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日常から非日常へ。  作者: 稲平 霜
27/288

終結

少し深いストーリーでした。

26話




「本当に人間はつくづく嫌になる生き物だな」鬼神から発せされた言葉。そして次の瞬間鬼神の手から黒雷が周囲に轟く。しかし、僕達には効かなかった。

「これは?」ヤーズは起き上がる。この力は間違いない。

「これはオニの加護か?」ハルは自分の手を見ながら言った。そこで僕は分かった。オニの加護は邪悪な鬼からのあらゆる攻撃を全て回復に変換してくれる加護だ。そうと決まれば僕は鬼神に走り出した。同時にラフノとヤーズ、ハルの順番で三方向から近接攻撃を仕掛けれる場所に移動。ヤーズは弓で離れた場所から射抜ける位置に着いた。

「この力は嘗てのあの人間の力...。超再生!?」鬼神は驚いた顔をして言った。そして笑う。

「では、俺からは何もしない。俺は他の人間を殺していく」鬼神はそう言って僕達を無視して、次々と人を殺していった。僕らが攻撃を受けようとすると鬼神は留まり、一尺置いて攻撃するようになった。邪悪な鬼のみに効果を得る加護なら青鬼に攻撃が効かないのは当たり前だ。しかし、今、目の前にいるのは鬼神。邪悪な鬼だ。だから、超再生のみではないはず。つまり、攻撃が入るはずだ。僕はラフノ、ハル、ヤーズに目配せして、行動に出る。そして、鬼神の腕に斬り掛かる。

「ん?」鬼神は不思議そうな顔をする。そして、笑う。

「そんなに遊んで欲しいのなら遊んでやろう」鬼神は僕達の方に向いて言った。次の瞬間僕は全身に流れる衝撃に耐えられず、飛ばされる。僕が飛ばされた場所は奇跡的に神社であった。

「加護の意味がないじゃないか!」僕は神社の石段を叩きつける。ここから見ると人が米粒のようだ。僕は鬼神に勝てない。そう悟ったその時だった。

「君は加護の力を最大まで使えていないんだよ」姿は見えないが声は聞こえたこれはオニの声だ。続けざまに声が続く。

「君に与えた加護は何かを犠牲にして本来の力を発揮する。そしてその犠牲は人でなくてはならない。僕が出した犠牲は両親だった。その犠牲のお陰で鬼が倒せたはずなのにな....。君は何を犠牲にして、この加護を使うんだい?」オニの犠牲という言葉で僕は頭を抑える。

「それしか、道はないのか?」僕は恐る恐る聞いた。

「僕の加護だ。分からないよ。別の方法があるなら良かったのに....」オニの声は震えていた。

「分かった。見てなよ」僕はそう言って、グランドの力を解放し、鬼神の方へ跳んだ。僕からの衝撃に一瞬圧倒された鬼神は直ぐに僕に向き直る。周りを見る。ラフノは血だらけになって倒れていた。ハルは頭を砕かれていた。ヤーズは自分の放った矢が胸に突き刺さっていた。僕は既に死んでいるであろうハルに近づいて加護の力を使う。すると、真っ赤な粒子が僕の周囲に集まり出す。そして、死にかけのラフノにも加護の力を使う。次に、ヤーズに加護を使う。そして、最後の犠牲は僕だ。この戦いに負けたら僕は能力発動なしで死亡。それはラフノ、ヤーズ、ハルでも同様に僕が負けたら死に。勝った後にまだ僕が死ななかったらみんなを全回復させる賭けだ。僕の能力が適応されない加護。まるで、最終決戦でもしているかのようだ。みんなには加護が僕から与えられたものだったから回復が心許なくて今、倒れているに違いない。僕はそんな疑問を抱えて、叫んだ。

「ぁぁぁぁあああああ!」僕の周囲に集まっていた赤の粒子が僕の体に纒わり付く。そしてその粒子は僕を鎧のように包み、僕の持っている短刀にも纏わりつき、真っ赤な刀が出来上がった。

「.....」鬼神は僕を面倒くさそうな目で見る。余裕の目だ。僕は息を吸い、止める。そして、動く。グランドの力を解放。瞬時に鬼神の背後に周り、斬る。鬼神の血が僕の顔にかかりそうになる。間合いを空け、ヒョウカとヒョウリの力を解放。刀に氷塊が纒わり付く。真っ赤な氷の刀は鬼神の左腕と左足を分断した。そして、最後。強制解放。僕の周りに多くの人々の影が現れる。そして、ひとつの影となる。僕はそのまま、ゆっくりと鬼神に近づく。既に手負いの鬼神は僕を睨みつける。僕は微笑んで口を開く。

「もう。お前の負けだ」僕はそう言って鬼神を斬る。僕の刀は何十人かが振ったように残像が出来上がり、鬼神には何十回も斬りつけられた跡ができる。そして、僕は何度も鬼神を斬りつける。そして、衰弱し切った鬼神を僕は刺した。

「もう、少し、で....だっ...のに....」鬼神は途切れ途切れ言葉ではない言葉を発し、灰になっていく。こうして鬼神は倒された。

周りを見ると、町は半壊していて死体が多く転がっていた。面影が無いくらいに潰れた死体も、血の匂いが僕の鼻をねじ曲げる。血だらけになったラフノ。胸に風穴が空いているヤーズ。頭が潰れて無くなっているハル。その風景は直ぐに変わった。ラフノの傷は全て治り、ヤーズの胸の穴は埋まり、ハルの頭はゆっくりと治っていっていた。僕はこの状況に勝った気はしなかった。

みんなの傷が癒えると僕達は話し出す。

「もう死んだかと思った」ラフノは胸に手を当てて言った。

「私はほぼ死んでたと思うのだが?」ハルは頭を潰された事を覚えているのだろうか。

「よかった....。まだ生きてる」ヤーズは唯一仲間たちの中で1人泣いていた。

どうでしたか?

面白かったなら良かったです!

次回も読んでくれると嬉しいです!

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