕の腹部を貫いていた木の枝が枯れていき、


僕の腹部は肉が集まり、皮膚が蓋をし、治る。


木の枝は塵ひとつなくなる。


「僕はこの世を平和に戻そうとした。抵抗しない種族には何もしないが、抵抗する種族は...皆殺しだ」僕は真っ赤なオーラを身体中に纏い、息を吐く。


「あ、あなたは人間では...!?」オロベインは僕を見て驚きの声を上げ、目を大きく開く。


オロベインは僕から距離を取り、蕾を開き、僕を閉じ込めるようにもう一度蕾へと戻す。


「勿論人間だ。ただ1つ違う事があれば、人よりあらゆる力を持ってる位だ」僕は膝を曲げ、跳んだ。


その瞬間蕾に穴が空き、僕は森の木の壁に手でぶら下がる。

「この森を壊すぐらい...容易い...!」僕は口角を上げ、歯を食いしばりつつ、木に両手を突っ込み、握る。


その次の瞬間、赤いオーラが森全体を巡り、森が枯れていく。


「水は吸収し易いな...そろそろ、キャパオーバー...」僕は呟くと、突っ込んでいた手を引っこ抜き、地面へと、跳んだ。


地面に当たる寸前に僕は右拳を地面に当て、円形に地面が割れるが、それ以上に、枯れた木々がその衝撃で倒れ始めた。


森の中を飛び回る妖精は慌てふためいているが、僕は至って冷静だった。


「さて、教えろ。妖精王の居場所を」僕はオロベインの首を手に添えた。


「教えるわけが...ぁぐ...」オロベインの口から唾液が垂れ、細い呼吸音が聞こえる。


「今教えれば、今吸収した栄養、水分をまだここに戻す事が出来る。


このまま森が崩れるのを待つか、僕に妖精王の居場所を教えるか、どっちがいい?」


僕は徐々にオロベインの首を締め上げていく。その度に息の音が粗くなる。


「ぁ...ぁあの...」オロベインが僕の後方を指さしながら白い泡を口から吹き出す。


僕はそこでオロベインの首から手を離し、指さされた方へと移動する。


その時、全方位から木の枝が僕の身体を貫いた。


「ゴホッ!ケホッ...はぁはぁ...あなたには栄養になってもらわねば...」オロベインは片手を僕の方に向けていた。


「少ない水分で... 」僕は片目を貫かれながらも状況を把握していた。


「でも、これじゃあ、弱い...」僕は次の瞬間黒いオーラを出し、辺り一体を黒で多い隠した。


その次の瞬間黒は消えたが、それと同時に、森の枝は全て排除された。


「指さした方に妖精王がいるのか、確認するか」僕は呟いて、オロベインが指さした方へと移動する。



 オロベインが指さした方には窪みがあった。その窪みを少し攻撃すると、ヒビが割れ、壊れた。


その窪みの先には洞窟のように道が幾つも別れていた。


僕はその洞窟に入り、右を進み出した。


洞窟は確かに暗いが、発光キノコにより、道は歩けないほどではなかった。


 しばらく歩いたその時、僕の服は横に引っ張られ、僕は抵抗する間もなく引きずり込まれて行った。


 気づけば、そこは金鉱石が壁に所々にあり、発光キノコが地面に幾つもある。そこに声が響いた。


「おい人間。ここから先は妖精王様の森だ。進む気ならここで森の養分となれ」僕の手元の部分から聞こえた。


僕は手元に目を移すと、そこには3人ほど小人がいた。


人の身体がそのまま小さくなって、頭が少しでかくなったようなものだった。


小人はどれも髭が生えていて、どこか乱暴なものだった。


「僕はこの先に進むが何か問題でも?」僕は起き上がりながら口を動かした。すると、小人が口を開く。


「では、ここで養分となれ」小人が僕の指を持って金鉱石へと近づける。僕は手を引いて、元に戻す。それと同時に小人は転がる。


「僕は妖精王を倒すために来たんだぞ?お前らを相手にしている暇はない」


僕は強い口調で言い放ち、洞窟の道へと戻ろうとするが、小人が僕のズボンを引っ張った。


「妖精王様を倒せれるのですか?」3人の中の一人の小人が口を開いた。

「勿論。そうでなきゃ困る」僕は小人に目を合わせた。

どうでしたでしょうか?

面白く読めたのなら幸いです!

次回も読んでいただけると嬉しく思います!


ついでに感想や評価もしていただけると活力になります!

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