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日常から非日常へ。  作者: 稲平 霜
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シャストラ

267話




 リザードマンで出来た影が俺を覆い隠した。リザードマンの筋力は人の二倍ほどの力がある。しかし、目の前のこのリザードマンはそれ以上のものと感じた。


「死ね!人間!」リザードマンの掠れた声が弾けた途端、俺は剣を握り、リザードマンに向けつつ、はね起きた。


「俺には目標があるからここで死ぬわけにはいかない。...攻撃してきたということは殺される覚悟...あるよな?」俺は髪で隠れた目を輝かせた。


「ある訳ないだろ!」リザードマンは情けない言葉を大声で叫び、俺に向かって走って来る。俺は剣を縦に構え、守りの態勢を整える。


次の瞬間、リザードマンの拳が剣に触れると、鋼同士が弾けた音がした。リザードマンの皮膚は鋼鉄のようで、ただの剣では刃が通らないみたいだった。


しかし、それは普通の剣ならばという話だ。


「それで終わりなのだとすれば、対して強いわけじゃないみたいだな」俺は剣に触れてきているリザードマンを弾き飛ばし、剣に光を宿し、よろけたリザードマンの左手を切断した。


ドクドク...と音を立てる勢いで血が地面に滴り落ちる。リザードマンの顔が歪み、口を開く。


「私の気も知らないで...!殺せ!人間は!」憎しみという言葉しかリザードマンは吐いていない。俺はそのリザードマンの姿を見て、口を開く。


「お前の気なんか知る由もない。ただ、降りかかる火の粉を払ってるだけだ」俺は言葉を放つと同時にリザードマンの頭を断ち切った瞬間、血しぶきが舞い、地面に血が溢れていった。



 「ふぅ...。予想外だった。リザードマンの力が、思ったより...キツイ...」俺はあばら辺りに手を添えて、木にもたれ付く。息をするたびに湶が痛むが、息をせずにはいられない。


脳裏に、ここにハルがいれば、という文字が浮かび上がる。俺は湶を抑えるもう一方の手で自分の髪を鷲掴みし、搔き乱す。


「止めようぜ、過去を羨むのは...」俺はか細い声で今にも壊れそうな震えた声でつぶやき、痛む湶に赤黒いオーラを纏う。


次の瞬間、湶が完全に砕け、顔をゆがめて、もう一度赤黒いオーラで壊れた湶を包み、痛みから解放される。赤黒いオーラが空気中に混ざりながら不可視化が進み、消えていく。


「このチカラもいざお別れするとなると、ヴァイルのこと思い出す...」



 ―――繰り返すようだが、俺は過去を羨まないつもりだ。



 「でも、羨んでしまうよな」俺は呟き、髪の毛をかき上げた。

「さぁ、行こうか。シャストラ、悪魔を返しに...!」俺は決意を露わにし、声を出し、全身を光で包み込み、空へと打ち上げられ、南に向かって進む。


 流れ星の様に突き進む姿は正にその通りで、夜空に居れば勝手に願い事でも呟かれそうなものだった。



 地面に強く激突し、砂煙と地面が割れ、宙に舞った。俺は降り立つと、膝を曲げて衝撃吸収を試みた。予想通り、衝撃は吸収された。


 俺は膝を伸ばして、棒立ち状態となり、周囲を見渡した。そこには人が灰となり固まり、銅像の様に立ち並んでいて、その銅像はどれも悶えているような姿だった。


「ここに悪魔に関することが置いてあればいいが...」俺は口を抑えながら灰の銅像に目を向ける。その時、灰の銅像が砂に変わるように壊れた。


それから少し時間が空き、空に声が響く。


「アハハハハハハ!楽しいわ!次はあなたかしら!でも、たった一人で何するつもり!?あぁ、考えるだけで楽しいわ!」

「ぉい...待ってくれよ...なんで...ヤーズ?」俺は一日程しか経たずにヤーズの顔を見た。しかし、それにしては様子が変わり過ぎていた。


あまりにも変わり過ぎたヤーズの姿は、俺の目には今まで襲ってきた敵に近しいものを感じた。


 自然と俺は剣を取り出していた。それに、近くで今まで戦ってきたから分かる。俺の攻撃ではヤーズは倒れない。


「前からそうだったよな...。いつも謙虚な振りで振る舞って、俺より強いくせに、手合わせは中々してくれなくて、なんだって思ってたよ...」俺は剣に光を宿した。



 そして続けざまに口を開く。


「折角、こんな手合わせできる機会が出来たんだ...なら、やるしかないだろ?」俺は心から溢れ出る戦いへの高揚感が表情に現れる。口角が上がり、息が荒くなる。


「そこまでやる気なのね!じゃあ行くわよ!」ヤーズは満面の笑みで空へと手を上げた。その次の瞬間、手の平に炎と雷が渦巻き、プラズマ弾が出来上がる。


 俺はその様子を見て、ヤーズが本気で俺を殺しに来ていることが分かった。そこで俺は光に加え、赤黒いオーラを纏い、臨戦態勢となった。


 純白の光と赤黒い闇は右半身と左半身に見事に別れ、純白の光輪が赤黒い闇が漂っていて、左の頭には歪な角が生え、左腕に赤黒いオーラが燃えるように纏わりつき、右手とは違い、歪に巨大化していた。


「さぁ、始めよう...!」俺は満面の笑みでヤーズに笑いかけた。

どうでしたでしょうか?

面白く読めたのなら幸いです!

次回も読んでいただけると嬉しく思います!


ついでに感想や評価もしていただけると活力になります!

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