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265話
外に出ると、ドラゴンの咆哮が轟いた。私はその声の方へと振り向く。
そこには黒ずくめのドラゴンが顔をゆがめて、歪に飛んでいた。
「誰?私に何か用?」冷徹な声で黒づくめのドラゴンに言葉を吐いた。
その時、爆風が吹き荒れ、目の前にいたはずの黒ずくめのドラゴンが居なくなった。咄嗟に気配が上からした。私は即座に上を向き、黒ずくめのドラゴンを視認した。
その瞬間、ドラゴン化したままの、私の狸のような体に黒ずくめのドラゴンの尻尾がぶつかり、激しい打撃音が弾けた。しかし、私の身体は吹き飛ばず、その場に止まる。
「なるほど...話す気はないみたい、かしら?」私は目線を黒ずくめのドラゴンに移し、微笑む。その瞬間に黒ずくめのドラゴンは尻尾を私の身体から離し、私から距離を取った。
「さっきのメスはどこへ行った?」黒ずくめのドラゴンは変わりに変わった私の容姿に、正体が分かっていないようだ。黒ずくめのドラゴンは辺りを見回している。
私を探すのに躍起になっているようだ。
「さっきのメスなら、あっちの方に行ったはずよ?」私は太い腕で明後日の方向に指さした。すると、黒ずくめのドラゴンは私が指さした方向へと飛び去って行った。私は黒ずくめのドラゴンを見送った後、黒ずくめのドラゴンの逆方向に進みだした。
ドラゴンの群れが過ごす森を抜け、見えてきたのはリザードマンの群れだった。リザードマンはドラゴンの顔と似ていて、親近感がある。
しかし、今行くべき場所が別にある。
「待っていてもらわないと...」私は笑みを浮かべた瞬間ドラゴン化を解き、人間の身体となって、飛んでいた勢いのまま私は落下しだす。
風を切り、空気が渦巻く様に私の身体が落ちて行く。耳が痛み、私は目を瞑る。地面との接近がまるで恐怖感がない。
優し気な光が私を照らし、空が晴れる。地面との距離は一メートル。
その瞬間にドラゴン化はせず翼のみを広げ、私の身体は滑空し、地面スレスレで再び空へと上がっていく。
「ハハッ!」妙に湧き上がってきた笑いに楽しさを見出す。今までにない空を飛ぶことによる快感を感じる。世界が自分のために動いているような。そんな感覚。
「あはははははは!楽しい!楽しいわ!」私は手を大きく広げ、滑空し、口角を上げて笑う。
私は名前がわからない。でも、とても楽しい。過去のことも忘れた。でも、これでいい。
私は目を細めた。
―――――――ワタシノナマエハ?ナニ?
脳が痛む。苦しい。悲しい。辛い。憎い。醜い。卑しい。憎い...
野原に続くは木と雑草の軍勢と動物が風にあおられている中、少女は一つの木の下に寝そべっていた。そこに一人木の上から少女へと声が聞こえた。
「また自然に身を任せてんのかぁ?にしてはいつもよりガードが堅い気がするがぁ?」気だるげに話すのは青少年だ。
「そんなことないよ!いつも通り!」少女はトゲトゲした口調で時には人を傷つけそうなものだった。
「いつも通りにしては口調もきつくねぇ?ま、別にいいけどさぁ?そろそろ...ザザザザッ...」少年の声が雑音に塗れて聞こえなくなる。
「ぁ?ぁあ、何の記憶だろう。でも、今は考えたくない!この発展した世界で私は、”初めからやり直す”!ハハハッ!」私は何者かわからない。
だから初めからやり直して、私の居場所は自分で決める。そのための世界はここにある。
「逃げまどえ、生命!」私は叫ぶと同時に辺り一面を火の海へと変えた。そのあたりにいた生き物はまるで生きている様子もなく、炎が風になびいている。
空で高笑いをしているところに声が弾けた。
「お前...あのメスだろ」そこには黒ずくめのドラゴンがいた。私は相変わらず顔はにやけていて、黒ずくめのドラゴンは私の顔が不気味に感じているようだった。
「何のことかよくわからないわ!でも、気分良い時に邪魔されたし、あんた邪魔ね!」私が満面の笑みを見せた途端、ドラゴンの首が弾け飛び、ドラゴンの頭が地面へと向かい、身体もその後に続いて行く。
「蜥蜴如きが...」私は地面を見下し、追い打ちでプラズマを手から放出した。プラズマが地面に触れ、地面が火の海へと変わる。
「これこれ...」私は頬を赤らめつつ微笑み、舌なめずりをした。
何かを考えると脳内に虫がいて、蠢いているかのような嫌気がする。怒りが込み上げてくる。だから私は理性のままに全てを壊そうと思う。虫は私が理性のままに動けば虫は邪魔にならない。最高の気分だよ。
―――ありがとう。誰かさん
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