点と線
266話
ルルメアの姿は歴戦の戦士の様に威圧感があり、今の僕でも太刀打ちできるか悩ませられる程だ。
「で?お前は僕に何か用があるのか?って、今この瞬間僕はどこに行くか迷っているわけだが...」僕は現状を頭を少し掻きながら、ルルメアに告げた。
「別に特別な用があってここに来たわけじゃないよ。ただ、僕の偽物がいるって情報があったからここに来ただけだよ」ルルメアは銃を腰にしまいながら、僕に目を向けてきた。
「君こそこれから何をするつもりだい?人間が大幅に減少した世界で君は何をしようとしているのかな?」
「僕は他の人を助けるために旅することにしている。お前にはわからないだろう。犯罪者が平和のために動くのは...」
「フッ...そうでもないよ」ルルメアは僕の言葉を鼻で笑い、俯く。
「君はこれからどこに行くんだい?」ルルメアは続けて言葉を放った。
それは僕が動き出して、ルルメアの横に来た時に放たれた。
「別に特定の場所に行くつもりはないが?」僕は眉を顰めて、ルルメアを横目で見た。すると、ルルメアが重い体をゆっくりと起こして、僕の目を見る。
「そうか。じゃあ、一緒に行動しよう」ルルメアの目は無心というものだったように感じた。
「え...」僕はルルメアの言葉で唖然とした。
「ついて来ても何もないぞ?」僕は隣を歩くルルメアに向けて言ったが、顔は道の先を向いていた。何時殺されるかわからない状況で平常心を保てる人はあまりいないだろう。
その中で僕は平常心を保っているほうだと思う。
それは殺されたとしても生き返れるからだとは思うが...。
「何かがあるからついて来てるわけじゃないよ。僕も単に目的がないからふらついているだけだよ」ルルメアは僕の言葉に丁寧に応えた。
「僕はお前と違って目的があるんだ。お前が近くにいると精神的に負担が大きい」僕はルルメアを睨みながら口を歪ませた。まだ何もしてきていない人に対して、これくらいが今できる最大限のいやがらせだ。
「それは辛そうだね。僕はたまたまこっちに予定があるだけだよ」ルルメアはぼくが放った言葉で言葉を選んで話している。
「さっきは予定がないって言ってただろ」
「思い出したんだよ」ルルメアはへらへらしながら言った。ルルメアは正に”ああ言えばこう言う”を体現したようなものだった。
「そうか、じゃあ、ここらあたりに人がいなさそうだからここらで別の遠い場所に行かせてもらう」僕はルルメアに嫌気がさして、止む負えなく自分からその場を退場することにした。
僕は言葉を放つと同時に鱗で足元を固め、身体全体の所々に鱗を付け、鱗を浮かすことにより、自分の身体を浮かして、目線の先に向かって飛び出した。
「これで...」
「どこに行くんだい?」僕が空を飛んで安心していると、真横からルルメアの声が聞こえた。ルルメアはほとんど僕と平行に動いていた。
「なんで飛べるんだよ...」僕は呆れた声を出した。その声は諦めの声でもあった。
「秘密だよ」ルルメアは口に人差し指を当てて笑みを浮かべた。
「ここらで降りるか...」僕は呟きながら地面に降り立った。そこは”イズモ”という和が主に使われている町だ。僕は一度この町に来たことがある。今は亡きハルと...。僕はハルの顔を思い出すが、頭を振って何とか気を紛らわす。
「ここは初めて君に会った。今ではもう”焼け無くなった場所”とは思えないね。たった一年でどうやって、直したんだろうね」ルルメアがイズモの景色を見て言った。僕はそこでハルの思い出を思い出す。
イズモは以前、巨像の魔王という者によって壊された。
しかし、ハルが時間操作によってイズモは壊される以前の姿を取り戻した。またハルとの思い出がよみがえってしまっていた。僕は再度頭を振り、忘れることとする。
そこで僕は疑問点が思い浮かんだ。
道化師の放った一年と一か月前の言葉を思い出す。それは僕らが道化師により分断され、道化師により再集結した時の言葉だ。
『あなた方が見た夢は夢であり、現実です。実際夢で見た場所は存在するものであります...。そして、魔王の幹部。ハエの王。妖精王。ドラゴン。その者は全て実在し、あなた方は無意識にその経験をしただけです...』
道化師の言葉の中の”魔王の幹部”、”ハエの王”、”妖精王”、”ドラゴン”それぞれ、順に”レイド”、”ハル”、”ラフノ”、”ヤーズ”が体験し、出会ってきた存在。
そして、それらは実在する。
これは憶測に過ぎない。僕は虫退治を放棄した。でもラナがやってくれるはずだ。
その中で虫の出来事は”ハエの王”を倒すことを目的にしている、ということじゃないか?
僕らが倒した魔王と”魔王の幹部”...。順に来るとすれば、次世界を襲ってくるとすれば、それは、妖精王?
順に解消していくことによって、この変化した世界が”元に戻る”のか?
「どうしました?ボーッとして」ルルメアが僕の肩を掴んでいた。そこで僕はルルメアの肩を掴み返す。
「お前は世界のためなら何でもできるか?自分を犠牲にしてでも...」
どうでしたでしょうか?
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