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日常から非日常へ。  作者: 稲平 霜
256/288

それぞれの道①

255話




 「随分と他人行儀じゃないかい?仮にも師匠だよ?」女性の身体はしなやかで、ラナの師にしては若々しかった。


「随分とお久しぶりですね。でも、なぜここにいるのです?」ラナは自らの師であるマリアドスを睨んだ。


「そう怖い顔をしないでよ。仮にも師匠なんだしさ?」マリアドスは図書館中を飛び回りながらも、ラナを見つめる。


「そうかもしれないですが、あなたは既に”消えた筈”ですよね?」ラナはマリアドスに視点を合わせながら言った。


「あぁ、なるほど。あんたが私を消してくれたのかい...」マリアドスは雲のようなものを図書館中に広げ、ラナに急接近する。


それと同時にマリアドスの身体が荒れ地の様に変わり、最終的に正に老婆というに相応しい身体となる。皮膚は乾燥し、顔はしわだらけになり、腕も細い。身体は周囲の濃い雲で支えている。


「どうして、またここに入って来たのです?」ラナはマリアドスの圧に動揺せず、敬語だけは忘れずに使う。


「それは、あんたの司書の権利を奪うためだよ...!」マリアドスはそう言いながらラナの身動きを雲で取れなくし、左手でラナの顔を覆った。


「どうやろうとも、僕が”司書の本”から選ばれたのですから、そこから司書の権利が移行するにはもう一度本に選ばれなければならないよ?」ラナはマリアドスの目を見ながら口を動かし、最後には敬語すらも忘れて話していた。


「この...!」マリアドスの憎み顔はラナを見て、雲が蠢くが、ラナは落ち着いて、一冊の本を取り出し、本の表紙と裏表紙を両手で挟み、消し飛ばした。


その瞬間、目の前にいたマリアドスは雲と同時に消えた。



 「さて、君の本当の目的は何かな?」ラナは気配を消していた道化師に向けて聞いた。

「隠すことはできないみたいですね...。私の本来の目的は”魂の解放”ですね...」道化師は人差し指を一本立てた。


「なるほど、そのためにレイドに仮面を譲ったのかな?」ラナは首をかしげながら言った。すると道化師は頷いて、

「その通りです...」指を鳴らした。その途端道化師は消え去った。




 「これから僕は世界中の争いごと、そして、変わった世界に脅かされている人たちを救う旅に出ようと思う。お前たちはどうするんだ?」僕は頭を掻きながら言った。

するとラフノが先に口を動かした。


「俺は...とあるところに行かせてもらうつもりだ。そこがどこかは教えらけないけどな」ラフノは冷静に言った。自然と僕はヤーズに目を向けた。


「私はこの変わった世界を冒険してみるよ。前と同じ場所でも、変わった感情が湧きそうだしね!」ヤーズは空元気のような声で言った。


「じゃあ、それぞれ新しい旅を楽しんでくれ。もし、次会うとすればそれは、僕たちが同じことを考えたときだと思う。じゃあ、解散」僕は長々というのは止めて最後は一言でその場を閉め、僕らはそれぞれ違う方向へと歩き出した。


その中、ヤーズはドラゴンの姿となり、空に飛び立った。変わった世界ではヤーズの姿は全く自然体だ。


 久しぶりに一人になって、僕は久しぶりの感覚が襲っていた。新たなものに出会えるかもしれないという高揚感だ。それよりも僕はここに住む人たちを助けなければならない。これは使命感だ。



 歩きだして間もなくの頃、前に上から落ちてきたもので砂煙が上がり、僕の目に砂がかかりそうになる。咄嗟に僕は腕で目を隠して傷つくことを回避した。


その次の瞬間砂煙の中から声が弾けた。


「犯罪者レイド...お前を倒せば...!」その声の主は砂煙から飛び出してきた。僕は即座に避けようとするが、僕の足に鎖のようなものが絡まっていて、動けなくなっていた。


 鎖は重く、音を立てやすい。僕の足に絡まればすぐわかるはずだ。疑問点が出来た。その時、僕の脳天に衝撃が走った。前には鎖を大量に身体に巻いた男がいた。


それだけで僕はその男が足に鎖を絡ませてきたのだとわかった。その瞬間、僕は鱗で鎖の絡まった足を斬った。


「な...ッ!」男は僕の行動に驚きを隠せていなかった。僕はその隙を突いて、足に赤いオーラを漂わせた。その瞬間僕の足は元通りとなった。


「なんで襲ったかは大体察しが付くが、止めとけよ。今なら見逃そう...」僕は自分の世界中の評判が悪いものだと知っていたからこそ、脅しを相手にぶつけた。


しかし、目の前の男は歯ぎしりをした。


「お前を殺せば金が手に入る...”しかも一年間も姿をくらました犯罪者”だ...。報酬金は一億以上五億未満...これだけあれば...!」鎖の男はそう言いながら再び僕に襲いかかってこようとする。僕は地面を左手で触れ、操って壁を男の前に作り出した。


「ちょこまかと!」男はそう言って鎖を僕の作った壁をまたぎ、僕に当たりそうになる。僕は鱗を全方位に展開し、鎖を弾く。


「僕を殺すなら本気で来ないと...」僕は一言だけ呟いて、次の瞬間鎖が空中に止まる。辺りは一面氷漬けになっていた。



 「でも、賞金稼ぎが言った言葉は気になるな...。”一年間姿を眩ました犯罪者”か...。僕が仲間を引き連れていなかった時を含めたとしても、一年は長すぎる」僕は疑問を抱えながら氷の像となった男を後にした。

どうでしたでしょうか?

面白く読めたのなら幸いです!

次回も読んでいただけると嬉しく思います!


ついでに感想や評価もしていただけると活力になります!

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