リザードマンの殺意
264話
「分かりました。では、こちらへ」ソドンは手を進行方向へと向け、俺を白いリザードマンの所に連れて行ってくれるらしい。にしては護衛を連れすぎな気がしていた。
護衛はソドンの周りを囲むようにしていて、俺には一切護衛と呼べるものがいなかった。
何より、その光景は朝一であるため、リザードマンが集団で町中を歩いているように見えるだけなのだろう。にしたって、他のリザードマンがいなさ過ぎた。
「ここがスノードンの入っている牢です...。では...」ソドンは俺を案内するとそそくさと、逃げるように帰っていった。
沈黙が過ぎ、俺は牢に目を向けた。視線の先は、鎖に繋がれた、スノードンがいて、道の周辺には血が飛び散っていた。
俺が話しかけようとした時に牢の中からスノードンが口を開けた。
「まだ生きていたのか。人間は見苦しい、卑しい、消えろ、消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ」呪文のように唱えられる言葉は、まさに人間を恨んでいるようにしか聞こえなかった。
「まあ、そう、カリカリするなって。今はお前に襲われた命について喋ろうと思っているんだ」俺はどうの前に腰をついて、スノードンに目を向けた。
スノードンは俺の言葉に困惑していた。
そして、スノードンはとあることを話し出した。
「俺は何もしていない、襲おうともしていない。お前は何だ、人間消えろ、卑しい」スノードンは俺の言葉に答えたはいいが、その後は人間への恨みのようなものしか感じられなかった。
「どうしてそんなに人間に恨みを向けているんだ?」俺は鉄格子を少し触れながらスノードンに目を向けた。
「知りたいか知りたいか人間、知りたいかそうか、でもダメだ。俺は人間にだけは屈しない」スノードンは俺と手を合わせるように鉄格子に触れ、目を充血させながら言った。
「じゃあ、お前が俺を襲わせたのは嘘なんだな?」俺はスノードンに向けて、悪意にある目線を送った。するとスノードンは俺に向けて、悪意のある目線を返してきた。
俺は鉄格子から離れ、その牢から立ち去った。
外に出ると日差しが熱く照っていた。そして辺りにはリザードマンが群がっていた。
俺が外に出てリザードマンを少し観察していると、リザードマンの群れがすべてこちらに向いてきた。
リザードマンの目には何か熱意がこもっており、どこか俺を殺そうとしているようにも感じた。
その時だった。背後から風の切る音が聞こえ、俺はその音に合わせてすぐによけた。避けると地面に金属音が弾け、砂埃が少し舞う。
「俺の脅しが効く前に殺すつもりだったのか?いい考えだ、そうすれば、俺が脅しをかけたとしても、それは無効に出来る...」俺は、リザードマンの槍を足で抑え言った。
そのまま俺は言葉を続ける。
「でも、失敗した時のことを考えなかったのか?俺も情けはかける、でも殺しに来ればそれ相応の覚悟はできているはずだ」俺は言葉を言い放つと共に槍を振ってきたリザードマンを複数の光剣で串刺しにして殺した。
「覚悟はあったはずだ、しかし、お前たちでは俺は殺せない」俺は目に光を宿し、光剣を一つ握った。
リザードマンの群れに1匹ずつ目を向けると、それぞれが怯えているような様子だった、市民のリザードマンは怯えることしかできないのだろう。
だとしても、リザードマンの群れはこの町を占拠したはずだ、人間より力が強いのは普通だろう。
「人間よ、やめてくれないか、仲間が殺されるのを見るのは辛い」リザードマンの群れの中から一つ声が聞こえた。その声は少し震えたようなもので、芯があるような声だった。
「お前の名前はなんだ?」俺が首を傾げて聞くと、リザードマンが口を開く。
「私の名前はヒリドンだ」
「で、お前はなにがしたいんだ?」
「話し合いだ。こっちへ」
リザードはに刺された指の方向へ歩いて行っている。町から少し離れ家々がなくなってきた。朝イチの肌寒さはなくなり、昼辺りまでの暑さがある時間帯だろう。
現段階の場所では朝もそこまで寒くはない、恐らくこの様子だと、シャスラトラに行った時、体が暑さに耐えられないかもしれない。
「どこまで行くつもりだ?」俺が歩いて俺を連れていく、リザードマンに向けて言った。
それと、リザードマンは突如俺に振り向き、太い尻尾で俺を吹き飛ばした。吹き飛ばされた俺の体は、宙に舞い一直線上に飛んでいった。
そのまま俺の体はどこかよく分からない大木にぶつかり留まることとなる。
「これはさすがに...」俺が小さく呟いていると、リザードマンが跳んできていた。俺は痛む体をすぐさま横に飛ばし、リザードマンの次なる攻撃を避けた。
「いいか、私はリザードマンだ誇り高きリザードマン、他のリザードマンみたいな心優しいものではない。人間も害をなす者、害をを成さぬもの、それにかかわらず、私は人間を殺す」リザードもは少しかすれた声で俺を見下げながら言った。
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