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日常から非日常へ。  作者: 稲平 霜
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見抜かれた

259話




 ドラゴンの群れに混じったまま移動すること早一時間が経過したころ森林や洞穴のある場所に着いた。着くと、ドラゴンの群れは散り、木の上や洞穴に移動する。


その中私は取り残された。

「適当に休んでいいのかな?」私はそう呟きながらドラゴンの群れの住処を少し離れた場所の、迷惑になりなさそうな場所に身体を丸めるように寝転がる。


 相変わらずドラゴンの姿のままで、まだ魔力が尽きないのが不思議だった。

そこに上空から声が掛けられた。


「おい!そこは俺様の寝床だ!退けやがれ!」黒ずくめのドラゴンに注意され、私はすぐにその場から百メートルばかり離れ、身体を丸めた。


すると、黒ずくめのドラゴンはまた声をかけてきた。


「そこも俺様の場所だ!」黒ずくめのドラゴンはまた注意してきた。私は思い切って五百メートル離れた場所に身体を落ち着かせた。しかし、また注意してきた。


何度も繰り返され、私は気付く。黒ずくめのドラゴンは私の困惑する姿を楽しんでいるようだった。そこで私は口を開く。


「私が初め寝ていた場所を譲ってくれてもいい?」私は黒ずくめのドラゴンにフレンドリーに察した。しかし、黒ずくめのドラゴンは急激にテンションを下げ、口から真っ赤な炎を溢れ出させだした。


「調子に乗るなよ?メスの分際で...!」声を荒げる姿は私から見れば滑稽極まりなかった。



 「さっきの言葉を撤回するなら今の内だぞ!どうだ...?やめる気になったか?」黒ずくめのドラゴンは言葉で脅し、炎を真上に放った。


「私はせめて仲良くしてたかったよ」私は一言告げた。そのまま沈黙と静寂が辺りを包んでいた。しかし、それは他のドラゴンによって断ち切られた。


「お、決闘か?」「皆!久しぶりの決闘だ!集まれ!」様々な声がギャラリーを騒ぎ立て、いつしかそこは闘技場の様になっていた。


「一瞬で終わるものを...こんなにギャラリーが必要か...?」黒ずくめのドラゴンはギャラリーの声に少しばかり怯んでいた。


「大丈夫。一瞬で終わるよ...」私は黒ずくめのドラゴンに返すように呟いた。

「そうだ!一瞬だよな!」ほんの一瞬だった。黒ずくめのドラゴンは私の目の前にまで移動してきていて、既に私は背を眺めていた。


そして、次の瞬間尻尾が顔面に当たり、私の身体は落ち、砂煙を上げた。


 黒ずくめのドラゴンは微笑み、咆哮を上げていた。


しかし、ギャラリーは一瞬過ぎて楽しめていなかったようで、声が明らかに小さくなっていた。


「これだけで終わるわけないじゃん...!」私は大きく咆哮を上げ、黒ずくめのドラゴンが私に目を向ける。私は喉が焼き切れんばかりまで温度を高め、次の瞬間、私は口から雷と炎を合わせたプラズマを一直線に放った。



 一秒後には黒ずくめのドラゴンの羽に穴が開き、黒ずくめのドラゴンは地面に落下した。それをみたギャラリーは騒ぎ出した。


「メスなんかにやられてたまるか...!」黒ずくめのドラゴンは地を這いながら私に近寄ってきていた。その時、別の声が入って来た。


「止めんか!」その一喝でギャラリーは静まり返った。


そして、その声の主へと目を向けた。そこには緑色の鱗に包まれたドラゴンが飛んでいた。そのドラゴンは私を見て、首を明後日の方向へと動かす。私はそれに従って、付いて行くことにした。




 「ここは俺の寝床だ。この奥に進め」緑のドラゴンは乱暴に言った。私はその声に従って、魔力がなくなりそうなもののドラゴンの姿を戻さず進む。


 最奥に来ると、ドラゴンの声が聞こえた。

「ングゴゴゴゴゴゴ...」いびきだった。いびきをかいているドラゴンは白い鬣に白い鱗だった。私が見つめていると白龍が目を開き、体を起こす。


「その姿は...ソリドス...か?しかし、それにしては雰囲気が変わり過ぎとるし...性別も変わっている...な」白龍は起きると同時にすぐに考え込みだした。私が困惑していると、白龍がハッとして、口を開きだした。


「悪い...考えすぎると無言になるんよ...。ゴホンッ!」

「わしは”ホライズドン”ドラゴンの王とも呼ばれておる。これでもな」白龍が皮肉を最後に付け足した自己紹介をした。



 「わしは今まで何万もの生き物を見てきた。そこから言えるのは...お前さんはドラゴンじゃない。だからと言って竜人族でもない。そう、人間じゃな?」白龍の言葉で私は身体を揺らした。


それと同時に私のドラゴン化は解け、その場に倒れた。それからは意識がなかった。

どうでしたでしょうか?

面白く読めたのなら幸いです!

次回も読んでいただけると嬉しく思います!


ついでに感想や評価もしていただけると活力になります!

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